34034 返信 黄緑色のランドセル。 URL 八木沢 2005/03/31 21:47

 大阪・毎日放送の人気番組「ちちんぷいぷい」に「今日のジレンマ」というコーナーがある。選択に困るような状況を呈示して「あなたならどうする?」とゲスト、視聴者に問い掛けるものである。最近、このような設題がなされた。

 
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 あなたは、今年小学校に入学する男の子を持ったお母さんです。夫の両親は「ランドセルは私達が買うよー」と張り切っています。さて、皆で一緒に店にランドセルを買いにいきました。息子が「絶対にこれ!」と指差したのは、「黄緑色」のランドセル。夫の両親は「孫が言うのなら」と大賛成。でもあなたは、他の大半の子供たちが選ぶであろう昔ながらの黒いランドセルにして欲しいと考えています。さて、どうしますか。

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 最初に聞いたとき、私はなぜこれが「ジレンマ」になるのか理解できなかった。現在、学校はランドセルの色を特に指定していない。息子は黄緑色がいいという。おカネを出す義父母も賛成している。黄緑色を買わない理由などどこにもないと思うからである。しかし、ゲストである吉本の芸人たち(30〜40歳くらい、設題の「お母さん」とだいたい同じくらいの年齢層)の回答は驚愕すべきものだった。

 「これは難しいなあ…息子のいうとおりにしてはやりたいけど学校で周囲から浮いてイジメにあっても困るし」
 
 「そのときは子供と義父母のいうとおりにしておく。店員に耳打ちしておいて、あとで交換に来る。義父母には”いやーカギが壊れてて店に持っていったらもう黄緑色のがなくてとりあえず黒をもって帰ってきました”とでもいって誤魔化す」

 「ランドセルの色で個性を主張しなくとも他のことで個性を主張しなさいといいたい」

 二番目なんか、なんでそこまで手間のかかる小細工をする必要があるのかと思うのだが、キーワードは一番目の「周囲から浮く」「イジメ」という点であろう。しかし、変わった色のランドセルを持つことよりこのような意味不明の小細工をする精神構造の持ち主であることのほうがよほど恥ずかしいとなぜ思わないのだろうか。最後のは街頭インタビューの回答であるが、確かにランドセルの色などどうでもいいものだが、そんなどうでもいいものに関してすでに周囲との調和で汲々とするような人間が、では他のもっと重要な事例に関して果たしてちゃんと自己主張が出来るのですか、と問いたいものである。「黄緑色のランドセルなんて、なかなかの感性で面白い子だ」と唯一肯定的なコメントを出したのが芸能人でも何でもない、最も年配の今出東二さんだったのが興味深い。若い奴だから、個性を求められる芸人だから、柔軟な考え方をするとは限らないのである。

 この2005年に、黄緑色のランドセルなんか持っていったら周囲から浮いてイジメられるよ、だからもっと平凡な色のものにしなさい…と自分の子供に諭す親とは一体なんなのであろうか。周囲から浮いたらイジメられるよと教える親は、周囲から浮いている人間はイジメられても仕方がないのだよというメッセージを同時に与えているのである。本人と義父母を説得して、無事に黒いランドセルを背負わせることに成功したとする。いざ入学するや黄緑色のランドセルで通学するクラスメートに遭遇したら、果たして「あなた」は子供にどう対応するように教えるのであろうか。本当の「ジレンマ」はそこから始まるのではないのだろうか。