34237 返信 Re:中国反日デモの分析 URL 告天子 2005/04/12 23:11
> 中国の反日デモは、過去の戦争との直接の関係は無く、現在中国が国民国家に脱皮しようとしている現象だと説明しています。
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> これはデモの大部分が、大学生であって、彼等は過去の戦争の被害とは全く関係が無く、戦争について勉強して得た知識で怒っていることが明白だからです。
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> つまり現在の中国のエリートたちが過去の日本の侵略に対して、屈辱感を感じてその鬱憤晴らしをしているのがデモの原因です。

中国の反日デモは、国民国家を形成するための力(ナショナリズム)、というものが原因なのか、それとも、学生たちが教えられた知識(現実の被害に関係のない知識)に基づいた、鬱憤晴らしが原因なのか、どちらなんでしょう。

小林さんの説明からすると、学生たちの鬱憤こそが、中国のナショナリズムであり、国民国家形成の原動力である、という話になると思います。

実際には、「反日」と言いつつ、それが「反政府」に転化するものであるかも知れず、学生たちの運動は多分に当局の制御下にあるもののようでありながら、また国民的な反政府的不満の爆発につながるかも知れない・・・。方向性がまるで逆のものが、中国のデモには秘められている、これを単純に「ナショナリズムである」と言い切ってしまうと、逆に見えなくなるものがあるのではないかと思いました。


> このような鬱憤を沈める方法は有り得ないわけで、改めて謝罪しても、靖国参拝を取りやめても、ますますエスカレートするのは目に見えています。

もはや理屈は関係ない、暴動的な力であり、何が何でも敵対国を屈服させねばおさまらない、盲目的な意志・・・。それが、ナショナリズムである、と言うのならば別ですが、こうした現象は「ナショナリズム」という言葉で一般的なものとして受け止めるのではなくて、むしろ、中国独特の現象として理解した方がよいのではないかと思います。

明治維新や、ヨーロッパの「国民国家形成に於ける、ナショナリズム」と、「同じだ」、と考えてしまうと、その思考の枠に縛られてしまって、「中国の反日デモ」独特の複雑さや不気味さが、分からなくなるように思います。

> エリート大学生達は中国が国民国家になることを望んでのデモであり、政治への参画=民主主義を希望しているものです。

> 従ってスローガンは反日ですが、その中味は政府に対する民主化の要求に他なりません。

「反日」が、本質的目的であるのか、裏に別のものがあっての、看板としての反日であるのか、よく見極めることが大事でしょうね。しかし、学生たちは「中国が国民国家になり、民主化されることを望んで」、反日を叫んでいるのでしょうか?

> 政府はそのことを認識しているので、デモ隊の過激な暴力行為さえ阻止することが出来ません。

むしろ、今まで反日教育をしてきた自分らの嘘がばれてしまうから、阻止できないのでは?

> それをすれば直ちに学生の矢面に立たされ、デモは反政府運動に転化するからです。
> 日本政府に対してこの事態について謝罪したりしたら、その弱腰を学生から非難されることが目に見えています。

小林さんの説明では、学生のデモは、「民主化を要求して」のものなのか、それとも「反日要求貫徹」が目的なのか、説明と中国政府の対応の意義付けについて、ぶれがあると思います。

もし、民主化要求が目的のデモなら、政府当局は、デモを叩き潰していると思います。


> つまりこの件は殆どが中国の内政問題であって、日本側で出来ることは何もありません。
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> なにしろ民族感情に火が付いてしまったのですから、容易なことで治まるとは思えない状況になってしまいました。

容易なことで収まるものではない、それには同意しますが、状況分析は大分違うように思います。従って、対策も実は、似ているようで違います。


> 今考えられる私の対策は、これ以上事態を悪化させないために、日本の右翼を刺激しないことです。

日本の右翼を刺激すると、事態は悪化する、というのは違うでしょう。事態の悪化は、思想的には、「中国の反日デモには、理がある」というような言論を今まで左翼が垂れ流してきたこと、現にああいう暴力になったから左翼は大人しくなって、頬被りしているが、「反日言論」がどんな事態を招いたかについて、左翼が自己批判をすることがまず必要です。

> 右翼を刺激しないというのはどういうことかといえば、左翼の日本批判を抑えることです。

いや、日本批判は、どんどんやればいい。だが、理屈に合わないことを言い立てて、現に反日デモで中国人学生が大暴れしているのだから、「よくやった、その通りだ」として、左翼は喝采しなければおかしい。それを黙って、刺激しないでやり過ごそうなど、欺瞞です。ごまかしです。

> 例えば中国の反日デモを支持するような左翼の発言が出たりしたら、右翼でなくともかんかんに怒るでしょうから、左翼は日ごろの言動を慎むことが重要だと思います。

いや、慎むのではなく、こういうときこそ率直に話すべきでしょう、そして、間違った思想であるなら、放棄されるべきです。その上で、国民的左翼として、再出発すればいい。それが出来ないならば、黙っていないで、反日デモを礼賛すべきである。

> 中国側の日本批判が全て正しいと言っているような発言は右翼を刺激し、その右翼の言動が中国へ伝わって、反日感情を増幅するという悪循環が始まるからです。

中国の反日感情は、どうせ何をやっても収まりはしない。ならば、「本音では反日デモを礼賛しているのだが、今それを言うと都合が悪いので黙っておこう」というような欺瞞こそ、日本国内で徹底して叩かれるべき。

その覚悟がなくて、都合のいいときだけ「反日」をやっておいて、またほとぼりが冷めると「反日言論」を繰り返す左翼こそ、「反日感情を増幅させる、悪循環の発生装置」である。これは、日中国民のためにならない。叩かれるべきである。