33985 | 返信 | Re:竹島問題と「民衆」のひとり | URL | inti-sol | 2005/03/28 22:46 | |
tpknさん > お金を払わなくてよかったものが、お金を払わなければいけなくなるというのは、大変なことではないですか? もちろんそうです。しかし、お金を払おうが何をしようが漁ができない状態よりは、まだ多少なりともマシではあるでしょう。 > えーと、イ・スンマン・ラインで日本の漁船が多数拿捕され、死者も数十人単位で出ていることについては、どうお考えなのでしょうか。 ですから、許可を得てお金を払えば漁ができる、という状況であれば(それがベストの状態ではないことは言うまでもないにしても)、数十人単位の死者が出るということはなかったはずです。 ただし、これはあくまでも漁業権の問題が竹島領有権の本質である、と仮定した場合のことです。実際には、多分漁業権だけの問題ではないから、このような解決が図られることがなかったのでしょう。 > これもよくわからないのですが、韓国が過去にやったように、中国が突然尖閣諸島を軍事占領した場合はどうすんでしょうか。その場合も、「返せ」と言われて返すことは絶対にないと思いますけど。 そういうことは起こり得ないと考えられます。 理由は、現在の尖閣諸島は海上自衛隊と海上保安庁の常時監視下にあり、中国が占領しようとしても軍事的な衝突が不可避だからです。(というか、この件は今年のはじめに帽子屋投稿者と散々やりあいましたが) 韓国が竹島を占領した当時、日本は竹島を実効支配はしていませんでした。 韓国海軍がいなくなれば海上自衛隊が来る、海上自衛隊がいなくなれば韓国海軍が来る、という状態で、どちらも実効支配していなかった。 > えーとですね。日本政府は同じような理屈で竹島についてあまり積極的にやってないのだと思いますし というより、形式的には1952年4月に日本は占領状態を脱しているのですが、そのわずか2年半後(韓国が竹島を占領したのは54年9月)の時点で、実質的には日本が米国の許可を得ずに軍事行動をとるなんてことは政治的に不可能だったと思われます。そして、この当時(いや、今でも同じだと思いますが)米国は日本と韓国がこの問題を巡って戦火を交えることなど、絶対に容認できなかったでしょう。そんなことになれば、一番喜ぶのは北朝鮮であることは明らかですから。 > それよりもなによりも、全く同じ理屈で対米追従政策をとってんじゃないでしょうか。 今問題となっている対米追従は、米国の起こす戦争に日本が積極的に参加して、人殺しのお手伝いをする行為である点です。いわば、米国の行う「事を荒立てる」行為に積極的に荷担しよう、ということです。 「反対米追従」を主張する誰も、米国と国交断絶せよとか戦火を交えよなどと主張しているのではありません。米国との関係は日本にとって重要である、そんなことは当たり前です。単に、米国の起こす戦争に日本が参加して、人殺しのお手伝いをするのはやめろ、と主張しているにすぎません。 > inti-solさんの言っていることは、いわゆるクソウヨの人々が自衛隊のイラク派兵に賛成するときに言う「国益」という概念とどこが違うのかわかりません。 私が考えるもっとも重要な国益は、「日本人が幸せに生きること」です。そして、そのためのもっとも重要な条件は日本人が意味なく血を流すこと、血を流させることを阻止することだと考えています。もちろん、資源も大事ですし漁業権も大事です。しかし、それはそれ自体が目的なのではなく、日本人が幸せに生きる、という目的のための手段の一つにすぎません。 もちろん、コバテツ流価値観の、「踏みにじられても逆らわない」という考え方には同意しません。それでは、結局国民は幸せにはいきられないからです。けれども、周辺諸国と角をつき合わせて緊張状態のなかで生きることが国民にとって幸せなのかというと、私はそうは思いません。もちろん、他人の考えはわかりませんが、少なくとも私は幸せではありません。 > 絶対にそんなことにはならないと思います。これは竹島問題でなく他の問題でもそうですが、「どっちでもいい」と言ってとくに非難されない政治的自由さが、日本にはあると思います。 私にはそうは思えません。残念ながら、今や日本は自衛隊イラク派遣反対のチラシを撒くだけで、逮捕を覚悟しなければならないような状態になってしまいました。産経新聞や「諸君」などの極右系メディアが「敵」(反日)とレッテルを貼った相手に対するバッシングの激しさはすさまじいものがある。特に拉致問題に関してはそうです。 私が「どっちでもいい」と書いてもとくに非難されないのは、単に私の素性が(名前と大雑把な職業、趣味程度は知られているようですが)知られていないから、ということにすぎません。 では、韓国はどうなのか。今回の一件を巡って、韓国社会にも大きな揺り戻しがあったことは否定できません。しかし、現在の韓国はひと昔前の強権的ナショナリズムを脱する傾向が顕著であるように私には感じられます。その象徴的な出来事が盧武鉉大統領の当選であり、史上初めて左翼政党(民主労働党)が国会議席を獲得したことであったと考えられます。 「韓洪九の韓国現代史−韓国はどういう国か−」(韓洪九著・高崎宗司監訳・平凡社)という本をお薦めしておきます。 |
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