| 32707 | 返信 | Re:無防備地区宣言運動の動き に質問 | URL | 前田 朗 | 2005/02/04 15:36 | |
| ご意見、ご質問ありがとうございます。 迅速的確にお返事できず申し訳ございません。 大雑把にいえば―― (1)すでに書いてあることをお読みいただけずに同じ趣旨のご質問・ご批判が何度も繰り返し書かれているため、対応しきれずにいます。ひとつひとつ、ここにこう書いてある、と指摘している余裕がないため、放置した形になってしまい、申し訳ありません。 (2)無防備宣言の前提や効果についてのご質問・ご批判には、それとして受け止めてお返事差し上げるべきものも少なくないのですが、整理がついていないためお返事が遅れています。 今回は「自衛隊と災害救助隊」について少し述べておきます。 すでに両者の関連については詳しく述べられているようですが、同じ問題について私の関心から書いておきます。 私たちは現在の「自衛隊(軍事力+災害救助)」を当然の前提として議論しがちですが、その前提が極めて特殊な歴史の中で形成されてきたものだということは忘れてはならないことです。 第1に、日本は地震・台風・火山噴火をはじめとする「自然災害」が極めて多いために、政府がその対処をきちんとするべき責務を負っているのに、その責務を果たしてこなかった(あるいは、十分にははたしてこなかった)事実。災害後の補償もまったく異常なほど無責任に終始してきました。「自然災害ではなく、人災だ」といわれるほどです。 第2に、憲法9条に違反して警察予備隊、保安隊、そして自衛隊を創設し、「軍隊ではない」「戦力ではない」との詭弁を使い続けてきた事実。 第3に、自衛隊を社会的に認知させるために、災害救助の役割も担う形で自衛隊を編成・活用してきた事実。90年代までの世論調査の圧倒的多数は、<自衛隊は災害救助隊として必要である>というものでした。 第4に、少なくとも以上のことを前提として、しかも現在、自衛隊を「<海外>災害救助隊」にも活用しつつ、自衛隊海外派兵の常態化を進めている事実。 第5に、それにもかかわらず、自衛隊の災害救助隊としての性格は添え物に過ぎず、いざというときの機動力は他の諸機関よりもすぐれているものの、真の災害救助隊としての機能は持ちえていない事実。したがって、<日本にはいまだにまともな災害救助隊が存在しないこと>。なにしろ消防団レベルしかない(懸命に活動されている専門意識の高い多数の団員がいますが)。 第6に、有事法制や国民保護法の想定する状況では、自衛隊は武力攻撃事態に対処することになっているため、<いざというときには自衛隊は災害救助隊とはならない>こと、そして自衛隊に代替しうる災害救助組織が日本には存在しないこと。政府は責任を負わないことになっています。したがって現実には「国民保護計画」という形で<自治体>が行なうしかなく、その任務は<消防団>を中心に行なうことになります。 以上の結果、何が起きるかというと、鳥取県の「国民保護計画」を見れば明らかなように、武力事態対処となれば、自衛隊は住民保護を行なわず、自衛隊出動に必要な幹線道路は自衛隊が占有するため、住民の避難は不可能ないし極めて困難になることです。日本政府および鳥取県が公表している事実を見れば、「国民保護計画」は国民を保護できません。運のいい住民は自力で避難できるでしょうが。 「無防備宣言をして、いざというとき守れるのか」というご質問・ご批判が繰り返されていますが、事態はまったく逆です。「有事法制・国民保護計画では、いざというとき守れないのに、何を考えているのか」が理性的な判断というものです。 |
||||||
![]() | ||||||