29335 返信 自衛隊に入ろう(Re:日本人てクライネ) URL tpkn 2004/08/21 18:33
> ひと括りに『関東フォーク』だとあるんだか無いんだかよくわからないレッテルを貼って『なんか嘘っぽい』ちゅうのは如何なモノか?
>
> なんて、俺的にはいわゆる「フォーク」とされるヒト達なんかよりも、ハイ・ポジ、phew、SAKANA、町田町蔵(康)、高円寺百景あたりの方が世程、テイム・バックリイ、サンデイ・デニーに並ぶ立派な『フォーク』だと思いますが。

うわ、今度は関東のややこしいオッサンが…(笑)。

何が「フォーク」かというのは非常に難しい問題でありまして、「嘘くさい」といけないのかどうかということも含めて、関西と関東ではかなり感じ方が違うと思います。高田渡もはっぴいえんども当てはまりませんが、一般的に言って「後にニューミュージックに変態したのが、関東フォーク」ってな定義はどうでしょう?(w

ところで「自衛隊に入ろう」に話を戻しますと、このフラッシュに使われているカバー・バージョンを演奏しているガガガSPというバンドは、「パンク・イズ・フォーク、フォーク・イズ・パンク」というのがひとつのコンセプトになってまして、まあURCほか昔の関西フォークからの影響を公言しているバンドなのです(神戸のバンドです)。

で、最近の二十歳前後の人たちがどういうものを「パンク」と言っているかというと、歌詞的にはブルーハーツをルーツとし、音的にはいわゆるメロコアと言われるような、ポップな曲なんですね。これが、いわゆる「青春パンク」と言われているものであります。「青春パンク」系のバンドってのは、歌詞にヒネリも何もないのが特徴で、中には金八先生の「贈る言葉」をカバーしてしまうようなバンドすらあるんですね。その他のバンドも、人とのつながりがどうの、優しさがどうの…といったような、およそ関東や関西のややこしいオッサンの考える「パンク」とはかけ離れたことを歌っていたりします。要するにこれ、実体は昔で言う「ニューミュージック」であります。音が「パンク・ロック」なだけ。

ガガガSPはそういう「パンク」と「関西フォーク」の合体ですから、実体としては限りなくフォークとニューミュージックの境界にいるような感じになってしまうわけです。特にファンのほうはニューミュージック的、青春パンク的な聴き方をする人が多いようです。歌詞なんかに素直に感動する感じです。

となるとどういうことになるか。

たとえばガガガSPが反戦のアピールで「自衛隊に入ろう」をカバーしたとしても、聞き手がその文脈で受け取る可能性はものすごく小さかったりするわけです。この曲に関しては「かつて高田渡が云々…放送禁止云々」という文字情報や解説なしには、おそらくガガガSPのファンは反戦歌とは受け取らなかったでしょう。実際、未だにこれを自衛隊応援ソングと勘違いしている若い人はたくさんいるようです。

考えてみれば当たり前のことで、最初に高田渡が「自衛隊に入ろう」を出した当時ですら防衛庁は勘違いしてPRソングに採用しようとしたぐらいですから、今の二十歳前後の人たちのあいだで「自衛隊に入ろう」が揶揄や皮肉として成立する状況ってのは、ほとんどないのですね。また、ガガガSPというバンドのコンセプト自体にも、そういうコンテクストが欠けてます。

で、フナずしさんが紹介されたフラッシュに関していえば、ただ単に歌詞の内容に合わせた素材を組み合わせてつないだもので、そこに自衛隊やイラク派兵に対する風刺や批評性というのはほとんどないわけです。かといって、過剰に賛美しているふうでもない。ひとことで言えば、「何も言ってない」作品です。ところが、これって要するに今の若い人たちの自衛隊に対するスタンスを素直に表現したものなんですよね。『癒しのナショナリズム』で言う「普通の人」が作ったものという気がします。ということは、バック・トラックは高田渡のオリジナルではなく、ガガガSPバージョンでなければならなかった。それが必然であった、とも言えるかもしれません。

いずれにせよ、これを見て「爆笑」した人がいたとすれば、それはこの曲が反戦歌だという「情報」のみに反応してムリヤリ爆笑したとしか思えないわけで、たとえば頭の中にトウフヨウが詰まってるような人であれば、十分ありうることだと言えます。


■ガガガSP ホームページ
http://www.ldandk.com/gagaga/gatop2.html