29195 | 返信 | Re:真夏に舞う、哀しき阿呆。 | URL | inti-sol | 2004/08/09 23:14 | |
八木沢さん > 我が国の刑法には「死者の名誉毀損罪」など存在せず、民事訴訟においてもそれが認められたことはない。 後段は事実、前段はウソ。 刑法第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。 2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。 つまり、「虚偽の事実を摘示」した場合には、死者に対する名誉毀損も認められる余地があるわけですね。ただし、これはあくまでも刑法上の規定であって、損害賠償の対象にはならない。なぜなら、「名誉」は本人のみに属するもので、有形の財産と違って、それを遺族が相続することはあり得ないからです。 正解は、 我が国の刑法には「死者の名誉毀損」が規定されており、従って刑事罰の対象にはなりうるが、民事訴訟で認められることはない です。 実際には「死者の名誉毀損」によって刑事罰を受けた人は、おそらくいないと思いますが。 参考 八木沢氏とinti-solの間の論争経過 八木沢氏との論争はもともと遡っていくと、私の投稿24361に対して、 八木沢氏が投稿24695で「民事訴訟にも関わらず刑法の条文を読み上げて佐々木氏を追求した気になった」ことを揶揄したことに端を発しています。 それに対する私の反論が投稿24771 被告側の準備書面の引用ですが、判例が「死者の名誉ないし人格権についてであるが、刑法230条2項及び著作権法第60条はこれを肯定し、法律上保護すべきものとしていることは明らかである。右のほか、一般私法に関しては直接の規定はないが、特に右と異なる考え方をする理由は見出せないから(以下略)」として、死者の名誉毀損については、民事訴訟であっても刑法の条文を準用することを指摘しました。 ここまでの議論の中で、「直接保護」「間接保護」が話題になることはありませんでした。そして、これに対する八木沢氏の反論はなかった。首を長〜〜〜くして待ち、待ちきれずに度々挑発した結果、実に3ヶ月も経ってからなされた反論が、八木沢氏が自らリンクを貼っている投稿26262だったわけです。 ここで、八木沢氏は初めて「直接保護」「間接保護」を言い出します。 もちろん、被告側準備書面は、「間接保護」のことも念頭に置いています。ただし、「間接保護」という言葉ではなく、「遺族の敬愛追慕の情」という言葉によってですが。 八木沢氏が言及している「実録小説密告」事件判決(大阪地裁堺支部1983年3月23日)については、被告側準備書面も言及しています。それによると、判決文は「「本件文章により、何ら根拠のない憶測に基づき(中略)虚偽の事実を真実と思い込ませて(中略)原告の父に対する敬愛追慕の情を侵害した」としています。その他の判例(東京高判昭和54年3月14日判時918号)も、「遺族の敬愛追慕の情は死の直後にもっとも強く、その後時の経過とともに軽減していくものである(中略)本件文章はその死後44年余を経た昭和49年1月に発表されたものである。かような年月の経過のある場合、右行為の違法性を肯定するためには(中略)少なくとも摘示された事実が虚偽であることを要するものと解すべく」としています。 つまり、「間接保護」であっても、死者の名誉毀損が認められるにはやはり「虚偽の事実」である場合に限る、少なくとも死後44年も経てしまったらそうである、というのが判例であるわけです。参考までに、2人の少尉がなくなってから、遺族が提訴するまでには44年どころか54年の年月が経過しています。 なお、「エイズ・プライバシー事件」については投稿26270で反論しました。 |
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