29745 | 返信 | Re:「イスラエル」支配地域はすべて「占領地」Re:処刑された死者にも死後の人権はある。 | URL | にゃにゃにゃにゃにゃ | 2004/09/30 12:18 | |
> 「ユダヤ人の9割(東欧系ユダヤ人)のルーツはイスラエル=パレスチナではない!」などというのは、まったく当たり前の話で、ユダヤ人のほとんどは各地でユダヤ教に改宗した人々であったでしょう。ユダヤ人というのは、民族ではなく、一つのカーストのようなものであったから、流出・流入があり、民族的な継続はほとんど存在しません。それ以前に、「フィラスチーンからの離散」ということ自体、神話にすぎません。 > > ハザール王国の人々が、ユダヤ教の一派に改宗したことは事実ですが、彼らのほとんどはキエフ公国の崩壊とともにキリスト教に改宗して同化したと思われます。また、言語学などの分析からも、東欧系ユダヤ人の文化の中に、ハザールからきたものは少ないことがわかっています。 > > なお、ハザール王国の人々が改宗した宗派は、9世紀にイラークで成立したカライ派と呼ばれるもので、ほかのユダヤ教とは著しく異なります。ナチスは、「カライ派はユダヤ人ではない」として、迫害の対象にしませんでした。カライ派は、現在でも数万人の信徒を擁しています。 「ユダヤ人は民族的な存在ではない」というのは、決して森永和彦さん一人の主張ではなく、実は少なくない数の左翼の間に広範に存在しているものです。 だけど、「人種」と「民族」をゴッチャにしてはいけないと思う。ユダヤ人が人種的な存在ではないということは、ヨーロッパ出身のユダヤ人と、アラブ出身のユダヤ人を比べれば、誰にでもわかる。同じように、アラブ人も人種的な存在ではない。シリアのアラブ人と、スーダンのアラブ人を比べれば、そのことも誰にでもわかる。 ユダヤ人は歴史的にみて、ユダヤ教に改宗した人達を自分達の同胞として受け入れるいっぽう、ユダヤ教から他の宗教に改宗した人達を自分達の共同体から追放した。それゆえ、血縁的にいえば、パレスチナ人もまた、古代ユダヤ人とは無関係ではない。(その意味でも、パレスチナ難民は故郷に帰還する権利がある) 同じように、アラビア半島以外の地に居住する現代アラブ人も、アラビア文字で書かれた聖クルアーン(コーラン)を受け入れることによって、アラビア語、アラビア文字を用いるようになった人達の子孫である。 だからといって、ユダヤ人を「民族的存在ではない」というのは、果たして正しいことなのだろうか?「人種」と異なり、「民族」としての概念は「文化や伝統歴史的に形成された同族意識を持つ集団」であることによって決まるわけで、具体的には「言語を共有することが重要視される」わけだが、ディアスポラ時代においても、ユダヤ人はイディッシュ語やラディノ語、ボハラ語(ユダヤ・ペルシア語)、モグラビット語(ユダヤ・アラビア語)といった固有の言語を有しており、「民族的存在じゃない」という主張は無理があると思う。 また、民族的存在と宗教的存在とは全く別物だという主張を唱える人達は、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦で話題になった「モスレム人」の存在については、なぜか口をつぐもうとしている。ちなみに、セルビア人(宗教はセルビア正教)とクロアチア人(宗教はカトリック)についても、両者は同じセルボクロアチア語を用いており、文字だけが違うだけである。(セルビア人はキリル文字。クロアチア人はローマ字) 重要なことは「ユダヤ人は民族的存在じゃない」という主張は、「だから、ユダヤ人は同化するのが正しい」という主張につながる性質があるということだろう。『ユダヤ人とは何か/ユダヤ人?』(三友社)には、そういう記述が存在している。 |
||||||
![]() |