34546 返信 Re:教科書、靖国は国内問題か?あるいは教科書、靖国へのクレームは内政干渉か? URL 芥屋 2005/04/23 14:01
>烏龍茶さん

はじめまして。まず、国際法うんぬんのところですが、

サンフランシスコ講和条約において、日本国は極東軍事裁判を受諾するむね記されており、事実、同「裁判」について違法性うんぬんを理由に国際司法裁判所に逆提訴するなどの行為は取られていません。条約は履行しております。一方、A級戦犯については国内法における犯罪者としては扱わないことになっていますが、これも条約違反ではありません。

まして彼らを靖國神社において慰霊することは講和条約とは何の関係も無く、靖國神社に合祀したことについて条約違反であるから慰霊してはならないなどと、締結各国から非難や要求があったことはありません。A級戦犯を合祀した靖國神社に首相が参拝するのは日中共同宣言等に対する違反なのだから、中国の要求は国際法において正当だと烏龍茶さんは主張しますが、ではお聞きしましょう。

中華人民共和国はサンフランシスコ講和条約の締結国ですか?違うでしょう、中華民国を打倒して成立した国家だから。それで日本と国交締結の際に共同宣言があります。中華人民共和国がいわゆる「A級戦犯」を基準にする、いかなる国際法上の法的根拠があると言うのです。そして事実、中華人民共和国は「共同宣言に違約である」などと法的根拠を挙げてはいないはずです。

まして中国当局も主張していないような(当然ですが)、「国際法上の正当性」なるものをデッチ上げてまでこれを支持し、自分の主張にも正当性を持たせようとするもので、到底認められるものではありません。日中友好の促進ではなく、外憂誘発行為です(いわゆる「ご注進派」ですね)。つまり烏龍茶さんの論は、条約に盛り込まれていることと盛り込まれていないことの区別ができておらず、その論拠に大きな飛躍(自説に合うような牽強付会)があります。告天子さんの指摘でだいたいは足りておりますが、私からも指摘おきました。

>教科書検定問題にしても全く同様であって、かつての戦争を美化するような内容の教科書を合格とすることは、すなわち「過去の戦争は侵略戦争であって、日中両国ともこれを容認しない」という共同声明の趣旨に反することは明らかである。

扶桑社の教科書の記述のどこに「かつての戦争の美化」があると言うのでしょうか?そこまで言うなら、こことここの記述が「美化」であると指摘するのが筋でしょう。それもなくこのような主張をするということは、自分の史観と異なる教科書を「侵略戦争を美化したもの」との一方的な主観に基づいて、外圧を利用して政治的に排除しようという強権的発想にほかならず、言語道断の論です。そのような危険な主張こそ、徹底的に叩かれるべきでしょう。

>ついでであるが、「日本が犯した戦争犯罪を美化するような真似」であっても、国内のことなのだから相手国は抗議できない、そのような行為は内政干渉である」というのなら、例えば広島・長崎への原爆投下を、アメリカが国内の展示会やら博物館やら記念館などでどれだけ美化しようが、一切抗議は出来ないはずであるし、

スミソニアン博物館の件は、原爆投下について自国の問題点を考えたいとする当初の企画が、保守派の猛反発で頓挫したものだったと記憶しています。アメリカは戦勝国であって、この種の反省は常にマイノリティなのですが、しかしこれは政府間交渉ではないでしょう。米国政府が日本国内の政教問題や教科書問題に容喙したことはありません。日本も米国政府に対し同様です。自由主義国どうしなので、難しい問題を論じるには国内における広範な自由性が最大限に求められます。

>中国が「南京大屠殺記念館」において、南京大虐殺の被害者をどれだけの数でいおうとも、それに対して抗議することも内政干渉になるはずなのであるが、日本の右翼どもはこれに対してなんの疑問も感じないようであるのは、大変不思議なことであると思う。

事実と違うんじゃないか?誇張や敵愾心鼓舞が多すぎるんじゃないか?という話でしょう。広島や長崎の原爆資料館などで、数字や被害を誇大にしたり鬼畜米英的な煽動をするような展示があれば米国内から異論や反論も出ると思いますが、そのような展示を広島・長崎はしていないでしょう。

ちなみに南京戦は事変の決着のためだとして戦われたのですね、支那がいつまでも降伏しないから、と。原爆投下の理由と似ているわけですが、南京戦や原爆投下において「戦争の早期終結のための止むを得ない犠牲である」という論理なら認められませんよ。そういう主張をしている右翼がおりますかね。

要するに不思議でもなんでもなく、それを不思議に思う烏龍茶さんの感覚のほうが摩訶不思議でありましょう。

>靖国に抗議できないのであれば、アメリカの戦争博物館にも抗議できません。

できますよ。上記のとおり。

>過去の美化という点で全く同様ですし、双方ともに国内の問題です。

侵略戦争の象徴として靖國神社を誹謗する者が、どのように東京裁判を批判し、ルーズヴェルト・チャーチルなど当時の米英の対日開戦謀議および空襲や原爆を批判し得るのでしょうか。多くの人々が焼き殺されたという凄惨さだけに準拠して反戦を訴え、それを招来したものとして軍部を非難するのはたやすい。しかし東京裁判に準拠するとは、当時の米英の国策を指示するということですよ。

>かの侵略戦争の責任者であった【A級戦犯】を合祀した靖国神社に日本の行政のトップが参拝することは、「外国との戦争で日本の国を【 守 る た め 】に、斃れた人達を祀ることになった神社」という靖国神社の本旨にてらして、

いえ、そのような本質ではありません。そもそもは欧米列強の脅威の前に不平等条約を締結せられ、あるいは先行する清国の窮状が伝わった幕末、津和野藩士が「所属する藩を問わず勅命を奉じて国難に殉じた志士を祀ろうとしたこと」が発端であり、明治天皇によって建てられたものです。本質と言うなら、まさに「国を守るべく発せられた勅命を奉じて軍務に殉職した全ての霊を代々の天皇が祭る」のが当社の本質です。

>A級戦犯が合祀されている靖国に参拝し慰霊することは、上記のように【侵略戦争の指導者ども】をどのように認識するか、即ちかつての戦争をどう評価するかに直接関わるものでありますから、即ち戦争の美化なのですよ。

祭祀されている霊の中には、生前の所業が宜しきを得なかった人も含まれておりましょうが、靖國神社は「ゴッドによる最後の審判にて善良なる魂として選ばれた霊の赴く天国」にあらず、「閻魔大王により生前の罪状を問われて地獄に堕とされた亡者を除く」にもあらず。そういう死後の幽界における人智を超えた選別は、生きて地上にある者のなすことではない。キリスト教でも仏教でも、それは神仏のなすことです。

靖國神社は、御祭神である霊を慰撫・鎮魂するところです。それが気に入らぬという人は、参拝しなければ良い。それだけのことではないか。たとえば東條英機の在任中の可否を論じるのなら自由に論じれば良い。徹底的に批判するも良し、弁護する論に鋭角に対峙するも良し。しかし、自らは敬いもせぬ霊地の慰霊の仕方にまで口を出すとは何事か。

にゃ×5さんや烏龍茶さんの靖國への誹謗は、信教の自由に真正面から挑戦するものであり、明白なる憲法違反であります。