30578 | 返信 | 今年の台風(2) | URL | memo | 2004/11/04 01:53 | |
30216番投稿の続きです。 http://bbs2.otd.co.jp/mondou/bbs_plain?base=30216&range=1 上記投稿の中で、死者41人を数えた台風18号について > 今年最大最凶の台風です。 と表現したのですが、この形容は3日と持ちませんでした。 認識が甘かったとしか言いようがありません。 【台風23号】 10/20-21 高知→茨城 950hPa 87人以上 四国東部を通って大阪府に再上陸し、各地に大雨を降らせ、1979年台風20号(死者・不明111人)以来最多の犠牲者を出しました。岡山の最大瞬間風速41.4m、高松の日降水量210mm、長野の日降水量120mmはいずれも観測記録です。 今年10個の台風上陸による死者・行方不明者の合計は200人を超えましたが、これは1971年以来、33年ぶりの惨状となりました。 ** http://www.bousai.go.jp/ (防災情報のページ) から、犠牲者の内訳について調べてみました。 まず、年齢性別毎の死者数です。 以下の死者分類全てに当てはまることですが、分類できなかった死者は数えていません。 男性 19歳以下0人 20〜39歳11人 40〜59歳11人 60〜79歳56人 80歳以上13人 女性 19歳以下3人 20〜39歳1人 40〜59歳10人 60〜79歳16人 80歳以上8人 60歳以上の男性が多数を占めています。 彼らは必ずしも土砂崩れ等で受動的にやられたわけではなく、田や川の様子を見に行って流されたり、屋根から転落したりというケースがかなりあります。 次に地域別の死者数です。8人以上の死者が出ている県は県名を記しました。 北海道8人 東北1人 関東4人 中部22人(三重9) 近畿44人(兵庫27、京都14) 中国41人(山口25、岡山8) 四国57人(愛媛26、香川18、高知8)、九州11人 山口県の25人には、台風18号によるインドネシア船の遭難19人を含みます。愛媛の被害は主に台風21号によるもので、兵庫は23号にやられました。 強い台風が通ったのは西日本が多いので西に偏るのは当然ですが、その中でも台風に強い地域と弱い地域があるようです。例えば沖縄には台風18号や23号も直撃しましたが、死者は21号の時の1人にとどまりました。 また、全国的な傾向として「都会」より「田舎」に被害が出ています。 人口10万人以上の都市の死者 29人(17%) 人口10万人未満の都市及び町村の死者 141人(83%) (注:日本人の約60%は人口10万人以上の都市に居住している) 例えば、台風23号は大阪をほぼ直撃しましたが、大阪・神戸・京都といった都市部では死者を免れた一方で、周辺の淡路・丹後・但馬地域では、豪雨による土砂崩れや屋上浸水等のため、これら3地域だけで中越地震に匹敵する程の犠牲を出しました。 「田舎」は高齢化が進んでいるので、本来若手の仕事であるはずの見回りなどを年寄りがやる羽目になり、結果遭難を招いていることも多いのでしょう。 なお「都会」でも、札幌は台風18号の暴風でかなりの被害を受けています。 ** 最近上陸する台風が増えているのかと思って調べてみましたが、そういうわけでもないようです。 http://www.jma.go.jp/JMA_HP/jma/index.html (気象庁のホームページ)より [台風の1年当たり上陸数の平均と標準偏差] 1961-70年 平均3.3 標準偏差1.2 1971-80年 平均2.4 標準偏差1.1 1981-90年 平均2.6 標準偏差1.9 1991-2000年 平均2.8 標準偏差1.6 2001-2004年 平均4.4 標準偏差3.3 今年の上陸数が多かったので2001-2004年の平均値も跳ね上がっていますが、2010年までの平均を取れば60年代の平均値くらいに落ち着いていく可能性はあります。今年の台風にしても上陸時の中心気圧は低くて940hPa程度であり、いわゆる「昭和の3大台風」ほどではありません。 室戸台風 1934年9月21日上陸 中心気圧912hPa? 死者・行方不明3036人 枕崎台風 1945年9月17日上陸 中心気圧916hPa? 死者・行方不明3756人 伊勢湾台風 1959年9月26日上陸 中心気圧929hPa 死者・行方不明5098人 ただ、台風上陸の平均数は増えていなくても、標準偏差が増えてきている、つまり台風が来る年と来ない年の落差が大きくなってきている傾向はあります。年間の降水量の統計を見ても、東京や神戸では明らかに「雨が降る年」と「雨が降らない年」の落差が大きくなっています。 [1961-70年の年平均降水量と標準偏差(mm)] 札幌1157±134 東京1345±220 神戸1388±197 福岡1544±288 那覇2074±635 [2001-03年の年平均降水量と標準偏差(mm)] 札幌1047±114 東京1547±284 神戸1075±401 福岡1638±287 那覇2042±593 大阪には1968年に欠測があるので、神戸の記録で代用しました。 背景には、温暖化の影響も考えられます。那覇の記録を見ると、亜熱帯では降水量 偏差が大きくなるようですから。 [1961-70年の年平均気温と標準偏差(℃)] 札幌8.1±0.4 東京15.4±0.4 神戸15.5±0.4 福岡16.0±0.5 那覇22.3±0.3 [2001-03年の年平均気温と標準偏差(℃)] 札幌8.7±0.4 東京16.4±0.4 神戸16.9±0.2 福岡17.2±0.1 那覇23.3±0.1 この40年で約1℃気温が上がっています。日本列島周辺では大体「緯度が1度高くなると平均気温が1℃低くなる」という関係がありますから、これは日本全体が1度(111km)分南にずれてきたことに匹敵します。西進した台風10号の進路を見たときも、特に西日本の気候が亜熱帯化してきてたという印象は受けました。(低気圧は、温帯では普通西から東に移動しますが、熱帯では東から西に移動します) ** 余談 ** 南京事件についての議論の盛り上がりには圧倒されました。 |
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