34375 返信 日本 米国 中国 URL あしな 2005/04/17 20:07
 1999年に森嶋道夫は「日本にできることは何か 東アジア経済共同体を提案する」で、世界経済のグローバル化の中で日本経済が没落しないための方策として、表題通り日本、韓国、中国を基軸とする「東アジア経済共同体を提案」した。同じ本の中で「東アジア経済共同体」への過程を阻害する条件として森嶋が提示していたのは「新しい歴史教科書をつくる会」やそれに協働する各レベルの勢力の動きに見られるような日本国内での排外ナショナリズムの高揚であった。少なくとも1999年の段階で森嶋は中・韓の「排外ナショナリズム」よりも日本のそれを問題視していたことは記憶しておいて良い。

 同じく1999年は周辺事態法の成立などを受け「日本国家は戦争準備を完了した。(柄谷行人)」年でもある。その後のテロ対策特措法(2001年)、イラク特措法(2002年)との流れは日本政府は戦後の一貫していた」対米一体化(実は従属)路線を特に軍事面で再編強化して来た。その間に対東アジアに関しては日本国の支配層は概ね「公式に謝罪、しかし公然と・本音で否認〜敵視」という従来のスタイルを継続してきたと言える。あるいは対米従属が日本国内で高めた圧力は、中・韓(あるいは北朝鮮)を主な標的とする排外ナショナリズムに向けられていったのかもしれない。

 中国や韓国の「反日」デモe.t.cの現況について、デモをする側が自国の支配層からの少なくとも黙認を見込んでいるとするならば、その仮定が中国の支配層のどのような思惑において可能となるか?

 結局、日本が米国の隷属者としての路線を邁進している状況では、「東アジア」的な枠組みを構築してEUの様に米国に対して一定の地歩を築くという筋道はもはや考えられないということではないか。そうであるならば、自国内の矛盾を向ける先としてこれほど適切なところはない。今までも黙っていても「謝った後で必ずこれ見よがしに舌を出してみせる」様なことを繰り返して来た日本である。対米カードとしての日中連携を考慮すればこそ国内世論を抑えてきたわけだ。もし日中の対米連携という可能性を捨てるのであれば、後は放っておけば国内の不満は対日ナショナリズムに流れ込む。放っておいても日本の政府・要人がそう誘導してくれる。むしろ今後、微妙なバランスを維持していかなければならないという点で対米関係が今まで以上に重視される。

 等と思案しているうちに、先週は米国高官が今後ドルー元を固定相場から変動相場制にしたいと発言したの報道があった。今後の米中関係は相当に波乱含みになるのかもしれない。その場合に中国国内の諸矛盾が拡大しその不満が「反米」に流れ込んだ場合、中国支配層の困難は「反日」の比ではない。むしろ中国国内で「反日」世論がそれなりに維持されることは、米国に対して「反米」世論の「不在証明」とは言わないまでもそれに類する効果を持てる。とりあえず「米国に対して敵対する気はない」と。

 中国支配層がそのような選択をしたのならば、日本の従来の排外ナショナリズム路線はさらに強化され、それと表裏一体に対米従属も強化される。このような状態は米国にとっては好都合だ。日中それぞれが競合しつつ対米関係の強化もしくは安定化を求めざるをえない。しばらくはどっちつかずの姿勢で模様眺めをしておけばよい。

 で、俺が米国の偉い人だったら最終的には日本を切って中国を取るだろうね。その萌芽より低コストで利益を引き出せる。日本自体落ち目だし。

 そう考えると、中国の支配層にしてみれば、のらりくらりと「反日」世論が持続した方が国内的にも対米関係からも都合がよい。

 日本の支配層にしてみれば、ますます必死になって米国への尽忠に専念することになるが、とりあえず今まで自分達の地位を構築・維持してきた方法をそのままとり続けるだけなのだからあまり悩まなくて良いのかもしれない。

 そうなると「帝国」状況下での米国覇権が続く限り、日本の被支配層にとって、いい目はあんまりなさそうな気がするね。