35292 返信 靖国問題(1974年わだつみ会声明) URL とほほ 2005/05/26 23:18
1974年のわだつみ会(日本戦没学生記念会)の声明文です。
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今、「わだつみの声」を聞いている日本人はいるのでしょうか?

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悪法「靖国神社法案」の廃絶を願う 日本戦没学生記念会

政府自民党は、過ぐる 4月12日、靖国神社法案の内閣委員会での採決を強行し
た。今回の強行採決が、春闘さわぎに乗じての火事場泥棒的ともいうべき言語道
断のものであったことは誰の目にも明らかであるが、そうした手続き上の問題以
前に、この法案の内容およびそれを是が非でも成立させようとする人びとの意図
は、わたしたちが平和を願い、お互いの個人的人権を尊重し、国政の権威は国民
に由来することを確信する、日本国憲法下の人民であるかぎり、絶対に容認でき
ないものである。

昭和20年8月15日、敗戦の日までの靖国神社が、各地にあったその末社ともい
うべき護国神社とともに、天皇制ファシズム国家、大日本帝国の精神的拠点とし
て、日本人のこころを金しばりにするためにいかに機能したか、具体的にいうな
ら、一人の人間を、赤紙一枚で天皇の"醜の御楯"として、戦場に狩り出し、挙句
のはて白木の遺骨箱に変えてしまい、しかもその不条理をいささかも国民に気づ
かせない、という巧妙な非人間的欺瞞の機能を、いかにみごとに果したか、とい
うことを、わたしたちは夢にも忘れることはできない。

しかも、もともとわが国の風土のなかにつちかわれた土俗的な民間宗教として
あった神道の祭祀が、明治・大正・昭和にかけての 80年のわたしたち日本民族
の歩みのなかで、あれほどの思想統制的役割と政治的機能とを果たしえたのは、
一にも二にも、それを本来の民間宗教的な信仰の次元から、天皇中心の超国家主
義に見合う超宗教に仕立て上げるために、明治以来、国家権力の側から不断の働
きかけがなされたからにほかならない。

靖国神社法案とは、最大の神道的祭祀にほかならぬ靖国神社を宗教団体ではな
いとする、いわば烏を鷺と言いくるめる詭弁を弄しながら、ふたたび神道的祭祀
への国家権力の介入によって、超宗教への回帰をめざすきわめて悪質な政治的こ
ころみである。このことは基本的人権のなかでも、事が人間の内面性にかかわる
だけに特に重大な意味を持つ信教の自由への、政治権力の暴力的介入そのもので
ある。これはすでに、日本国憲法に抵触するか否かの段階の問題ではなく、まさ
しく日本国憲法を、その根源の精神的原点においてつきくずす意図に出るものと
言わねばならない。

わたしたちは「きけわだつみのこえ」にみられる戦歿学徒兵たちの遺思を継承
するこころざしをもって結ばれた者たちの集いである。彼ら戦歿学徒兵たちは、
日本の破局への歩みを、さめた眼ざしとふかい憂いとをもってみつめながら、し
かも自らを生んだ国土のために殉ずることを避ける気持ちをもたなかった。彼ら
の悲願が、日本の平和国家としての再生、つまり、そこでは基本的人権が尊重さ
れ、国権はただ国民に由来し、恒久平和への願いがすべてに優先する民主的国家
の実現にあったことを、わたしたちは確信している。

学徒兵たちは現に靖国神社に合祀されているが、もしも靖国神社が国家権力に
よってその祭祀をささえる敗戦前の超宗教的な形に復帰するならば、彼らの霊に
やすらぎのありようはない。わだつみ会員たるわたしたちが、この悪法の廃絶を
真にねがう所以である。

1974年 5月 20日

日本戦歿学生記念会