32458 返信 「戦後ドイツにおける報道と国家」4 URL 梶村太一郎 2005/01/26 00:58
1−7)放送法規

 以上のように放送(ラジオ・テレビ)については、前述の出版(プリントメディア)が単に連邦法がなく州法だけに限定されてそれ以上の必要性が無いことに比べ、放送は全国放送の必要性と、その実現のための膨大な経費から、しかも述べたような連邦の権限の制限から、出版法と比べて同じ国の同じメディア分野とは思えないほど、対称的に非常に複雑で特殊な放送法規の体系が出来ている。シェーマとしては以下の通りである:

放送法規

公共放送 民間放送
Oefentlichrechtliche Anstalten Private Rundfunksender
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   放送国家契約・ メディアサービス国家契約・
Rundfunkstaatsvertrag Mediendienst-Staatsvwertrag

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  各州の放送法 各州メディア法
Landesrundfunkgesetz Landesmediengesetz




 出版法と同様に各州は州法を定めているが、主な放送局が公共放送であり、これには州放送法があり、後から参入した民間放送には性格が異なるため、州メディア法を定めた。(ただし、チューリンゲン州など3州が共同で放送法を定めているところもある。)この公共および民間の放送に関する各州の二つの州法が放送法規の基本である。

・ 放送国家契約

上記のラジオ、テレビなどの州の境界を越える放送の必要性などを満たすためすべての州の間で契約が結ばれている。これを放送国家契約・Runfunkstaatsvertragという。

同じものが民間放送ではメディアサービス国家契約・Mediendienst-Staatsvertrag として結ばれている。
 Staatsvertragとは通常には国際間条約のことを示すが、憲法30条にあるように州は国家的権限の行使ができることから州の間に結ばれる協定、契約などにもこの言葉が用いられる。内実は各州間と全国放送網をふくむ広範な業務協定のことである。

 ドイツ第1テレビ放送であるARD(前述)に関してはARD-Sttatsvertrag・ARD国家契約があり、テレビ判決で連邦が実現できなくなったドイツ第2テレビ放送・Zweiten Deutschen Fernsehen・ZDFはZDF-Staatsvertrag・ZDF国家契約として後に実現した。
 
 この国家契約は視聴料、広告、などのありかた、また、サテライト、ケーブルなどの割り当てなど、ほぼすべての領域にわたる複雑なものであり、しかも常時改訂、増補されている。このため放送法だけで日本の六法全書ほどの量がある。

以上がドイツにおける表現の自由に関する憲法と州法の概要である。