35223 返信 政教分離は不可能である URL スクイボン 2005/05/22 12:56
古代、王がまだ巨大な墓を作らせていた時代、社会の秩序を保つ手段は何だったろうか?
宗教的道徳と武力だ。人の内面を宗教、外面を武力によって束縛する事で初めて古代社会は秩序を保つ事が出来た。
そして古代、より重要だったのが宗教である。古代国家のシステムや軍事力・警察力は極めて未熟で、人々の行動を拘束する手段として宗教はより重要だった。
ピラミッドが奴隷達の強制労働ではなく一般民衆の自発的協力によって建設されていたとする最近の考古学的成果は、この古代における宗教の武力に対する優越性を裏づけている。ピラミッドの巨大さと精巧さは、宗教が民衆にもたらす精神的影響力の絶大さ、社会を維持する上での宗教の重要さを何物より雄弁に語り続けている。
では現代はどうか?
人々を外側から拘束する軍事・警察・国家システムは高度に整備され、人々を内面から拘束する事に対し相対的にその価値を高めている。
しかし人々を内面から抑制する必要性が衰えているとは到底思えない。現代もまた古代と何も変わってはいないのだ。
しかし、人を外面から拘束するシステムに対し、内面から人を制御する宗教や思想にさほどの革新が起こっているとは思えない。強大な軍事力と警察力、高度な官僚機構と権力の暴走を抑制する為の”民主主義”という名の安全装置。既に高いレベルで完成されている人を外面から拘束するシステムに対し、内面から人を拘束するシステムはあまりにも未熟だ。
人類は未だ、あらゆる宗教、民族を超越して全ての人に普遍的真理を提示し得る思想を生み出してはいない。だからこそ人は未だ、おのおの民族が伝統的に守り続けてきた世界観に則って生活し続けるしかないのだ。
人類が近い将来、世界政府のようなものを建設できない理由がここにある。そして政治が宗教から完全に独立できない理由も。
人類はまだしばらく、異質な内面世界を持つ異民族・異教徒との間に人為的な境界を作り出し、各々の領域の中で自分達ごのみの世界を作るしかないのだ。しかしその世界は、異民族・異教徒の目には酷く異様なものに映るのかもしれないが、それを他者に押し付け、あるいは押し付けられ、深刻な摩擦、最悪の場合戦争を起こすよりは遥かにマシな筈だ。
日本人が天皇制を捨てられない理由もこのあたりにあると自分は思う。