33864 返信 グランサコネ通信05−04 URL 前田 朗 2005/03/24 17:49
2005年3月24日

*この通信は「報道」ではなく、時に伝聞・推測・未確認情報や感想を含むことをお断りします。


花粉から逃れて快適な日々です。
八王子在住なので高尾山の花粉にまみれて悲惨な状況でしたが、成田空港を出て1時間もたつと徐々に調子が良くなります。でも、花粉症という呼び名は本当に正しいのでしょうか。
ジュネーヴ郊外の林の中に滞在していますし、周囲には杉の木もあります。季節は日本と同じ冬から春へ、暖かくなったり寒くなったりの時期です。ところが、花粉に悩まされることはありません。やっぱり、花粉だけではなく、花粉+アルファの複合だと考えるべきなのでしょうか。

(1)3月22日

人権委員会は議題7(発展の権利)の審議を行ないました。イブラヒム・サラマ「発展の権利に関する作業部会議長」は、発展の権利に関する宣言ができて、作業部会が始まり、第六会期に至るまでを簡単にフォローし、発展の権利とは平等な成長を要求するとし、発展の権利の実現のための国家の責務の法的性質を議論する必要があると述べていました。作業部会ではその議論のために作業チームをつくったそうです。また、パートナーシップと相互協力がずっと強調されてきたが実現していないと指摘していました。その後、政府委員の発言になりましたが、NGOフォーラムに行ったため聞いていません。

人権委員会は通常午前10時から1時まで、3時から6時まで開かれます。昼休みが2時間あり、この時間にいくつものNGOミーティングが同時並行で開かれます。22日はヒューマン・ライツ・ウオッチ主催の「テロとの闘いにおける人権保護」がおもしろそうでしたが、私は、国連ではなく、エキュメニカル・センターで開催されたイラク関連NGOの「イラクにおける人権に関する国連の責任」というフォーラムに出ました。イラク世界法廷WTIストックホルムのヤン・レーンさんがコーディネーターです。スピーカーは、サリム・ローネ(元国連のディレクター。バグダッドで殺されたデメロ人権高等弁務官の顧問)、テオ・ファン・ボーベン(元国連拷問問題特別報告者)、ジョイ・エルヤウ(赤十字国際委員会法律顧問)です。ローネさんはデメロの顧問でしたが、あの事件以来、英米に対する批判を公言してきた人で、22日も、イラクの選挙には批判的で、イラクにおいては自己決定権が実現していないと断定していました。ファン・ボーベンさんは、アブグレイブなどの拷問問題に限定して、かつ、その国際人権法・人道法上の問題について講演しました。ご本人も最初と最後に繰り返していましたが、イラクについての具体的な情報を持っていないので、一般的な話でした。エルヤウさんは、アブグレイブ拷問発覚以後の赤十字の活動について説明していました。ジュネーヴ条約違反の調査の経過ですが、立場上か、「戦争犯罪」という言葉は一度も使いませんでした。

(2)3月23日

23日は議題8を終えて、議題9に入りました。午前9時から午後6時まで休みなしのセッションで、最後は皆疲労状態です。

議題9は、世界各地における重大人権侵害を扱う議題で、幅が広く、テーマが限定されていないため、世界中の問題が登場しますが、もっとも発言が多いのは「イスラエル・パレスチナ」問題です。他に目立つものは、イラク、スーダン、ミャンマー、キューバへの言及です。

A 日本政府発言

世界中の誰も人権の普遍性の例外となるべきではない。いかなる政府も非差別、法の支配、民主主義を否定できない。しかし、真理が実現していない。・・・・この点で朝鮮における人権状況に言及したい。拉致問題では前進がない。過去2年間、委員会は朝鮮に呼びかけているように、拉致は重大人権侵害である。問題解決のために拉致被害者を日本に返すよう朝鮮政府に強く要請する。

B 朝鮮政府の反論

(席をはずしていたため、聞いていません。他のNGOの話では、拉致問題については何も触れず、日本の過去の戦争犯罪を取り上げて反論したそうです)

C 日本政府の反論

拉致問題については何もなされていない。5人以外については満足な説明が何もないので、解決を見出すことができない。朝鮮政府がその姿勢を変更するよう促したい。過去の戦争犯罪については日本政府はすでにその見解を明らかにしているので繰り返す必要はない。

D 朝鮮政府の反論

NGOをはじめとする人権委員会での声を聞けば明らかなように、日本が犯した人道に対する罪については何もなされていない。国際共同体は数百万の強制連行、百万の殺害、20万の性奴隷制を容認しない。拉致問題はすでに解決している。日本政府に朝鮮やアジア各地における犯罪の責任を果たすよう促す。

(時間切れで終わりましたが、おそらく日本政府がもう1回反論権を行使すると思います。24日の朝か?)

E 対日道義請求財団の発言

収容所の3年半に日本軍によって奴隷とされ、飢餓に苦しみ、病気となり赤十字の薬品さえ拒否され、少女は性奴隷にされた。日本の占領下で数万人がなくなった。オランダに戻ってからも、家族を喪い、健康を損ね、心身の障害を負ったままである。日本は何ら補償していない。日本は被害者に対して道義的責任がある。解決なしには日本政府は次の世代と良好な関係を結べない。

F 対日道義請求財団の文書発言(E/CN.4/2005/NGO/331)

財団は1990年に設立され、日本の収容所に収容された8万人の被害者の利害を代表している。日本による人権侵害を明らかにし、心身のダメージを認知させることを目的としている。1994年に集団で訴訟を提起したが、1998年、東京の最高裁は、日本がハーグ条約に違反したことを認めたのに、被害者個人への賠償を国際条約は求めていないとした。しかし、財団は日本政府に道義的責任を果たすよう求めている。

(財団からは、たしか3年続けてアドリアンセン・シュミットさんが来て発言しました。彼女自身が収容所被害者ですが、今回はそのことは話しませんでした。発言終了後、朝鮮政府代表や韓国政府代表とも少し話しました。オランダの被害者を、日本人の私が、朝鮮や韓国の代表に引き合わせるのも妙な感じで、半分情けない思いをしましたが、誰かがやらなくては。彼女は24日、いったん帰国するとの事です。4月始めには他のメンバーがジュネーヴに来るそうです)


(3)余談

人権委員会のロビー喫茶コーナーにコンピュータ・コーナーができて、12台のコンピュータが設置されました。誰でもタダで使えます。掲示には15分使ったら譲りましょうとありますが、そんな人はいません。いつも満席で、一度座ったら、人に譲ってなるものかという雰囲気です。22日は朝9時に行ってみましたが、満席でした。もっとも、このおかげで、図書館のコンピュータの方は比較的すいています。24台ありますので、ロビーとあわせて合計36台になり、ほとんど並ぶ必要がなくなりました。

パレ・デ・ナシオンはただいま工事ばやりです。赤十字国際委員会下の通用門では、セキュリティ用の新築工事が進んでいます。また、正門前の平和広場も工事中です。昨年できたトラムとの関係だと思います。平和広場は今は使えません。地雷処理NGOがたてた「3本足のイス」も撤去されています。

ジュネーヴのバスの料金システムが少し変わり、切符販売機も総入れ替えになっています。料金ゾーンや時間の設定が変わったようで、最低料金も3.2フランになっています。以前は、1.8、2.2、2.5といった調子で徐々に値上げしてきましたが、今回はシステムが変わったので、どう値上がりしたのかはわかりません。私はスイス・パスを持っているので切符を買うこともないし。