31631 返信 Re:精神医学・医療と精神分析について URL なな 2004/12/23 20:20
上海さん、

> みなさん

(私の投稿にレスをつけられているので、「みなさん」は「皆さん」ではなく、「ななさん」の誤植と受け取ってよろしいですね?)

> 自閉症は精神病とは一切関係ないですから、やはり今回の議論とは別にすべきでしょう。

自閉症は精神病ではありませんが、精神医学や医療とは切り離しては考えられない問題でしょう。水原さんの言説も含め「精神分析」的言説において、「親の養育態度や心理的原因(トラウマ)によって生じる」などと、情緒障害のような捉え方をしていることを批判してきた議論の経緯もあります。まさに、タイトルに沿った議論だと思います。といいますか、議論を別にしないと何か不都合なことでもあるのでしょうか。

> 病者とカテゴライズする意味合いが全く理解できないですね。だって治療の対象ではないですから。

> 薬物療法は無意味です。医学的根拠の無い、網をかけるような薬物の利用は人体実験にも等しく、また表現形質の発現の可否や強弱を薬物でコントロールされることは、当人にとって苦痛でしかないでしょう。

「病者」という呼称には私は反対ですが、「治療の対象ではない」、「薬物療法は無意味」については以下のようなことは押さえておく必要があると思います。

自閉症は発達障害ですから「治療」という概念はなじまないと思いますが、二次的に生じる様々な症状、合併症のうち、本人の苦痛の軽減のためや養育や発達支援の観点からみて障害となるような症状を取りのぞくという意味での姑息的な「治療」が必要になるケースもあるでしょう。その場合には必要最小限の薬物療法なども行なわれています。

↓のWeb記事に、自閉症における薬物療法の意義が解説されています。

自閉症と薬物療法、てんかん、睡眠障害について

ところで、「網をかけるような薬物の利用は人体実験」「現形質の発現の可否や強弱を薬物でコントロールされることは、当人にとって苦痛」とは、具体的にどのようなことを指しているのですか。また、上海さんはそれが日常的、ルーチンに行なわれていると主張しているのではありませんよね?この点については明確にご返答ください。

> え??なんで有効でなく、且つ非科学的なのですか?確かに他の疾病や障害に比べて、研究の成果が遅々としていますが、通常の病理学的解析が適用できないが故に、精神分析の手法が発達してきたのですよ。

「通常の病理学的解析が適用できないが故に、精神分析の手法が」普及したのは、ある意味そうでしょう。しかし、広まった歴史があるからといって、精神分析による病理、病因概念や心理療法が科学的に見て妥当なものであるとは言えません。「エビデンスに基づく医療」(EBM:Evidence Based Medicine )という見地からみれば、極めてそれが乏しいですし、逆に否定的なデータやエビデンスを提出する報告、論文はこれまでかなり出ています。
(また、精神分析のEBMを検討するひとつの方法としてメタアナリシス的手法がありますが、そのような観点からの論文も複数提出されています)

> そうそう、参考資料を示す場合にPubMedはあきません。アブストラクトしか出てませんし、全文を読むには、個人の場合、一報毎に$30くらい支払う必要があります。

問題を真剣に掘り下げて考えてみようとするなら、海外学術誌に掲載された論文を読むために多少の労力と投資(ちなみに$30はちょっと高すぎる相場見積だと思います)を割くことに大きな障壁はないと思います。大学図書館に足を運ばずとも今やPubMedなど誰でも手軽に検索でき、論文を入手できるサイトは複数あります。あとは本人の気力の問題だと思いますね。
(もちろん、それなりの英文読解力が前提になりますが)

> 但し、パニック障害で辛い思いをされている本人は、薬では対処できない多くのケースに対する不安や苦痛で悩まされていますから、日常的に関りをもつ「雑踏の匿名個人」が、もっと障害の有り様を知ることしかないでしょう

パニック発作を間近に見て知ることができても、本人に生じている恐怖感や不安感(予期不安)は他者には計り知れないものがあると感じます。その辺のことを「「雑踏の匿名個人」」が少しでも想像することが必要のように思います。