29065 | 返信 | Re:テロリストと国際法 | URL | 水原文人 | 2004/07/28 19:00 | |
烏龍茶さん、 > 国際人道法(かつての戦時国際法の現在の呼び名だそうです)の権威である藤田久一教授に > よれば、 ほお、今はそういう呼び方になっているのですか。知りませんでした。 >テロ行為とは人道法上の用語とは言い難く、テロ行為そのものを包括的に禁止する > 国際法は存在しないとのことです。 おそらくそうだろうと思いました。ゲリラと見るか、テロと見るか、圧政に対する政治的暴力の行使と見るか、呼ぶ側の立場と主観によってまるで変わってきますから、そもそもできるかぎりすべてを平等に扱うべき法的発想には適しませんからね。 > ちなみに「テロ」とは「無差別的に向けられる攻撃ないし > 暴力行為」「敵、特に一般住民に対して心理的に混乱、不安、恐怖を生ぜしめる事を目的と > する行為」を総称するんだそうで、この定義に従えば正規軍であるか不正規兵であるかなどは > 無関係に、テロを行うものはすべてテロリストということになります。 > ファルージャで米軍がしたことを思えば、彼らも立派なテロリストと言うことになるかもしれ > ません。 「なるかも知れません」ではなく、テロリズムというのはあくまで政治用語ですから、使う側の政治的立場によっては立派にテロ行為になると思います。テロというのは元々「圧政」「恐怖政治」の意味でもありますし。 > また、既占領地域における被占領住民の敵対行為(イラクの「テロリスト」は、この定義が一 > 番近いかと思います)は、ハーグ条約において交戦者資格を持たず、占領軍は独自に定める > 軍律(軍命令に近い占領地区に適用される準法規のようなものです。軍法とは異なります)に > よって処罰することが許されています。しかしこの場合でもトルティーヤ氏が言われるごとく「即処刑」が認められるわけではなく、軍律審判(アメリカでは軍事委員会とか言うそうですが)という簡易裁判を経なければ処罰することは許されません。 しかも占領者の正当性が国際法的にも、政治的にも、限りなくグレーゾーンです。米軍が実質上の支配権を持っているという既成事実がある以上、米軍が裁判権を持つということにしかなりません。本来なら被告側が国際司法裁判所に逆提訴することすら可能かと思いますが、残念ながらアメリカは国際司法裁判所の権威を認めておりませんので・・・。 > もっとも、ジュネーブ条約第一追加議定書によれば、責任ある司令部の指揮下にある組織された武装勢力は紛争当事国が承認しているか否かを問わず「交戦者資格を有する」そうですから、 > 組織のありようによっては捕虜資格を有することになるかもしれません。 なるほど、そうですね。ただ「組織のありよう」を判断する主体がまた実質上の支配権を(法的・倫理的な裏付けは限りなくグレーゾーンな)アメリカ軍が握っているわけですから、そのような組織のありようがあることは決して認めないでしょうし、国際世論がそうと認めないように出す情報を操作するでしょうね。 > >またジュネーヴ条約違反などでも、相手国の利害が大きな割合で介入する場合を除けば、ま > >ず自国軍の軍法会議などで裁かれる場合が普通のように思えます。もちろん国際法となる条 > >約などに加盟している時点で、加盟国にはその条約の精神に則った軍規に基づいて公正な判 > >決を軍法会議などで下す責任を負っているわけですが。たとえば米軍予備役兵によるイラク > >の囚人虐待事件では、米国の軍法会議がどのような判決を下すかが、米軍つまり米国が国際 > >法の精神をどこまで順守するのかをはかるバロメ−ターになるのであろうと思いますが。 > > すべて、仰るとおりと思います。 残念ながらブッシュ政権は、自分たちが世界からどう見られているかについてまったく無頓着なようですし、イラク戦争が始まる前後から現代に至る日本政府の態度が、そういうアメリカの見当違いな自信と傲慢さをなによりも増長していると言わざるを得ません。日本が反対していれば、アメリカはもっと慎重にならざるを得なかったと思いますし、「有志連合」に賛成した国々のなかでどこよりも反対するだけの国力を持っていたのは日本でした。 |
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