30225 返信 南京大虐殺に対する戦時国際法の適用について Re:追加です URL 烏龍茶 2004/10/19 22:22
gajiさん、こんばんは。レスありがとうございます。

>便衣兵になること自体、戦時下では犯罪的な行為なのではありませんか?

便衣兵とはゲリラのことであります。ゲリラとは、正規兵が行う場合、背信の行為を手段とし
て敵兵力の殺傷を行う戦闘法のことです。
南京の、あなたが言うところの「便衣兵」は、便衣(平服)に着替えた正規兵です。しかし、その状態で、事実として戦闘(敵兵力の殺傷ですね)を行っていません。従って彼らはあなたの言うごとく「便衣兵」ではありませんし、また「国際法違反」も犯していません。

>そして彼らは中立であるはずの安全地区に潜伏しました。
武装を放棄して、ですね。安全区に武装を放棄した正規兵が侵入してはいけないという国際法上の根拠条文がありますか?

>安全区の一般人を日本軍(占領軍)は保護していましたが。けれど当然ながら便衣兵は摘出
>しています
安全区で捕まった便衣の中国人は、基本的に軍律審判も現地刑法等による裁判も一切受けていません。従って摘出された中国人はすべて、「潜伏した中国兵の容疑者」です。容疑者である以上、裁判を以て法的地位を容疑者から犯罪者にしなければ、処罰はできません。にもかかわらず、容疑者のまま、しかも処刑の権限を持たない一般兵士がこれを殺している。これでは国際法が要求するところの保護をしていた事になどなりません。

仮 に 、捕まった中国人が「すべて」中国正規兵であり、かつ何らかの国際法違反行為をしていたとしても、あなた自身が引用した吉田論文にも書かれているように、「裁判を経なければ」処罰はできないのです。
このように、安全区で日本軍が行った「便衣兵狩り」はどの角度から見ても、違法な虐殺行為でしかないのです。

ちなみに、
>いずれにしても、連行されたのは兵士と警官であると記しており、民間人が連行されたとは
>書かれていません
18日の記述には、ですね。しかし別の日の日記にはラーベは民間人の連行の例を書いています。上記引用文のように書くと、まるでそんなことは日記のどの部分を見ても書かれていないようです。こういう書き方って、【 ウ ソ 】ですね。
あなたが引用した同じページのこれ↓を見ると、その悪質さが浮き彫りになります。

>第一ラーベは市民連行を目撃しておらず、そういう事があったとも記録していない

更に、同ページの作者が悪質なのは、ラーベ日記に書かれている日本軍の残虐行為や国際法違反行為については、口をつぐんでいることです。ラーベの日記の都合のいい部分のみもってきて、日本軍を免責しようとする態度は、公平でも公正でもありません。

ご理解いただけましたか?

>兵士の多くは坊主頭だったそうです。実際にこの写真で判別できる範囲の人間も、ほとんど
>が坊主頭であることが確認できます。これにヘルメット焼けや、銃ダコの有無、その他の身
>体的特徴が重なった場合は「兵士」と考えたようです。

これなども、安全区の便衣の中国人の処刑を免責しようとする論としては、ずいぶん古めかしいものなんですが、そもそもこのような基準でもって「民間人」と「兵士」を区別する権限など、戦闘部隊の兵士はもっていません。
敵正規兵に対しては国際法違反の場合に限り、また非戦闘員の場合は占領軍の定めた軍律に違反した場合にのみ、占領軍側にこれを処罰する権限が与えられますが、いずれの場合も裁判(軍律審判)を経なければそれを行えません。
決定的なのは、日本軍はこうした裁判など一切行わずに、漠然とした疑いのみで容疑者を殺している(処刑とは言いません。処刑とは刑に処することであり、法に基づいた手続き抜きには行えません。従って日本軍の行ったことを「処刑」と表現すること自体、間違いであります)事です。上にも書きましたが、いかなる基準を以てしても、日本軍の行ったのは虐殺でしかありません。

