28565 | 返信 | Re:平和憲法の精神(再説) | URL | タラリ | 2004/06/24 10:37 | |
小林哲夫さんの散漫な文章をまとめてみました。 1.『過去の歴史を省みて各国の国民は自国の憲法を制定するのです。自国の憲法を制定したらそれに応じて歴史認識を修正するのではありません。(28305番タラリさん)(inti-solさんも同意表明)』というのは誤り。歴史認識を修正しなければ憲法を守れない。 2.現在の平和憲法は、日本国民が過去の歴史を顧みて制定したものではない。日本の武装を解除するために、アメリカが押し付けた憲法である。しかし、この押し付けられた憲法を日本人自身はその後の努力で選び直した。 3.平和憲法があるからそれで万々歳で、改正されるまでは何の問題も無いと考えてはいけない。日本のような経済大国が非武装でやって行くなんてことは、気が遠くなるほどの高い理想である。そのためには、物凄い決心と日常の努力が必要である。 4.我々自身の日常生活を見直し、社会制度を見直し、外交を見直し、政治を見直し、歴史を見直す普段の努力無しに、平和憲法の理想は決して実現しません。 5.違憲の自衛隊が出来てしまったので、平和憲法は既に理想か目標になってしまった。しかし、「自衛隊の廃止」をすれば目標が達成されるわけではない。自衛隊を持たなくとも、日本人の誰もが不安に感じないような、国民の心構えを作り上げることが目標なのです。 6.こういう意味で日本の過去の歴史の見直しをすべきなのです。特に明治以降において西洋が日本に侵略戦争の意図はなかった、ということを啓蒙・宣伝すべきなのです。 2.3.4.はおおむね同意・同感です。1.5.6.は誤り。無意味です。 1.について 15年くらいの間、日本は軍国主義・侵略戦争をやってきた。その結果他国に大きな迷惑・被害を与え、自らも多数の人命・財産・国土を喪失した。そこで、軍国主義・戦争はいけない、と考えました。これが国民に根付いた平和主義の原点です。 つまり、『過去の歴史を省みて自国の憲法を制定した』のです。制定の過程ではアメリカの作ったものを一方的に押しつけられるという側面がありましたが、憲法が掲げる平和主義はその後大きな支持を集めました。 2.について 「押しつけられた」のは事実ですが、言い過ぎると誤解を招きます。憲法制定前にも日本人の間で平和主義を標榜する動きがありました。 3.について 「不断の努力」は憲法の中にも書いてある文言です。私たち国民は努力して理想を実現しなくてはなりません。 しかし、「気が遠くなるほど高い理想」「物凄い決心」はないでしょう。高い理想には違いないですが、理想を実現する前に気が遠くなってどうするんですか。平和実現の努力をどうやって行うのか、いったん道が示されれば大げさな決意など不必要です。 4.の中にも誤りがあります。「歴史の見直し」は不必要です。 5.について 平和憲法の理想は何か。小林哲夫さんはいつもここのところを間違っています。 (msg28304より) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− >日本国憲法の根本精神は、『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼』して、軍備を放 棄することにあります。(小林哲夫さん) 違いますね。前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,」に続くのは「われらの安全と生存を保持しようと決意した」です。軍備を放棄することが憲法の根本精神ではないのです。(タラリ) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 憲法の目的は「軍備の放棄」ではありません。「公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持すること」であり、その結果として軍備が不必要になるということです。 6.について 幕末から明治期における西洋の侵略意図と日本国憲法の成立にかかる歴史認識は無関係です。関係があるのは日本の15年戦争です。 今回の小林主張は憲法の目標が「軍備を放棄する」ことから、「国民が不安を感じないこと」に変わってしまい、ますますおかしなことになってしまいました。小林さんの論を正当としてもここは「軍備の放棄」をしても国民が不安にならないように過去の歴史を見直す、としなければならないところです。つまり、「国民が不安を感じないこと」は目標でなく、「軍備を放棄する」ことの手段としなくてはなりません。 結局、小林さんは軍備なしでは怖くてしようがない小心ものなのですね。怖くてしようがないから、西洋の侵略はなかったというウソの歴史を無理に信じこんで安心立命の境地に立とうとしているのです。 小林さん自身がウソの歴史を信じていれば、軍備放棄だけを訴えていればいいはずです。ところが実はそのようなウソの歴史を信じてはいない。そこで他人の歴史認識にあれこれ言って不安を紛らわしてくれるひとを探しているのです。 こういう人こそ最も容易に軍備拡張論者に早変わりします。小林さん、怖いのが嫌ならさっさと平和憲法反対論者になればよろしい。そうして私と対決しましょ。 |
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