35054 返信 「白旗伝説」 URL 小林 哲夫 2005/05/13 11:41
スクイボンさん  引き続いての西洋植民地論です

「白旗伝説」(松本健一著 講談社学術文庫)に、ペリーが幕府に白旗を渡して、戦争になって降参する時はこれを振れ!と脅したことが書いてあります。
これは事実であろうと私も思います。

松本氏はこの事実を発見して、今までそれが忘れられていたのは、戦後の平和思想が原因だと考えています。
敗戦後の米国崇拝の趨勢から、明治の開国を再評価することとなり、ペリーは開国と通商を求めただけだから、脅しをかけたとは考えたくなかったのだ、と説明しています。

大江志乃夫という学者は、歴史の偽造だとまで言って非難した、と書いてあります。
しかし私には外交に脅しは付き物で、決して不自然に感じられません。
松本氏は「平和とは、軍事力を背景にした平穏状態」と表現しています。

我々はここまでは概ね賛成できるという共通認識があるのではないでしょうか?

私が最近強調しているのは、この後です。

日本人はこの脅しを真に受けて、恐怖にかられて、過剰反応を示したのが、明治の対外戦争の原因だったという考えです。

ペリーは「開国のために砲艦外交を行なった」ことを、「日本を植民地化するため」の脅しだと理解したのが明治人であり、その誤解は現在も続いています。

アメリカに日本植民地化の意思など全然なかったのに、それを誤解して、恐れて、「やられる前にやれ!」と突っ走ったのが、近代日本の姿だと考えます。

こういう視点に立つと、白旗伝説を今強調するのは、西洋恐怖心を再び煽るという効果しか無いと思えます。

ここで認識すべきなのは、「ペリーは脅し外交を行なったこと」が重要なのではなくて、「日本人はその脅しを真に受けた」ということです。
脅しはあくまでも脅しであって、実行する気の無い虚勢に過ぎません。

本当はペリーも戦争が出来ない状態だったことを認識することの方が重要だと思います。