34843 返信 「世界人権宣言」を初めて読んだ五番街氏。 URL 八木沢 2005/05/04 06:34

 五番街氏。

>八木沢さんの発言は、非常に興味深いですね。まず第一に、八木沢さんは言外で、この第11条2項が採択される以前のハーグ条約などの戦争法に罪刑法定主義が適用されるから、私の主張が間違いだと主張しているのです。これは、通常の考え方では、この第11条2項が以前の戦争法にも遡及して適用されるということであり、事後法を肯定することになります。で、これは、ご自身の事後法否定の主張と全く矛盾しますね。

 矛盾なんかしない。既に述べたように慣習国際法の意義は20世紀に入って著しく薄れており、特に国連発足後は慣習法の領域と従来されていたものを明文化する作業が急速に進められている。これは独立国の増加による慣習国際法の共有意識の衰退と大きく関わっている。世界人権宣言についても、人類が守るべき原則を宣言によって確認したのであり、そこに列挙された権利は宣言によって初めて生み出されたというわけではなく、つまり1948年を境に罪刑法定主義に対する考え方が180度変わったわけではない。宣言はそれ自体法的拘束力は持たないが、五番街氏は「国内刑法の原則である罪刑法定主義を国際法に適用しようとすること自体が間違っている」と述べているので、同条文の呈示はそれを否定する根拠としては十分なはずである。宣言それ自体に法的拘束力はなくとも、「法的に間違っている」ことを宣言することはできないからである。国際法も強制力を持つ法として機能させる以上、罪刑法定主義の縛りから逃れることは出来ない。五番街氏の上記主張のなかに世界人権宣言採択前に限定した話であるとの断りは特になく、少なくともこの50年、国際法には罪刑法定主義が適用されるという考え方で世界は動いていることを考えれば、「国内刑法の原則である罪刑法定主義を国際法に適用しようとすること自体が間違っている」は妥当な主張といいがたい。五番街氏はまた、「事後法の禁止」についても理解を欠いている。「事後法の禁止」とは「遡及処罰の禁止」のことであり、被告の利益になる改正法の適用は「事後法の禁止」には当てはまらない。以上のことから、世界人権宣言の趣旨を東京裁判の被告に及ぼすことを「事後法の肯定」と表現する五番街氏は、まず基本的な法律用語の整理から始めた方が良かろう。

>第11条2項の規定は、罪刑法定主義の原則が国際法にも適用される、とは解釈できません。どこをどう読めば、このように解釈できるのか説明して下さい。さて、八木沢さんは、できますかな。

 読めば誰でもわかるようなものについて、何をどう説明せよというのか。ただの時間かせぎであろう。再掲する。

「世界人権宣言」第11条第2項(1948年12月10日採択)

何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為のために有罪とされることはない。また、犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑罰を課せられない。
 

 五番街氏がこれを読んで、罪刑法定主義が国内法にも国際法にも適用されるという意味に「解釈できない」のであれば、仕方ない。では、どういう意味になら解釈できるのか。これは何について定めた条文なのか。お聞かせ願いたい。