31581 返信 アメリカの軍事動員力とその限界(同盟国に何を期待しているのか) URL 工藤猛(関東の工藤) 2004/12/22 00:48
かって1970年代にはベトナムに50万人以上の陸兵を
上陸させていたのに志願制度(徴兵制度を廃止した)にしたら
焦点のイラクに必要な兵員を送り込めない。
アメリカ軍指導層も20万人以上の兵力を必要とする
イラク侵攻作戦を練っていた。
占領統治の膨大な細目を研究させてもいた。
もっと合理的な作戦案と戦後復興に即座に対応する「案・構想」もあった。

採用された実際の作戦と占領後の「戦後復興」は失敗した。
イラク国軍を解体し政府機構を解体し治安機関(市民生活を守る警察まで)を
解体したのに、緊急に占領統治に必要な人員を確保しなかった。
占領米軍は権力の崩壊に伴う「無政府状態」を一定期間放置した。
敗れたイラク国軍は集団で秩序正しく投降するようには誘導されなかった。
間接統治で既存の行政機関を利用する政策はとらなかった。
既存の行政機関の保護、改変に無頓着で崩壊するに任せた。

直接的な軍政で占領統治するなら30万人以上の陸兵が必要だったのだろう。
間接統治に欠かせないイラク国軍と警察機構の再建に失敗している。
来年一月末の選挙で曲がりなりにも政治指導者を選出できても
その指導に服する自国軍と警察機構が機能していなければ
各種のテロは続く。アメリカ軍の撤退に有効なシナリオはあるのか。
軍部の独走も怖いが政府が現場の情報分析を無視して
楽観的な見通しで「暴走」するのも手ひどい被害を自国に与えることになる。
アメリカはイラク「侵略」戦争ないしは「予防戦争」に失敗したんだろうな。

現実的にはどのようにして「名誉」ある撤退作戦を国際政治上でするのだろうか。
核開発に繋がる原子力燃料開発凍結でイランとEUとの交渉結果に
アメリカは完全に同意するのだろうか。EUの方向に賛成なのは
中国、ロシア、日本だ。アメリカ以外の有力国は全部賛成している。
アメリカに「同意」しない自由はあるのだろうか。
明確な方針は出ていない。アメリカはイラクに12万人強の兵力を貼り付けたままで
戦域を拡大できるだけの兵力展開の余裕はない。ある程度の局地紛争に介入する
戦力にも不安があるだろう。朝鮮半島有事は「封印」だろうな。
アメリカが積極的に朝鮮半島情勢を動かす戦略はとらない。
中国共産党を頼りにしていると思われる。
なんたって北朝鮮は中国の勢力範囲だから。

日本の外交的な立場は非常にもろい。
中国が大陸側でロシア、インドと国境線を確定し紛争を起こさない体制を作り
南へ西へと海に乗り出す戦略を取っている。その海洋戦略にどのように対応するのか。
東南アジアの諸国とどのように協力して軍事的にも中国と対応してゆくのか
といった国家戦略を明確に描いていない。ドイツでさえ東南アジアには
哨戒用の小型艦艇を輸出しているというのに。シーレーン確保の軍事援助も
解禁していない。東南アジア諸国を中国の膨張から守る盾になる政策すら
打ち出していない。政治的に軍事的に中国に対抗できる東アジアの大国は
経済規模でも人口でも日本しかないだろうに。

日本の保守政界と財界にはいわゆる「左翼」以上に憲法9条信仰があるな。
武器援助はしない。東南アジアの非紛争国から要望されても。
日本のシ-レーン確保に死活的な意味を持つのがわかっていながらしない。
中国の核にもロシアの核にも「恐怖」は抱かずアメリカの懐でじっとしていた。
懸命にも原子力発電燃料の自国生産と高濃度廃棄物の自国処理政策には
膨大な予算をかけて実行してきた。燃料サイクルを自前の設備と技術で
処理できればいざとなればいつでも核兵器は作れる。
そういう長期の戦略は部分的にきちっとある。
国際機関にきちんと査察されて兵器に流用しない体制を構築したので
国際的な非難も受けないですむ仕組みは完成している。

集団的自衛権の発動をイラク派兵のどこかの時点か
北朝鮮の挑発的な外交攻勢にあわせて政府が現憲法のもとでも
「発動」できると政府声明を出すと予想していたが
その気配もない。左翼の平和愛好勢力が一番頼りにしていいのは
日本の保守本流と財界だと思うよ。戦後60年間の蓄積なんだろうな。
強固なものがある。

で、アメリカの軍事動員力に陰りが見えているとしたら
自国で必要な兵力を確保できないとしたら
有志連合国に目をつけるよな。
EUを当てにできないとしたら経済大国で自前の予算で大軍を
動かせるのは日本国くらいだろう。もっと日本に圧力がかかって
日本の保守層、財界も集団的自衛権を発動し治安維持のために
数千人規模の自衛隊員をイラクに派兵する準備をすると思っていた。
アメリカにも日本国内にも日本の軍事的な自立を危険視する風潮が
残っているようだ。戦前徹底的に戦いすぎたんだろうな。
徴兵で800万人を動員したからなー。開戦時には英米に対抗できるだけの
海軍を当時の世界で唯一持つ英米以外の国だったからな。
アメリカも寝た子を起こしたくないのかな。

トルコやイランの軍隊を頼るわけに行かないし、
イスラエル軍は絶対中東で動員できないし。
ふーむ、意外と米軍ももろい基盤で軍事攻勢をかけているわけだ。

イラクが混乱したままで英国、日本、アメリカのどこかで大規模テロが発生したら
やっかいだな。必要に迫られて「警察国家」的な治安対策を強化せざるをえまい。
テロ対策というのは民主主義の価値観にとって両刃の側面がある。
テロリストは戦争している。戦争として大規模テロをしかける。
非正規戦に日本の社会は耐えれるのだろうか。
「サリン」テロ実行団体にさえ明確な処分を下していない日本社会に
対応力はあるのか。ひょっとして運だのみか。
原子力発電所の警備ですら未整備のままだ。
平和「ぼけ」のままでいいわけがない。
予見される「災害」には真剣に対策を立て法整備し予算をかけないと。

アメリカでさえテロ「対策」に失敗し負ける可能性のある時代だ。
大国同士の核戦争の脅威は大幅に減っているだろうが
庶民の平安を脅かす「脅威」はいくつも存在する。
無武装「運動」よりも危機管理対策が緊急に必要なんだけれどもな。
イラクを混乱のままに放置する結果になったらアメリカの罪は重いな。
テロリストが全世界に跋扈しそうだ。

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 世界のどこかで戦争している。
 一国平和主義で日本国内では経済活動に励む幸運が
 戦後60年間続いてきた。そんな都合のよい時代はいつか崩れる。
 崩れる時に備えて「戦争・紛争」にかかわる準備だけは怠るまい。
 戦争はかってに外からも押しかけてくる。