33644 返信 Re:書き忘れていたこと:日ソ中立条約違反 URL 指環 2005/03/18 01:56
> >  (ヤルタ会談での米国の教唆による)ソ連の対日開戦は、形式的には日ソ中立条約違反です。ソ連の「満州国」攻撃が条約違反に当たるというのも、形式的にはその通りです。この点でサークさんのお書きになっていることに誤りはありません。
> >  ただ、注意すべきなのは、中立条約締結後に日本側が、ドイツのソ連侵攻に乗じてのシベリア侵攻を企図し、「関東軍特種演習」と称して動員兵力を「満州」に集中したという事実です。
>
> ソ連の対日開戦が「形式的に」条約違反?どういう意味ですか?実質的には条約違反でないという意味ですか?だとしたら、あなたの思考能力には重大な問題がありますね。

 私は、ソ連の対日開戦が少なくとも形式的には条約違反に当たることに間違いないと言っています。日ソ中立条約が形式上、なお有効だったからです。
 また、「実質的には条約違反でない」とは言っておりませんし、実質的な違法性が完全になくなっているとも思っていません。ただ、ソ連の対日開戦以前に日本側が対ソ侵略の予備・陰謀を行っていたこと等を考慮すると、ソ連の対日開戦の実質的な違法性ないし責任はかなり少なくなるのではないかと思っています。

 なお、

> だとしたら、あなたの思考能力には重大な問題がありますね。

とのことですが、仮に、私が「形式的には違法だが、実質的には違法ではない」という意見だとしても、そのように考えること自体は、別段、論理的に間違っているわけでもないし、法律論としてもちっとも珍しくない見解です。従って、そのような意見だとしても思考能力に問題があることにはなりません。

> 関特演にそのような企図があったとして、いったいそれがどうだというのでしょうか。日本が関特演に乗じて実際にソ連に侵攻していたのであれば、当然条約違反でしょう。しかしそういう事実はないのですから、日本はいかなる意味でも中立条約に違反したことはありません。日ソ中立条約は互いの勢力圏内での演習に制約を加えていません。

 日本の対ソ侵攻が内心の意図に止まっているだけだったならば、条約違反とまでは言えないかも知れません。けれども、関特演はかなりの具体性を伴った侵略戦争準備です。
 犯罪の実行に着手してこれを遂げれば既遂になり、犯罪の実行に着手してこれを遂げなければ未遂になり、犯罪の実行の準備行為を行えば予備になり、複数の者の間で犯罪の実行を合意すれば陰謀になります。
 日本の対ソ侵攻は、実行の着手には至らなかったので、未遂にまではならないとしても、予備、陰謀には当たるのではないかと言っているのです。
 そのことを考えると、少なくとも「日本はいかなる意味でも中立条約に違反したことはありません」とは言えないと思います。

> >  ソ連が西側からドイツの侵略を受けているのに、その東側の国境に大兵力を集中して牽制したのですから、この日本側の行為は中立条約第一条前段の「両締約国ハ両国間ニ平和及友好ノ関係ヲ維持シ」に違反するし、第二条の「締約国ノ一方カ一又ハ二以上ノ第三国ヨリノ軍事行動ノ対象ト為ル場合ニハ他方締約国ハ該紛争ノ全期間中中立ヲ守ルヘシ」にも実質的には違反する疑いが強いと思われます。
> >  また、「関東軍特種演習」などは、シベリア侵略の未遂には当たらないと解したとしても、予備、陰謀には当たると考えられますので、中立条約第一条後段の「相互ニ他方締約国ノ領土ノ保全及不可侵ヲ尊重スヘキトヲ約ス」に違反すると言えます。
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> あなたの脳内で展開している妄想に興味はありません。「実質的に違反」とはどういう意味ですか?何も分かっていないのに適当に言葉を使うのはやめましょう。日本がソ満国境に大部隊を展開したところで、そのこと自体はなんら中立義務を侵犯していません。日本が日本または満州国内でどのように軍を展開しようと、まったく日本の主権の範囲内です。そんなことが条約違反であれば、例えばスウェーデンがソ連国境付近で実施する演習はみな条約違反だというようなことになってしまいます。
> あなたには、中立義務ということの具体的な意味が理解できていないので、上記のような愚にもつかぬ「解釈」を案出しているに過ぎません。

 主観的な犯罪実現の目的がなければ、予備にはなりません。勿論、陰謀にもなりません。
 スウェーデンがソ連国境付近で実施する演習の例では、侵略実施という主観的事情(目的)が欠けるのではないでしょうか? 侵略実施の目的がない限り、条約違反にはならないでしょう。
 ところが関特演は、「独ソ戦争ノ推移帝国ノ為メ有利ニ進展セバ、武力ヲ行使シテ北方問題ヲ解決シ北辺ノ安定ヲ期ス」(1941年7月2日の御前会議での決定)という侵略実施の目的を持つものでした。従って、やはり、予備、陰謀に当たり、条約違反になると思います。

> >  「満州国」攻撃を含めたソ連の対日開戦が「中立条約違反になるか、ならないか」だけを問えば、「条約違反になる」という答えになります。この点に間違いはありません。しかし、ソ連の対日開戦以前に日本側が(少なくとも実質的な)条約違反を行っているのですから、ソ連の対日開戦の違法性ないし責任はかなり減少するのではないかと思われます。
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> 実質的な条約違反とは、中立義務を侵してソ連に武力攻撃を行うことを指します。日本に仮にそのような計画があったにせよ、現に実行に移されたことはないのですから条約違反ではありません。ソ連と日本が互いに敵対的な意思をもったり、攻撃計画を練り、その準備をすること自体は中立義務の侵犯にはあたりません。あなたには法的観点とそれ以外の観点の区別がついていません。議論以前のレベルですね。

 一般的にも法は、現に実行に移された行為だけを犯罪としているわけではありません。実行の着手に至らない行為でも危険性があれば犯罪とする場合があります。現に実行に移されたことがなくても条約違反が成立することは十分考えられます。
 「攻撃計画を練り、その準備をすること自体」が犯罪になりえますので、やはり日本側に(少なくとも実質的な)条約違反が存在したと解することができます。