| 31076 | 返信 | Re:ICTYの違法性についてRe:Erna Parisは帝国主義の手先 Re:『歴史の影――恥辱と贖罪の場所で』 | URL | 前田 朗 | 2004/11/23 13:52 | |
| 森永和彦さん ご教示ありがとうございます。 > > ICTYを否定することは、「暴論」でも何でもなく、全世界の反帝国主義的・良心的法学者の声です。 > ICTYの評価については諸説ありますが、国連安保理事会でも国連総会でも国際司法裁判所でも「違法」とは言われていません。国際司法裁判所はICTYを肯定しています。また、多くの国際法学者のテキストがICTY判決を合法な先例として引用しています。私の手元にあるだけでも10冊を越えるテキストがそうです。2つだけ示しておきます。 Antonio Cassese, Paola Gaeta & John R.W.D.Jones (ed.) The Rome Statute of the International Criminal Court: A Commentary, Volume1 & 2, Oxford,2002. 本書は2018ページという分厚さの、現在のところ国際刑事裁判所に関する最高の評価を得ている注釈書です。随所でICTY判決を肯定的に引用しています。 Knut Doermann, Elements of War Crimes under the Rome Statute of the International Criminal Court. ICRC, Cambridge,2002. 著者は国際赤十字の法律顧問です。本書は国際刑事裁判所規程のうちの「戦争犯罪」に限定してその成立要件を解説しています。戦争犯罪の成立要件について最も信頼されている著作といっていいものです。 現在の国際法は帝国主義諸国の利害によってゆがめられた国際法ですから、さまざまに批判することができます。安保理事会それ自体(制度も実際の決議等の行動も)にも多大な疑問があることはいうまでもありません。しかし、国際法は、もともと理想の法でもなんでもなく、国家実行(慣行)を基礎に形成されてきたのですから、安保理事会・国連総会・国際司法裁判所・多数の国際法学者の意見が一致している以上、それが国際法なのであって、たとえ森永さんのお気に召さないとしても、「ICTYは違法」という主張は現行国際法の世界では残念ながら通用しないでしょう。 「全世界の反帝国主義的・良心的法学者」ですか。オクスフォードやケンブリッジから出版されている本などは「帝国主義的」ということになるのでしょうか。 私は「反帝国主義」的な主張と活動をしてきた一人ですが、「反帝国主義的法学者」とは考えていません。たとえば、VAWW NET ジャパンが中心となって開催した「日本軍性奴隷制を裁く2000年女性国際戦犯法廷」は、帝国主義による戦争犯罪を徹底追及しましたが、同時にジェンダー観点を重視しています。ジェンダー観点から見れば、「反帝国主義的・良心的法学者」とやらの大半は「犯罪的主張を繰り返す法学者」かもしれません(私は1998年春の準備段階からずっとこの女性法廷にかかわっていました。なお、前田朗『民衆法廷の思想』現代人文社、2003年、第3章)。http://www1.jca.apc.org/vaww-net-japan/ > > ここにあなたの限界が現れています。Ramsey Clarkを尊敬するといいながら、彼と同じように行動することができず、「公式の世界」から自らを断ち切ることができないのです。Ramsey Clarkのように、「公式の世界」との縁を切って、あらゆる誹謗を受けながら活動する勇気がないのです。 ラムゼー・クラークさんについて言えば、「湾岸戦争」時の国際法廷とその準備段階の公聴会(渋谷・山手教会でも公聴会をやりました。ラムゼー・クラーク『アメリカの戦争犯罪』柏書房、1992年)の頃から尊敬していますので、私たちのアフガニスタン国際戦犯民衆法廷(ICTA)ではクラークさんに顧問になっていただきました。http://afghan-tribunal.3005.net/ 本年1月にインドのムンバイで開かれた「世界社会フォーラム(WSF)」では、アジア女性人権評議会(AWHRC)主催の「アメリカの戦争犯罪を裁く女性世界法廷」でご一緒しました。私は証言者、クラークさんは陪審員として参加です。 8月26日にはニューヨークでクラークさんたち国際行動センター(IAC)主催のブッシュを裁く法廷にも参加しました。クラークさんは起訴状を書いた検事で、私は証言者です。http://www.iacenter.org/ ちなみに、その一部はマブイ・シネコープのビデオ『ブッシュを倒せ』でごらんいただけます。http://homepage2.nifty.com/cine-mabui/ 私はクラークさんと一緒に活動させてもらっていますが、だからと言って、すべてクラークさんと同じ考えということでは、勿論ありません。それが私の「限界」なのでしょうか(笑)。 > > (余談ですが、Ramsey Clarkについては、ナチ戦犯を弁護したことなど、支持できない点もあります。) クラークさんが「ナチ戦犯を弁護したことなど、支持できない」というのは不思議ですね。弁護士がその職務としてナチ戦犯であっても弁護するのは当然のことです。刑事裁判における弁護人の役割を強調されている森永さんの言葉とは思えません。 それより、「反帝国主義的・良心的法学者」を称える森永さんは、クラークさんがかつてアメリカ司法長官であったこと、つまり「帝国主義の番頭」であったことをなぜ疑問視しないのでしょうか。 アーリンダさんについてもご説明しておきましょう。彼はウィリアム・ミッチェル大学ロースクール教授で、弁護士です。アメリカで「民衆の弁護士」を掲げる、闘う法律家集団である「ナショナル・ローヤーズ・ギルド」の元議長です。また、ルワンダ国際刑事法廷(ICTR)で弁護人を勤めています。私たちICTAの判事団の一人として活躍していただきました。上記8月26日のブッシュを裁く法廷には傍聴者として参加していました。このところ、アメリカの「愛国者法」による不当逮捕・違法捜査・でっちあげと闘っています。 |
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