32806 返信 Re:無防備地区宣言運動の動き に質問 URL 前田 朗 2005/02/09 18:08
1 以前ご紹介した文章が下記で読めるようになりました。

前田 朗「地域から平和をつくる 無防備地域(地区)宣言運動を広げよう」青年法律家407号、2005年1月)
http://www.seihokyo.jp/

上記頁の左側の「青年法律家最新刊」をクリックすると、見ることができます。

また、北海道新聞1月30日が無防備運動を取り上げた記事を掲載しています。
http://peace.cside.to/blog/archives/2005/02/06/index.html


2 ご質問・ご指摘ありがとうございます。お返事が遅れまして申し訳ございません。

無防備地域宣言運動は、法的には、ジュネーブ諸条約第一追加議定書59条を根拠にしています(それ以外の要素も含みますが)ので、日本政府が第一追加議定書を批准した2004年6月以後に本格的に動き出した運動です。

この運動を始めた最大の問題意識は有事法制・国民保護法への市民の側からの対応という点にあります。「有事法制を忘れているのではないか」という非常にひょうきんなご指摘がありましたが、違います。有事法制批判の中から無防備地域運動が起きていますし、そのことは私の文章でも他の仲間の文章でも何度も言及しています。

同時に、この運動は、地方自治法に基づく条例制定要求運動として組み立てています。間接民主主義を基調とする体制の下で、地方自治体における条例制定要求は、(決して直接民主主義そのものというわけではないのですが)、他の制度とは異なって、直接民主主義に近い制度として理解されてきました。私は「参加型民主主義」として理解しています(「参加型民主主義」とは何かはおのずと別の詳細な説明を要するのですが、ここでは割愛します)。

条例制定を要求するための署名運動を展開するのは、地域での新しい平和学習運動です。ですから、もし万が一、自治体首長や自治体議員が「署名がなくても無防備地域条例を議会にかけよう」といってくれたとしても、そうした方法は取るつもりはありません。自分たちの手で市民に呼びかけ、話し合い、情報交換しながら、地域住民の平和と安全を守るための運動と考えているからです。「住民主権」をいかに行使するかという問題です。

日本国憲法は「国民主権」を掲げていますが、それが形骸化していることはいうまでもありません。他方、地方自治について「住民主権」という言葉は憲法上の言葉ではありませんが、憲法92条の地方自治の本旨および地方自治法の解釈として、私たちは「住民主権」を唱え、そこから運動を組み立てています。

以上、無防備地域運動は、

1)国際法 (ジュネーヴ諸条約第一追加議定書)を活用し、
2)日本国憲法1条の国民主権、9条の戦争放棄・平和主義、92条の地方自治の本旨を活性化させ、
3)地方自治法1条、74条(直接請求)を実践することで、
4)国民を守らない有事法制・国民保護法を批判し、
5)住民を守らない自治体の国民保護計画を批判するという構えをとっています。

もっとも、無防備地域条例は国民保護法と矛盾するわけではありません。武力攻撃を起させないために無防備地域宣言を追及するのであって、国民保護法もジュネーブ諸条約の遵守をうたっているのですから。