29912	返信	敗者の戦後。講和諸条約、諸協定締結後の「共存」	URL	工藤猛	2004/10/07 05:20
戦争は諸国で世代をついで戦われてきた。敗者には次の戦争に備えて臥薪嘗胆する場合もあれば（戦間期）、敗戦後の講和で決着をつけて、戦後に共存的な外交姿勢で相互に戦争しない関係を多国間で築く方向もある。敗者の戦後もあれば。勝者にも戦後はある。勝者にとって戦後は次の戦争までの「息継ぎの時間」か。第二次大戦後、日本国は連合国に降伏した。戦後冷戦が朝鮮半島で熱戦になり講和条約はアメリカを筆頭にする自由主義陣営と結ばれた。サンフランシスコ条約に参加しなかった諸国とは個別に「戦争終結」後の取り決めをした。諸条約、諸協定で敗戦に伴う「賠償責任」は国家として果たし終えた。第二次大戦後、国際連盟の不備を補い国際間の平和構築に国際連合を戦勝国は設立した。金融、貿易に関する国際的な取り決めや機関、機構も新たに作り上げた。１９２９年のアメリカでの株価大暴落に端を発した１９３０年代の「大不況」再発を防ぐために市場参入、資源入手（貿易）にブロック化阻止の仕組みを作ろうとした。戦争防止のタメにも。イギリス帝国の特恵関税制度は第二次大戦時の膨大なアメリカからの援助を返済できないのでイギリスは放棄するしかなかった。大英帝国の崩壊だ。ソビエトは莫大な軍事物資（戦車、飛行機、軍用トラック何万台も援助されていた）、石油・食料等の経済物資援助の返済をしなかったので東欧を支配下に置き大帝国を築いた。社会主義の世界体制が成立した。１９４９．１０．１に紫禁城を前にした天安門で毛沢東は中華人民共和国の設立を高らかに歌い上げた。（希望に満ちていたろうよ。）（その当時日本国は連合軍の占領下にあり飢餓にあえいでいた。インフレと　闇市場で庶民はあえいでいた。官僚も個々の家庭も餓死しないために　口に入る食糧確保に必死だった。）戦後の国際的な秩序は戦勝国が作った。国連は戦勝した５大国が指導する機関だ。中国もその一カ国だ。常任理事国で拒否権を持っている。国際社会の平和維持に責任を持つ大国であると国連で認められている国だ。戦勝国の一員である中国は内戦に勝ち抜いた中国共産党が大陸を支配した。国民党は台湾に追いやられた。中国大陸を支配した中国共産党の戦後は過酷なものになった。１９５０年チベットに軍事侵攻し占領した。チベット政府は欧米に援助を求めたが介入する大国は無かった。同年朝鮮戦争に参戦した。その後１９６０年代ロシアと仲たがいし社会主義の指導権争いをした。インドと戦争し、ベトナムと戦争をした。１９７２年、アメリカと和解し始めた。１９６６年から始まった狂気の文化大革命が国内を荒廃し尽くして１９７７年に終焉した。その後中国共産党内の権力闘争に勝ち抜いた鄧小平は「改革開放路線」に踏み切り、人民公社を解体し、農民に個別に耕作する権利を与えることで農業を復活させ、工業の自立更正路線をやめ外資の導入と中国国内での資本主義的な生産関係の一部復活を許した。経済状況の回復とともに「自由と民主」を求める層も増えてきた。１９８９年、「自由と民主」を求める層は天安門で中国共産党の鉄壁の独裁とぶつかることになった。中国人民軍は学生、民衆をけちらし「プロレタリア独裁」の真髄を世界に見せ付けた。どうしたわけかその後も資本主義諸国の投資は続き農村部の膨大な低賃金労働力を利用した「世界の工場」が出来上がった。中国大陸では労働者は自由に労働組合すら作れない。団結権がない。共産党幹部や地方役人の賄賂要求が企業家の求める利潤額に食い込まない限り社会主義中国は企業家と共存することになった。ＷＴＯに加入することにより国内市場で外国企業と対等の条件で競争することになる。銀行も証券会社も中国市場で外国企業と対等に競争することになる。採算の合わない巨大国営企業に勝ち目は無い。レイオフ、失業の嵐だ。失業保険等の社会保障は整備されていない。仕組みを変えたのに、労働者を保護する社会保険等の制度は未整備のままだ。実質債務超過の国営企業にいつまで資金を銀行に命じて注入できるのか。各種の推計が出ているが中国国内の銀行の不良資産は算定不能に近い。