34062 返信 Re:韓国政府声明全文翻訳 URL 兼松真哉 2005/04/02 17:56
tpknさん

> なるほどなるほど。確かにこれは二重基準ですね。よくわかりました。兼松さんが主張してきた「個人の請求権は消滅しない」ということに同意します。

 であるならば、「そういう前近代的な話がいつまでつづくのか、そしてそういう韓国極右政権を、なぜ日本の左翼が脳天気に賞賛する」(33737番の投稿)理由が、すこしは分かりましたでしょうか?
 なお、「真摯な謝罪」についても、具体的には、ドイツの首相や大統領が行っている謝罪が手本であり、かつ、政府の要職にある者による いわゆる「妄言」が謝罪の後にないことである ー そのような目に見える形を意味すると、私は解釈しています。

> アメリカが日系人に支払った200万円と日本が韓国人に支払う額は同一視できないのではないでしょうか。現在でも日本と韓国の物価は違いますし、

 (*1)によると、1965年における1人当たり国民所得は日本760ドルに対して韓国120ドルで、これらの比は6.3です。

(*1) 「韓国の戦後発展の理由」の「第1表 1人当たり国民所得」
(http://www5b.biglobe.ne.jp/~korea-su/korea-su/jkorea/nikkan/kankoku-hatten.html)

 ただ、先進諸国の技術をベースにした製品(電気製品や自動車)やサービス(先端医療など)が韓国でも安かったわけではないでしょうから、賠償金が6.3分の1で良いということにはならないと思います。
 仮に6.3倍の価値があるとしましても、「性奴隷」と呼ぶべきだとも主張される「慰安婦」にされた方に対して200×6.3万円というのは、いかにも少ないと私は思います。
 「慰安婦」の総数の推定例は以下(*2)に、「徴用」された人数の一例(「朝鮮人強制連行、6万7千人の名簿から」)が(*3)あります。朝鮮人軍人・軍属の人数は(*4)にあります。

(*2) <179.「従軍慰安婦」48 「従軍慰安婦」の総数>
(http://www.han.org/a/half-moon/hm022.html#No.179)
(*3) 「官あっせん」および「徴用」
(http://www.han.org/a/half-moon/hm023.html#No.190)
(*4) 旧植民地出身の日本軍人・軍属の動員と死亡者
(http://hs-8899.hp.infoseek.co.jp/korean.hosho.html)

 ある条件でざっと計算してみたところ、上記の人々にだけ6.3分の1の補償金を支払うのなら、既述の仮定(3億ドル=現在の1兆円)の1兆円の2倍にはなりませんでした。(数字遊びのようにも見えるので、「ある条件」は提示しないでおきます。)

> 賠償金は支払える額しか支払えないでしょう。...略...

 それはおっしゃるとおりですが、被害者や遺族(配偶者や子供)が死ぬまで年金として払い続けるということは可能だと思います。日本で戦死者の遺族に年金を支払っているような方法を取れば、増税の必要はあるでしょうが、支払いは可能だと思います。(日本人戦死者の遺族には多額の年金を払っているじゃないか、という批判があるのも御存知でしょう。)

> たとえば日帝支配下の朝鮮で普通に暮らしていた朝鮮人と、徴用によって日本国内で働かされていた人とでは、後者には日本支配による明白な被害があったといえますが、前者にはどのような具体的被害があったのでしょうか。

 大きなもので有名なのは、朝鮮の米を日本「内地」に持っていかれたことでしょう。(*5)

(*5) 産米増殖計画
(http://www.han.org/a/half-moon/hm023.html#No.187)

 こういう例を見ると、「一時が万事」とたとえても誇張でもなんでもないと思いますね。日本の植民地支配は搾取をともなうものであったのだから、日本の植民地支配下で生活していただけでも、相当の補償金を受けとる権利が彼ら(朝鮮人)にはあると思います。(貧しい朝鮮人から搾取する側にまわった朝鮮人の処遇は韓国・朝鮮の国民が決めるとしても。)
 わたしは、日本敗戦時0歳以上の全朝鮮人に年齢や境遇に応じたしかるべき金額を支払い、かつ、徴用・強制連行・慰安婦・死亡などの場合は、(現在の物価で)数千万円から1億円ぐらい支払うというのが、おおざっぱな金額として妥当なのではないかと思います。このように考えると、前述の6.3分の1の減額をしたとしても、3億ドルでは足りませんので、数十年にわたる分割払いが必要になるでしょう。

