34722 | 返信 | 中国の反日デモと日中関係 | URL | 武蔵の一住民 | 2005/04/29 16:16 | |
この4月の中国の反日デモについて、マスコミの報道だけではなく、 中国滞在(経験)者から、直接・間接(ネットで)に見解を聞いた のですが、それらをまとめると (1)中国の反日とはいっても、世代・地域によってかなり傾向が異なる。 (2)デモで中心的役割を果たしたのは、「小皇帝世代」の比較的裕福な階層。 といったところです(情報源は限られてはいますが)。 マスコミ報道などで、こうしたデモはいつ反政府運動へと向かうか分からない、 との見解が示されることがしばしばあったのですが、デモの中心的役割を担った のが、一人っ子政策で甘やかされて育った「小皇帝世代」、しかもそのうちの 比較的裕福な階層が中心ですから、彼らにはそこまでの覚悟はなかろう、との ことです。 彼らと共産党政府との利害は一致している場合が多く、彼ら自身も、反日という 形での愛国運動なら、第二次天安門事件のように政府から徹底的に弾圧されること もなかろう、との見通しから、お祭り気分で気楽に参加し、日常生活ではあまり 味わえない「自由」を謳歌している傾向が強いそうで。 その意味で、政府にとって「小皇帝世代」のお祭り騒ぎ的デモはさほどの脅威では ないのですが、彼ら以外の参加者、たとえば農村から都市への出稼ぎ労働者も少な からず参加しているという点については、これがいつ政府批判へと形を変えるか 油断ならない、といったところのようです。まあ真の脅威は、農村など貧困地域 での反乱なのでしょうが(既に農村の「暴動」がしばしば報道されてはいますが)。 余談ですが、第二次天安門事件といえば、今回の反日デモで、日頃は対立している 民主派と共産党政府派とが提携してデモに参加したものの、演説中に民主派の人が 勢いあまって第二次天安門事件に触れたところ、政府派から大ブーイングをくらい、 連帯感が一気に冷めてしまったそうで。 それはさておき、この反日デモに対する中国国内の反応はというと、暴力行為 などに批判的な声はあるものの、おおむね賛同的で、日本への反感・不満には 根深いものがあるようです。 お祭り騒ぎ的性格が多分にあったとはいえ、この点は日本政府も日本人もよく よく考えて対応しておかねばならないところでしょう。 現在の中国の政府や学界やマスコミの中にも、「親日派」は少なからずいるはず ですが、とても「親日」を表明できるような状況ではなく、日本としては、彼らが 活動しやすい環境を整える必要があるとは思います(まあ、具体的な方策や「親日派」 の定義など、難しい点も多いのですが)。 ただ、「反日」とはいっても、(1)で触れたように、世代・地域によってかなり 傾向が異なるようで、上で述べてきたことは、主に都市部での状況です。 世代については、若い世代ほど反日傾向が強く、自身もしくは親の世代が戦争で 被害にあった高齢世代は、逆に日本への反感はあまり強くなく、歴史問題にたい してはあっさりとした傾向にあるそうです。 その要因として、高齢世代は、大躍進や文革などの毛沢東政権下での悲惨な体験の ほうが強く印象に残っているから、ということが挙げられるそうです。 また地域についていうと、少数民族地域では親日傾向が強く、逆に反漢民族・共産党 政府感情が強いそうです。 いずれも、工藤猛様が喜びそうな話ではありますが(笑) まあそれはともかく、広大で雑多な要素の多分にある中国は、一筋縄ではいかず、 隣国としては対応の難しいところです。 |
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