29581 | 返信 | Re:9月6日「百人斬り」裁判公判:その意味 | URL | 渡辺 | 2004/09/21 15:14 | |
梶村太一郎さん、 >> (1)直接保護説に対しては、死後に権利能力の限定的存続を認める実定法上の根拠が明確でないことが難点 >> (2)間接保護説に対しては、遺族の内心的・感情的利益が不法行為上独立して保護に値するか疑問 >の(2)の問題を解決するために「追憶・Andenken」という生者(遺族)の行為に対する犯罪としてあるのでしょう。 『「追憶・Andenken」という生者(遺族)の行為』というのは、刑法のことですよね。 これが、実際、どのように運用されているか分かりませんが、「追憶」というものは主観的であって、むやみに振り回されると困るわけです。日本の刑法では、虚偽の指摘によることが、死者の名誉毀損の要件になっています。 民事では、判例として、半世紀というような時間を経過したものは歴史的事実探求に移行する、平たく言えば、そんなとは名誉毀損だなどと裁判所にもってくるのではなく、歴史の議論で争いなさいというということになっています。 しかし、最近死亡したような場合では、やはり、通常の名誉毀損と同様に、被告側による真実性立証が必要とされています。 「百人斬り訴訟」の場合ですが、原告支援サイトを見ますと、ところどころおかしなことが書かれています。これは、弁護士の主張がそもそもおかしい部分と、そのサイトを書いた人が誤解したり拡大解釈している部分があるようです。 余談になりますが、最近見たところで明らかにおかしいのは、田中軍吉が「百人斬り訴訟」の共犯として処刑されたが、両将校は田中氏と面識がないという主旨の記述がありました。これは、確かに表現は違うものの、原告側代理人がそう理解している内容の準備書面が提出されているようです。この方面にくわしい人なら絶句するような内容です。(もっとも、この訴訟は南京軍事法廷とは関係はありませんし、私が知る限りでは、被告もそんなことは争っていません。) 閑話休題、ここで、死者の名誉毀損に話しを戻します。死者の名誉毀損により「遺族の敬愛追慕の情」という権利が侵害されたかが問題となっています。これは、原告の準備書面にも書かれております。ところが、原告支援者のサイトを見ますと、仮に名誉毀損でなくても「遺族の敬愛追慕の情」が侵害されている、という主旨の記述があります。これも、原告支援者の聞き間違いというわけではなく、確かに原告代理人はそれに近い考え方をしているようです。 原告側は、名誉毀損は難しいと考えて、「遺族の敬愛追慕の情」だけを切り出して強調しているようにみえます。 この訴訟について、巷ネット上で、南京の博物館で「百人斬り」が展示されているから遺族の感情が云々と投稿する人が絶えません。被告の毎日新聞と本多勝一氏には関係のないことです。しかし、原告側のキャンペーンの結果、そういう言説が流布しているようです。 |
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