| 32921 | 返信 | Re:NHK改変番組上映会(2) | URL | 前田 朗 | 2005/02/14 14:06 | |
| 皆さん ご苦労様です。 法律のホの字もわかっていない人物が著作権について殴り書きをしています。あまりにもむちゃくちゃなので無視するのが普通ですが、問題点を簡単に整理しておきます。 1 営利を目的としない上映 すでに水原文人さん、おっちゃん、とほほさん、烏龍茶さんなどの指摘で明らかになっていますが、営利を目的としない上映は、著作権法38条で認められています。単に「慣行」として認められているのではなく、法律で明示的に認められています。 [32860]には、「参加:無料」と明示してあります。 以上で本来は議論が終わりです。 あとは、どうやら私のファンであるらしき異様な人物が最初から最後まで愉快なデタラメを書き込んでいるだけのことです。いつものことながら、あれだけ長々書いて、しかもすべてデタラメというのは奇跡的な才能です。 2 学校その他の教育機関 水原文人さんの文中に「教育目的」とあるのは、著作権法34条に関連するものです。2月19日に朝鮮大学校で3回目の上映会を行ないますが、これは私が担当している授業を学内の公開授業とするものです。授業は「刑法」の授業です。NHK番組「問われる戦時性暴力」は女性国際戦犯法廷における戦争犯罪の問題ですから、文字通り「刑法」のテーマです。ちなみに、私の主要著作は「戦争犯罪論」(青木書店、2000年)、「ジェノサイド論」(青木書店、2002年)、「民衆法廷の思想」(現代人文社、2003年)です。まさにそうした「刑法」の授業をしていますので、私の授業でこの番組を上映することには教育上の必要性が十分にあります。 (ところで、「営利を目的としない上映」にしても「教育目的の上映」にしても、だからといって何でもやっていいわけではありません。そこにはいくつかの検討事項は残されています。しかし、ここでそれを記す必要もないでしょう。) 3 引用について 以上の「営利を目的としない上映」および「教育目的の上映」に加えて、私は、著作権法32条の「引用」もわざわざ付け加えています。 2月10日の八王子集会については、[32859]で簡単にご紹介しましたが、まさに「引用・上映」を行ないました。八王子集会のメインは「何が消されたか」です。放映されたNHK番組からカットされた部分を再現することに焦点を当てています。中国人「慰安婦」の万愛花さんの証言がカットされたので、同じ証言を「沈黙の歴史を破って 女性国際戦犯法廷」から上映しました。NHK番組には含まれていないのですから、著作権を侵害しようがありません。次に、やはりカットされた加害者証言として金子安次さんご本人に参加していただいて証言していただきました。集会のメインは「消された部分」であり、「沈黙の歴史を破って 女性国際戦犯法廷」と金子さんなのです。これらを通じて、NHK番組から何が、どのように消されたのかを検討しました。さらに、あとから付け加えられた部分を上映して、秦郁彦さん(日大教授)の女性国際戦犯法廷批判のコメントが法律的にまったく誤りであることを指摘しました。著作権法32条の「批評のための引用」です。このように八王子集会では、まさに適切な「引用」を行なっています。 4 NHKの著作権の主張について しかし、同時に、上海さんがBBCを例にして浮かび上がらせているように、この問題でNHKが著作権を主張すること自体がほとんどナンセンスです。受信料による運営を行なっているNHKは視聴者に対して説明責任を負っているのに、その説明責任を果たさず、ごまかしを続けているのですから、番組を検証することは視聴者の権利です。説明責任を果たさずにごまかしておいて視聴者に上映を認めないのは、権利濫用です。法律論からいっても、NHKの著作権行使は大幅に制約されるのが当然です(ただし、すべて制約されるわけではありません)。 5 市民の憲法上の権利 その上で、おっちゃんが指摘しているように、「表現の自由」と「国民の知る権利」を主張できます。すでに[32860]に「知る権利」と書いてあります(知る権利の主体は「国民」だけではないので、ここでは「市民の権利」としておきますが)。 6 有料強行上映の選択肢 NHKの著作権の主張など一切無視して、有料上映を強行する選択肢もありますので、もちろん検討しました。おっちゃんは「どうせやるなら、この選択肢でやれ」という主張かもしれません。しかし、今回私はこの選択肢を除外しました。 この選択肢は、NHKの著作権を無視して強行上映し、その結果、NHKから訴えられれば、裁判では上記3、4、5の主張を行い、もし敗訴すれば損害賠償を支払うということです。議論を呼び起こすためにあえてこの選択肢を選ぼうかとも考えたのですが、今回は除外しました。 理由は、NHKに対して「問題の番組を放映するように要請する運動」が行なわれているからです。私がいきなり有料上映を強行することは、この運動の足をひっぱることになりかねません。また、NHK問題の本体をめぐる議論がまだ続いているのに、余計なことをしないほうがいいからです。 |
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