31400 | 返信 | Re:試しに「ブラックジャックによろしく 精神科編」から強引に語ってみるー強引じゃないでしょう | URL | 上海 | 2004/12/12 10:34 | |
あしなさん、 精神障害-憐憫云々議論のみなさん シドニー紀伊国屋で日本価格の4倍する漫画雑誌は到底買えないので読んでませんが、 精神科編に描かれている内容は、凡そ理解できました。 >具体的には入院患者の6割を統合失調症者が占め、平均 > 在院日数が一年前後というところ。それは国内の精神科病床の典型と言える。となれば精 > 神科編における問題点は、日本における従来の典型的な精神科病床の役割が、本音のとこ > ろでは「危ないキチガイ」の収容=社会防衛であって、患者個人を受益者とする一般的な > 医療からほど遠いという事実と言える。或いはそのような状況を余儀なくする様々な施策 > や政策誘導とそれに乗じた(流された)関係者の在り方も問題なのだとも言える。 刑務所へ収容されている、凡そ6万人に対して、精神病での長期入院や自宅での監禁に近い状態で、社会に出られない「精神病」患者が30万人いるという事ですね。 イタリアのトリエステでの精神病院廃止という壮大な試みがありますが、 http://www.seirokyo.com/archive/world/trieste/021124document.html もう少し詳しい情報あったら教えてください。 > > ここで「医療と司法と行政が切り結ぶ問題」とは何か?について詳述しようとすると切 > りもないし手に余るのが、医療側の視点からごく簡単に言えば、要は「精神障害者」であ > るという理由で、「危ない奴を排除する」と社会防衛を目的に、人を殺した人も人を殴っ > たことすらない人も同様に隔離・収容され無権利状態におかれているということである。 > > 付言すれば、筆者は短期的な行動制限が必要な場合を認める。その場合それは患者の利 > 益・治療上の必要による。医療行為は対象者のより長期的・包括的な利益のために、一定 > の制限や痛みを甘受させるという側面を持たざるを得ない。そしてそれは患者の利益に適 > うことによってのみ正当化される。 > > 医療者としての主人公の視点からもう一度この問題を言い換えれは「社会防衛のために > 患者を抑圧すること」となる。或いは物語の舞台となる病棟レベルで問題を止揚するよう > な「良い対応」が可能であったとしても、根本的な問題解決の見通しを持てないままで > は、患者が社会の中で生きていこうとする以上、「良い対応」もその場しのぎでしかな > い。精神科編に登場する患者の母親は問題状況を抱えた「世間」の代弁者でもある。だか > ら作者は精神科医療を医療とは名ばかりのものにしてしまう社会の在り方を問題にせざる > を得ないし、 これも、上に書いた、イタリア・トリエステの試みが、実際にどのような成果を結んでいるのかが、一つの指標になると思います。 >そのような社会の在り方が端的に析出する場面として「例の事件」を持ち出 > さざるを得ない。 せっかく精神分裂症の呼称を総合失調症に変更したにも関らず、精神病自体にたいする 学習や理解の場は公的に提供されているとは言えないでしょう。 また、現在の社会機構がどのように「病者」に関っているのかという基本的な情報も 例えば学校教育の社会や保健体育で教育すべき事項であるのになされていません。 知ること・・・・今はこれしか無いのではないでしょうか? 例えば、刑事事件の容疑者に対する「心神喪失状態」という判定は、あくまでも裁判所 が行う行為であって、医学的な定義ではない事も、あまり知られていない事実です。 「精神鑑定で心神喪失と判定されれば、被告人は無罪」という誤解も多いですし、「心神 喪失」が「理非善悪の弁識をし、その弁識に従って行動する能力が完全に失われている」 事としか認識されておらず、法律的には「「心神喪失の状態」とは、訴訟能力、すなわち、被告人としての重要な利害を弁別し、それに従って相当な防御をすることのできる能力を欠く状態をいうと解するのが相当である。」という意味で用いられる事も多いことは 一般には知られていません。 > > しかし、そのような、この国の精神障害者に関わる文化の総体(司法や行政や医療、報 > 道機関や町内会長・民生委員や家族や障害者自身の立ち居振る舞いを含めて)に渡る問題 > は、個々の病人・病気に対する直接的な治療という限界設定を大きく外れている。となれ > ば主人公や病棟指導医という立場からは、傍観するか少々苦言を呈するしかない。 > > ここまでの話を強引にまとめれば、他の科編での問題は臨床現場のれべるでもかなり解 > 決出来るか解決への道筋を想像出来たが、精神科編での問題は臨床現場のレベルだけでは > 全く対処しようがない。それ故に作中で主人公たちはただ事態の推移の前に立ちすくむだ > けで、なんだか読んでいて面白くないということになる。 ですから決して「強引」でもなんでもなく、極めて自然な発想であると思います。 「危険な精神障害を隔離せよ」という無知に根ざした深い誤解と排他性は、公衆衛生学 的には100人に2-3人の「隔離対象者予備軍」に自らも含まれる可能性が非常に 高い事を、誰も理解していないという事に起因しているのでしょう。 これに医学的臨床治療の対象とはならない、人格障害を含めると、例えばここの掲示板 に集まる多くの人たちは「お縄」となりますね。 ・・・・と書いても「んなアホな?」とか「極端な・・」とか言われるのがオチでしょうが、僕はそういう能天気な反応を見ると、本当に不安になってくる典型的な強迫性神経症 であります。 |
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