日本でも30兆円の不良資産と公表されていた時で今から思えば５倍以上の隠れ不良資産が少なくともあった。何年かかった。いくつの銀行をつぶしたことか。公的資金を注入したことか。景気浮揚で公共事業にどれだけ予算をつぎ込んだ。国債残高と地方債あわせてすぐにでも 1000兆円になりそうだ。なんとかまだ持ちこたえている。思い出すなー。資本の自由化とか国内市場の自由化で日本でも１９６０年代以降にあたふたしていた。まだ時間的な余裕があった。冷戦真っ盛りでお目こぼしがあった。対応する時間を何年間か各種産業に与えることが出来た。構造改善が段階を踏んである程度できた。中国の場合にはそれが一遍に来る。金融も産業も農業も国内で国際企業との競争にさらされる。国家財政で支えきれる限度がついに来る。内陸部農民や都市や都市周辺の失業者の怒りが限度に達する時期が来る。富の偏在、役人や共産党幹部の腐敗は沸騰点を高める。中国共産党や政府も必死だろう。財源が底をついたらおしまいだ。どっちに転ぶだろうか。民族排外主義をより鼓舞する方向に向かうのだろうか。日本近海の海底資源をより強引に強奪してゆく方向になるのだろうか。１９８９年以降に江沢民政権が推し進めた「反日」路線に軌道修正はあるのか。高校生向きの新しい歴史教科書は若干「反日」をセイブしているようだ。新たな動きだけれども、一部で発表されていた未来志向で日本との関係を強めるといった学者や党機関の研究者は左遷されたか沈黙している。中国共産党にもぶれがある。読みきれないのではないだろうか。日本国もどこまで「普通」の国のように振舞うのかはっきりしない。数年のうちにドイツと一緒になって安保理の常任理事国になるのか、ならないのか。集団的自衛権の行使を日本国政府は認めるのか認めないのか。アメリカに追随して海外により多数の軍隊を派兵するのか、しないのか。日本国内での憲法改正論議は自民党と民主党の間で数年のうちに実質的な協議に入るのか入らないのか。日本国の経済は趨勢的に衰退するのか、ある程度盛り返す機運が続くのか。中国共産党も自国の産業基盤、金融基盤のもろさ、底の浅さには危惧していると思われる。高層ビルを無秩序に建てすぎた。融資を集中しすぎた。工業団地も全国で無制限に造成しすぎた。インフラ整備が間に合わない。日本も経験したことだ。過剰融資が逆襲してくる。失業者が声を上げる。内陸部の農民が役人をつるし上げ都市に押し寄せてくる。経済特区だけが地方を植民地収奪状況のままにして見せ掛けの繁栄を謳歌し続けことが出来るか。全国民がその繁栄の分け前を求めて共産党に要求を突きつける。９億人を踏みつけて４億人だけが豊かな生活を送れるわけがない。治安機関が武装警察隊が中国人民軍が一時は抑圧、弾圧できても「天命」は下る。中国人民はそのように歴史を生きてきた。「自由と民主」の王朝が次には天命を待っている。どっちの方向に中国大陸は進むのだろうか。台湾は民主的な資本主義の国になった。世界に誇れる東アジアの先進国になった。中国大陸は恐怖の警察国家の締め付けの中で窒息してゆくのか。困難だけれども内陸部の農民を巻き込んで「自由と民主」のある国に長期の努力とともに共産党の方針変更でできるのだろうか。それとも新たな大動乱を経て「天命」が次の指導者に下るのだろうか。世界経済の状況次第で変わる。アメリカや日本の政策でも変わると思う。アメリカや日本はもう危機を脱してソフトランディングしたのだろうか。仕切れていないような気もするし。これからの展開次第だな。あれだけのイラク戦費。年間10兆円をこえる。アメリカでも払い続けるのは困難だ。年間１０００人を超えるアメリカ兵の戦死にいつまでアメリカ国民は堪えられるのだろうか。不明というしかないな。政策転換するにはスペインのように政権を変えるしかあるまい。日本にとってどっちが有利な政権かは微妙な判断になる。世界経済にとってどちらの政権が貢献するのか判断つきかねる。戦争は財政支出を増やすが世界を混乱の淵にまで追い込みかねない。アメリカ国民の判断を待つしかないな。＊＊＊＊＊＊＊＊＊人肉食いを記載する他国の教科書は歴史の一時期のあだ花として消え去る運命だろう。長期的に見ればだが。国が豊かになれば、そのようなばかげた歴史の捏造をしなくなる。