34668 | 返信 | 日本は特殊な国 | URL | 小林 哲夫 | 2005/04/27 06:25 | |
芥屋さん こんにちは 芥屋さんには、私のネーション論(民主主義との関係)を理解してもらっていますので次の私の考えも理解してもらえるのではないか?と考えました。 また普通のネーション論に批判的だという点に興味もあります。 さて私は10年ほど前にパレスチナ人の顧客のたっての希望で、広島の原爆記念館に案内したことがありましたが、そこでお客が涙を流しているのを見て、驚いた思い出があります。 あの有名な碑「安らかにお眠り下さい。再び過ちは繰り返しませんから。」というのが日本人の現在の気持ちだと説明しました。 帰りの新幹線の中で、お客とこの言葉を巡って討論になりました。 「間違っていたのはアメリカの方なのに、何で日本人が謝るのか?」ということで私が許せないようでした。 あの涙は、アメリカに対する怒りの涙だったことがわかりました。 私は「日本人はあまり恨みを残さない民族性格があり、今後の世界平和のためにこの性格は正しいと考える。」と頑張りました。 私が世界平和のためを主張すればするほど、お客は興奮して、ついに気まずい関係になって別れたことを覚えています。 広島原爆のような酷いことをやられて、それを恨まない性格というのは世界でも日本だけではないか?と思います。 アメリカの日本占領が上手く行ったのも、日本人のこのような穏やかな特殊性のお蔭ではないでしょうか? 日本だけでしか実現しない、イラクでは失敗するに違いない、琴田と思います。 その代わりに自分がやった悪いこともすぐ忘れてしまって、迷惑を掛けた相手も「忘れてくれているもの」と見なす欠点があるのかもしれません。 靖国問題にしても、いくら説明してもその宗教観は異文化の人には到底理解出来そうにない、とおもいます。 怨霊(悪者の恨み)を鎮める神社(平将門など)などという日本の宗教観は、世界のどこかにあるでしょうか? 小泉首相の説明不足を批判する人もいますが、こういう特殊な感覚は、世界でも稀なもので、説明して解ることとは思えません。 そして世界と日本の最も大きな違いは、「戦争観」にあります。 戦争が日常であったユーラシア大陸の国と、侵略を受けたことのない平和日本の違いです。 さてここからが本論です。 ネーション(国民国家)という概念は戦争が日常であった、ヨーロッパに生まれたものです。 ネーションの概念は戦争と密接に結びついています。 戦争に勝つ国になるために、ネーションにならなければならない、という発想が生まれたと私は考えます。 黒船ショックでネーションになった日本は、その途端にアジアへの侵略を始めたのは、これによって説明できます。 ネーションを自覚するのは、経済発展と密接な関係があることも知られております。 つまり中国の現在の経済発展がネーションとしての自覚を呼び覚ましたものと思われます。 そしてこのネーション意識は西洋発の概念ですから、戦争と結びつき、必ず排外感情を伴います。 それが今の中国の反日デモの背景だという私の考えを以前説明しました。 私が西洋製のこのネーション観を肯定できないのは、この排外性、攻撃性にあります。 明治以後の近代日本の間違いは、西洋製のネーションになろうとしたことにあります。 日本本来の伝統に基づいた、平和なネーションになろうとすればなれたのではないか?と考えます。 それは日本の侵略されない環境、特殊な地勢によって可能になります。 そして日本が本当に日本の特殊性、日本の伝統の平和主義を自覚すれば、世界平和のための「ネーション論」が展開できると考えるのですが如何でしょうか? なお私が日中戦争の侵略性の認識にこだわるのは、日本人の誰かをとっちめるためでは勿論ありません。 日本民族の伝統にはなかった侵略をしてしまったことを自覚して、日本の本来に戻る足がかりにするのが目的です。 また中国対策でもありません。中国に謝るために侵略を自覚するのではありません。 中国はユーラシア大陸の一員であり、覇権主義の国だから、謝罪が通じる国では無いからです。 この中国と付き合うために、日本の平和主義をしっかりと自覚する必要があります。 日本は覇権主義や軍国主義になれる国ではありません。 戦争ばっかりしてきた、ユーラシアの国々とまともな戦争が出来る国ではありません。 あの太平洋戦争の惨めな戦い方を勉強すればそのことが最もよく解るはずです。 つまり日本は平和主義で、中国と戦わない道を歩むしかないのです。 芥屋さんならこの考えを理解してもらえると思ったものですから・・・・。 |
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