>南京に避難した住民の多くは貧困層で、首都防衛にあたって大規模な徴兵が行われた事など
>を考えると、上記写真に写っている男性が「一般市民」である確立はかなり低いと考えてよ
>いでしょう。
外見上どのような印象であろうと、容疑者は容疑者です。

>(南京市民で徴兵された者も、徴兵された以上は兵士であり、安全区に家族がいて無実を訴
>えたとしても市民としては扱われない)
兵士ならば、当然捕まった時点で「捕虜」となります。捕虜は戦闘部隊に処分の権限などなく、とらえた軍が所属する国の政府が保護給養する義務を負います。

>コピペばかりで恐縮ですが、中国兵は唐生智によっても殺されています。
論点とは無関係のようです。

>また、捕虜として扱われ、釈放されたひとたちもいたようです。
下に引用されている中島今朝吾(第十六師団長)日記の記述が証拠でしょうか?
これ、かなり悪質な資料のトリミングの実例ですよ。どういう事かと申しますと、

>洞氏にかぎらず虐殺派はおしなべてこの中島中将の「捕虜はせぬ方針」というのを一般に誤
>解して、南京の捕虜はかたっぱしから殺害したかのごとく主張するが、決してそうではな
>い。
中島日記の「捕虜はせぬ方針」は、12月13日(南京占領当日)の以下の記述によります。

 一、大体捕虜はせぬ方針なれば片端より之を片付くることとなしたるも千五千一万の群衆と
   なれば之が武装を解除することすら出来ず唯彼等が全く戦意を失いゾロゾロついて来る
   から安全なるものの之が一旦騒擾せば始末に困るので部隊をトラックにて増派して監視
   と誘導に任じ十三日夕はトラックの大活動を要したり乍併戦勝直後のことなれば中々実
   行は敏速には出来ず  斯る処置は当初より予想だにせざりし処なれば参謀部は大多忙
   を極めたり

「片端より片づける」が「釈放だ」というのも妙な話なんですが、上の記述に続く以下の部分
まで引用すれば「片づける」とか「処理」が釈放のことなどではないことがわかります。

 一、後に至りて知る処に拠りて佐々木部隊丈にて処理せしもの約一万五千、太平門に於ける
   守備の一中隊長が処理せしもの約一三〇〇其仙鶴門附近に集結したるもの約七八千人あ
   り尚続々投降し来る
 一、此七八千人、之を片付くるには相当大なる壕を要し中々見当らず一案としては百二百二
   分割したる後適当のカ処に誘きて処理する予定なり

いいですか?「片づける」のに「相当大きな穴」が必要なんだそうです。それがなかなか見つからないから、二百人くらいに小分けして適当な場所で処理するんだそうです。釈放するのに、なんで大きな穴がいるんでしょう?釈放するためなどではなく、処刑して埋めるため、ですよね。
あなたの引用したページの作者(あるいはその文を書いた人物)は、処理の意味がわからないように「大きな穴がいる」と書いた部分を隠したわけです。

>これについて大西一上海派遣軍参謀はこう述べている。
>「それは銃器を取り上げ釈放せい、ということです。中国兵は全国各地から集っています
>が、自分の国ですから歩いて帰れます」(阿羅健一著「聞き書南京事件」)。
しかも、そういうウソ(事実の一部しか語らず、それを根拠にすることは明確なウソです)に
基づいた主張に、当時の軍首脳が迎合するような発言をしている。こういう部分に南京大虐殺の真実解明を難しくしている要因の一つがあります。

>以上のように最近では虐殺派の学者でさえ「捕虜資格アリ」とは言えなくなってきたようで
>す。
吉田論文は、「正規兵が仮に国際法違反を犯した場合でも」という趣旨の論述を行っています。
安全区の便衣の中国兵が国際法違反など犯していないのは、すでに示したとおりです。
彼らには、立派な捕虜資格がありました。