32733 | 返信 | Re:「ドイツ語」を話すユダヤ人(Re:「十分」…貴方はこれを何と言ひますか:余談) | URL | 梶村太一郎 | 2005/02/05 23:30 | |
tpknさん、 お返事します。 > > ユダヤ人の言語事情と植民地支配下の朝鮮人の言語事情をそのまま比較するのはあまりにも乱暴な議論ではないでしょうか。 > > ユダヤ人の場合、ヨーロッパでは主にイディッシュ語を使っていたわけで、これはドイツ語でしょう? イディッシュは15世紀ぐらいにはすでにポーランド〜ロシアにいたる地域で使われていましたから、ポーランドのユダヤ人が「ドイツ語」を話すのは、とくに不自然ではないと思いますが。それに、イディッシュを日常的に使っていた人がナチの支配下でドイツ語を話すのと、朝鮮人が日本の支配下で日本語を話すのは、こりゃ全然違います。 > > まず、イディッシュがイディッシュ語といえるか否かについてもついても学者の間に議論が分かれています。つまり単なる方言ではなかろうかという議論です。たとえば、沖縄の石垣島の方言を石垣語とは言えないように。 イディッシュというのは、おっしゃるとおりドイツ語圏内で古いヘブライ語その他の言語を話していたユダヤ人がドイツ語の大きな影響を受けて話し続けた言葉です。 特に、ドイツ語圏から中性にポーランドさらにロシヤへと移動して行ったユダヤ人によって話されつづけてきました。ところが、ドイツではユダヤ人の社会的権利の拡大とともに、ほとんど話されなくなっていました。チェコでもドイツ語の広がりとともに衰退し、カフカがドイツ語で書いたこともその現れです。 それに、ドイツ語が基礎のひとつであるにしても、この言葉は書いても聴いてもドイツ人には理解できません。よそから来た人が石垣島の方言がさっぱりわからないよりももっともっと極端です。 戦後になってイディッシュはヨーロッパではほぼ死語になり、ニューヨークへ逃亡したユダヤ人の間で(ここでは新聞もあったとのことです)とイスラエルでほんの一部が話されていましたが、現在ではほぼ消滅しました。 わたしは、年に数回ですが知人のユダヤ人歌手がイディッシュで唄うコンサートに行きますが、歌詞は理解できないので、彼女はドイツ語訳でも唄います。非常にすばらしい曲が多くあります。 最近、ロシアからのユダヤ人がベルリンには増えていますので、なんとイディッシュの劇場が復活しました。でも俳優のユダヤ人たちもイディッシュを学ばなければならないのです。 ベルリンの方言にも古いイディッシュがいくつかは残っています。 ですから、イディッシュとドイツ語の差は朝鮮語と日本語の違いぐらいは最低でもあります。文法構造が似ているとか、語源がドイツ語の単語が多い(日本語と朝鮮語では漢語が多いのと同じように)といったぐわいです。 ですから、イディッシュができるユダヤ人がドイツ語が理解できると考えるのはまちがいです。例に挙げたケルテウスにしても彼の母語はハンガリー語で、ドイツ語はギムナジュームで習ったのです。 以上です。 |
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