32176 | 返信 | 731部隊に関して > ミサキさんへ | URL | K−K | 2005/01/17 00:34 | |
ミサキさんは、中国でのBC級戦犯法廷において、細菌部隊が取り上げられなかったことを問題点としてあげています。これに対し、水原さんは、「蒋介石政府が把握してなかった、少なくとも訴追に足る証拠物件などの資料がなかった」と述べていますが、私もこの点は同感です。 ミサキさんは、Msg.32127において、国民党が細菌戦対策を行っていたことを示す資料を提示していますが、これは、必ずしも「訴追に足る証拠物件などの資料がなかった」ということに対する反証とはなりません。 日本軍が、人体実験や生物兵器を試用していたことについては、米軍も明確に把握していたわけではありません。当初、731部隊の研究内容について作られた米軍のレポートにおいて、人体実験や生物兵器の試用について触れられていませんでした(1945/11/1サンダースレポート、1946/5/31トンプソンレポート)。 米軍がそのことを知ったのは、ソ連から、731部隊関連の訴追の通告が来てからだったようです。その後のレポート(1947/6/20フェルレポート、1947/12/12ヒル&ヴィクターレポート)において、人体実験や生物兵器の試用について言及されるようになりました。 このような事実からすると、ソ連を除く連合国側は、細菌兵器について具体的な根拠がなく訴追するに至らなかったことが判ります。ソ連は、捕虜の尋問や施設の確保から、具体的な証拠を得て、戦犯裁判を行ったのでしょう。 つまり、水原さんの「蒋介石政府が把握してなかった、少なくとも訴追に足る証拠物件などの資料がなかった」は、これらの事実を説明するには、まさに妥当な見解だと思われます。 また、これは、おそらく国民党のみならず、共産党も同様の状態だったのではないでしょうか?今回の水原さんへの「反論」は、私には何が言いたいのか判らないのですが、周恩来さえも、その情報を持っていないのであれば、「731部隊の情報を握りつぶ(す)」こともありませんし、よって、「本末転倒」とも思わないですむでしょう。 なお、ミサキさんの疑問点に対して、いくつか反論してみようと思います。 Msg.31974 >731部隊は、東京裁判では一つも言及がありません。 >731部隊を裁いたハバロフスク裁判は、1949年12月25日に始まり、5日間で終了、ずいぶん短いですねぇ。 >そもそも、なぜ、終戦から4年も経過してからなのか? >なぜ、死刑が一人もいないのか? >最も重い懲役25年が8年で日本へ帰国しているのはなぜなのか??? >つまり、8年が最も重い刑なのです? >こんな軽い刑ってあり??? 東京裁判で触れられなかったのは、米軍との取引があったからです(既に多くの方から反論がありましたね)。 ソ連の戦犯裁判が遅かったのは、ソ連側の外交上又は内政的又は軍事的な事情があったのでしょう。BC級戦犯裁判も、おそい裁判がいくつもあったはずです。また、裁判期間が短いということですが、軍事裁判とは、概ねそのようなものです。事前の尋問などで、裁判の内容は決まってしまうことも多かったようです。 量刑についても、軍事裁判ですので、どのような判決が下るかは、軍事的な事情などが考慮されます。最も簡単に推測されるのは、この問題でのソ連側の被害が少なかった(もしくは無かった)ことではないでしょうか? Msg.31974 >そもそも、つくろうとするならば、毒ガスを使うのが常識です。 >細菌兵器を使うならば、自軍を守るためのワクチンを大量に製造し兵士に配らなければなりません。 >そんな大量のワクチンの製造に731部隊が成功していたとはとても考えられません。 731部隊では、毒ガスも研究していたようです。確かワクチンも作っていたはずですが(『悪魔の飽食』に書かれていたような気がします)、なぜ、ミサキさんが、大量のワクチン製造が考えられないのかの理由がないのが不思議です。 Msg.31974 >毒ガス兵器よりも細菌兵器の何が優れているのか? >自軍にたった一人、死ぬ覚悟をした兵士がいればいい。 >北朝鮮からペスト菌に感染した兵士が一人東京を歩くだけで、 >東京は死の都市になります。 どこで仕入れてきた知識だか知りませんが、このことについて、次のような証言が残っているようです。 「伝染病を計画的に蔓延せしむることは或る人々の考えるように、又自分自身が以前考えたように爾く簡単なものではない。自然に於ては伝染病は非常に容易に蔓延するが、併し、伝染病を人工的に蔓延せしむる場合には幾多の障害に遭遇し、時には非常に苦心して之を克服しなければならない」(ハバロフスク裁判での関東軍軍医部長梶塚隆二軍医中将の証言)『世界戦争犯罪事典』p98 なかなか、一人の罹患者では無理だったのではないでしょうか? Msg.31974 >では、問いますが >もしも731部隊が本当に細菌部隊であったならば、 >レイテ沖海戦が行われた時に、なぜ、レイテ島は細菌兵器によって汚染されなかったのか?なぜ、アメリカ軍はレイテ島をやすやすと統治できたのか、納得のいくご説明をしていただきたい!!! レイテではありませんが、サイパンの時には、実際に生物兵器攻撃が企画され、攻撃チームが出撃したものの、航海の途中で米軍に返り討ちにあったそうです(石井中将の娘の証言)。 もちろん、これらはいずれも【試用】段階のものであり、実戦用の兵器とは言いがたいのが実情だったのでしょう。硫黄島の時も生物兵器の使用が企画されましたが、これは参謀本部の反対で実現しなかったようです。 Msg.32127 >つまり、水原さんは、731部隊の細菌兵器は、開発段階にあったと、信じておられる????? >そもそも、731部隊は中国に細菌兵器はバラまいていないと、水原さんは、おっしゃる。うん、その通りだ。私もそう思う。 これは議論以前に、ただの曲解ではないでしょうか? 確かに細菌兵器は開発段階、というよりは実験段階だったようです。開発実験の一環として、数多くの細菌の散布を行っていたようですね。つまり、「開発段階だから、細菌兵器をばら撒いていない」ということにはなりません。 ミサキさんの基本的な問題としては、既存の資料をまったく無視して、独自の解釈だけをたよりに、見解を組み立てているということだと思われます。 |
||||||
![]() |