29312 返信 Re:反日教育という妄想(2) URL 小林 哲夫 2004/08/16 21:46
皆様のサポートによって、中国の反日感情と反日教育の関係についての日本人の偏見が明らかになりつつあり、嬉しく思います。

そこで教育の問題をもう少し深く考えて見ます。

今回のサッカー試合での反日騒動を反日教育のせいだとする、世論が日本で沸きあがりました。
この意味は、中国の内政の矛盾を外に向けるために、中国政府が仕組んだ政策だといううがった解釈です。
こういう政治の説明が日本人には受け入れやすいので、世論にまで成っているようですが、良く考えるとおかしいことはすぐ解ります。

多くの人は「教科書に日中戦争のことが書いてあること。」を反日教育の証拠として挙げています。

しかし教科書と言うものは、編修されて、印刷され、販売されて、授業に何年も使われるもので、教育しようと考えてから何年か後にしか効果を表さない、長期的なものです。

内政の矛盾があって、外に逸らそうとして、教科書を作り始めて、すぐ間に合うものではありません。

また教科書に書いてあるから、それを先生が教えるとは限らないので、書いてあること全てが、生徒に伝わるものでもありません。

サッカー場でのあのような激しい反日感情を授業で意図的に作り出せるものではありません。
その為にはその前に先生の教育の徹底が必要であり、そんな気の長い話を政府が考えるはずが無いのです。

ただし私は、内政の矛盾を外交問題に逸らしたいと中国政府が考えること自体を否定しているのでは有りません。
そういうときはマスコミを使って行なうのが自然であって、教育を使うなどという回りくどいことは考えないと言っているのです。

日本でも戦前は、鬼畜米英というものすごい反米意識が高まりましたが、それは日本で反米教育が行なわれたからでしょうか?

もちろん軍国主義教育が行なわれたことは事実ですが、当時の教科書にアメリカの悪口が書いてあったでしょうか?

あの当時の日本の反米感情は、アメリカにおける反日感情との相互関係で出来上がったものあって、教科書教育によるものではありません。

学校で先生が反米意識に燃え上がって、生徒を教育したということは考えられますが、それは政府の政策や教科書によって出来ることではありません。

一方軍国主義教育ということは教科書によって行なわれたと思いますが、これは長期的愛国心教育であって、内政の矛盾を外にそらせるための反米教育などという短期的なことでは有り得ません。

反米感情が国民の中から沸きあがって、それが先生を通じて生徒にも燃え上がるというものです。

現在の中国の反日感情の原因は日中戦争に有るのであって、反日教育のせいではありません。

そのような中国観そのものが反中感情からでており、この反中感情に反応して、中国で反日感情が燃え上がるという悪循環が始まっていることに気がつかなければなりません。