34977 返信 Re:烏龍茶さんRe:教科書、靖国は国内問題か?あるいは教科書、靖国へのクレームは内政干渉か? URL 火の鳥草 2005/05/10 01:10
芥屋殿

横レス失敬。

釈迦に説法とは存ずるが、
サンフランシスコ講和条約第十一条の和訳は誤訳とする説が多い。解釈は芥屋さんの通り。

Article 11
Japan accepts the judgments of the International Military Tribunal for the Far East and of other Allied War Crimes Courts both within and outside Japan, and will carry out the sentences imposed thereby upon Japanese nationals imprisoned in Japan. The power to grant clemency, to reduce sentences and to parole with respect to such prisoners may not be exercised except on the decision of the Government or Governments which imposed the sentence in each instance, and on recommendation of Japan. In the case of persons sentenced by the International Military Tribunal for the Far East, such power may not be exercised except on the decision of a majority of the Governments represented on the Tribunal, and on the recommendation of Japan.

公式和文
日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基くの外、行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基くの外、行使することができない。


厳密に言えば、judgmentsは、判決であって、裁判とは訳さない。
ここに、ウーロンチャ氏のような誤解を生む。
しかし、芥屋氏ご指摘のとおり、第十一条の第2文を読めば、日本国が受諾するのは裁判内容ではなく、判決であることが分かる。

これについては、大原国学院大学教授による以下の研究がある。

http://www.yasukuni.or.jp/siryou/siryou5.html
(前略)確かに、サンフランシスコ講和条約の第11条には、毎日が言うように「日本国は極東国際軍事裁判所及び日本国内外裁判を受諾し……」という箇所がある。しかし、実はこの「裁判」に当たる英語の原文は「judgement」なんです。ふつう「judgement」は「判決」と訳される。裁判なら「trial」という言葉が使われるはずです。もともとは「判決」と訳していたのを最終段階で「裁判」に変えたことは資料の上で明らかです。では、なぜ「judgement」を「裁判」と訳したのか。

 そこで、当時、外務省条約局にいた藤里万里さんに直接お聞きしたら、当時の記憶は定かではないが、「判決」と訳すのが正しいと言われる。「裁判」と変えられた理由はよく分からないが、東京裁判は日本国政府とは無関係に連合国が行った軍事裁判であり、「判決を受諾する」というのはあくまで各被告についてのことであり、国が「判決を受諾する」と言うのはちょっと言葉の座りが悪いから、「裁判を受諾する」という表現に変えたのであろうと推測されていました。

 結局のところ、連合国がこの11条に込めた意味というのは、こういうことです。講和条約が発効すると、占領中になされたもろもろの政策はすべて失効し、東京裁判などの戦争裁判で有罪を宣告されて投獄されている戦犯も釈放されねばならない。日本に対する戦争裁判の最後の判決は昭和26年4月ですから、そこで重刑を受けた戦犯でも1年かそこらで釈放されることもありうる。連合国としてはそれは困る。だから、投獄されている戦犯を赦免したり、減刑したり、仮出獄させる権限は、連合国側との了承の下でやらねばならず、日本国政府のみで勝手にやってはいけないということを取り決めた。これが11条の意図なのです。

 だから、毎日は第11条の前半部分だけを引用していますが、その後の部分に、戦犯の赦免、減刑、仮出獄につ いては、連合国の決定が必要だという条文が続いています。つまり、これは東京裁判の判決の効力を講和条約が発 効した後も維持させるために入れた条項で、重点は条文の後半部分にあり、毎日が引用した前半はその説明文なのです。事実、当時の国会においても、外務省の西村熊雄条約局長がそうした趣旨の答弁をしています。
 ですから、講和条約発効後は、投獄されている戦犯の方々の赦免・釈放などは国際問題となるけれども、それ以 外の事柄で日本国政府や日本国民が戦犯として亡くなられた人々をどう処遇するかということは、日本国民自身の判断に委ねられるべきであって、サンフランシスコ講和条約とはなんら関係がない事柄なのです。
  また、もし、戦犯合祀が国際問題になるのであれば、出獄された方々の処遇も国際問題になるはずです。しかし、例えば中曽根さんと同じ改進党に属し、総裁までやった重光葵さんは、A級戦犯として禁固7年の判決を受けたけれども、その後外務大臣までされ、日ソ交渉の立役者でもあった。あるいは、賀屋興宣さんは終身禁固刑に処せられた。しかし、釈放後、衆議院議員になり、法務大臣までされた。仮にA級戦犯合祀が講和条約違反との見方が正しいとすれば、このお2人の復権は当然講和条約違反ということになるのではないか。しかし、そうした批判は連合国からはまったくなかった。 こう考えますと、サンフランシスコ講和条約によってA級戦犯合祀が拘束されるといったようなことは、法理論から見ても全然話にならない。 (以上)

> > 【サンフランシスコ講和条約】
> > 第十一条 日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。
> >
> > 要するに極東軍事裁判も、それに伴う刑の執行もすべて受け入れると言うことでしょう。で、なぜ【受託】なんですか?また、受託と認めるの違いは何だというのでしょうか。
>
> あのー、「受託」ってどこからでてきたんですか?私は書いてませんけど、何かの幻覚では?ちなみに、上記のとおり、その事実を受諾するものとしての条文であり、あなたが言うような史論や史観を認めるとか、条約ってそういうもんじゃありませんからね。退役したマッカーサーが議会の公聴会で「日本の戦争は自衛のためのものだった」と証言している件では、彼は公権力の場で自国が締結しているサ条約違反の発言をしたことになるんですか?アメリカにしたって、自国の近代史に関して公的にも私的にも、いろんな意見や見直しもあってるわけだし、そういうものが条約に拘束されるわけないでしょ。
>
> ところで、何で第十一条の途中で切ったんです?あなたの主張がとおらないことはその後の文言にも示されているでしょうに。烏龍茶さん、サ条約の条文、言われて初めて見たんじゃありません?(笑)
>
> 『日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基くの外、行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基くの外、行使することができない。』
>
> > > *ともかく、あなたが言われるような意味での法的拘束力だとか資格だとかはありませんし、現にそんな杜撰な主張は中国政府もしておりません。また、上記の議論中においてあなたがネグった箇所に回答いただければ新たな話にもなりましょうが