> > > また「そのようなことをした連中」と、日本国家は同一ではないのでは? 「そのようなことをした連中」は、もしかして東京裁判で裁かれ戦犯とされたのではないですか? だとすると、これは「一事不再理の原則」(同じ犯罪について二度裁いてはいけない/日本国憲法では39条)に反すると思いますが。

> >  http://t-t-japan.com/bbs/article/t/tohoho/6/gnsqrf/ouaqrf.html に引用されている内容によれば、資料の焼却は日本政府ぐるみで行われたといえると思います。

> すいません、これ、スレッドのURLですが、おっしゃる資料がどこにあるのかわかりません。

 明確でなくてすみませんでした。そのページのずっと下の方にある、「敗戦前後における公文書の焼却と隠匿」(「Re: ちょっと、脱線しますね。」、ゆう 2003/08/14 06:17:43)とある記事です。

> また、たとえば「日本政府ぐるみ」ということに関して、東条英機がA級戦犯となったことは日本政府を裁いたことになるのではないですか?

 tpknさんは、たしか、補償の問題は民事にたとえられていたと思います。わたしも、刑事か民事かと問われれば民事に該当すると思います。すでに述べたように、資料の焼却や隠蔽は、信義誠実の原則に反するから契約は無効だ、の根拠ですので、「一事不再理の原則」は関係ないと思います。

> >  資料不足のために証拠を突き付けることができなかったという理由で「範囲外の事例とする」ということで良いと思います。

> 私は、従軍慰安婦にしろ「強制連行」にしろ、途中から政治的な力学によって問題が変質してしまっているのではないかと考えています。「資料不足のために証拠を突きつけることができなかった」というよりは、当初はいま現在のような問題としてとらえられていなかったのでしょう。

 勉強不足で、当時の状況を知らないのですが、そうかもしれません。
 証拠を突きつけることができなかったにせよ、考慮していなかったにせよ、実際に被害を受けた人の救済を否定しかねない「完全かつ最終的に解決した」のような約束はしてはいけないし、させようとしてもいけないのだと私は思います。(国有・公有財産については放棄しても良いと思いますが。)
 なお、御存知かもしれませんが、日中共同声明では、「中華人民共和国政府は、 ...略... 日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する」のように、個人による請求の放棄が含まれないようです。(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html)

> はっきり言うと、現在の日本人は自分たちがやってもいない行為について、えんえんと「謝罪と賠償を」と言われて続けているわけです。

 それは、やった人たちの世代が「謝罪と賠償を」きちんとせず、かつ、いわゆる「妄言」が絶えなかったからで、「妄言」が絶えない原因は、戦後世代にもあるのです。というのがひとつの模範解答なのでしょうが、生まれてくる国は選べないし、日本を捨てるのも多くの人にとって容易ではないので、そのような気持ちには一理あるとは思います。
 ただ、「はっきり言うと」以下のようなことを理不尽だと述べる戦後世代らしき人の意見をインターネットの掲示板的なメディアで目にしたことは何回かありますが、そのように考えている人が何割くらいいるのかは、不勉強なのか調査がないのか、わたしは知りません。
 そういう意見よりも、(さらなる謝罪と賠償に反対する人には、)謝罪と賠償は条約で解決済みであるという意見のほうが多いように思います。(具体的に数字をあげることはできませんが。)

> 100年後も200年後もそのままであれば、おそらく戦争になるでしょう。また、「兼松さんの感覚」では「被害者本人と、その次の世代までが、せいぜい」であっても、韓国や中国の感覚ではそうではないでしょう。

 「韓国や中国の感覚」については不勉強で知りませんが、ドイツの戦後補償や首相・大統領による謝罪と反省を手本にするという意味での「人類の普遍的な価値」に基づく行動を韓国や中国の国民が(タテマエであるとしても)求めているのならば、「被害者本人と、その次の世代までが、せいぜい」というのは受けいれられると思います。

> そうした感覚の違いが、すでに両国の溝を深めつつあると私は見ています。靖国神社の問題も同根でしょう。

 「靖国神社の問題も同根」というのは、首相などが靖国神社を参拝することを日韓中の国民(の多数)がどう思うかという「感覚の違い」が「両国の溝を深めつつある」原因であるという意味で、「同根」という意味でしょうか?