35295 | 返信 | Re:中国は防衛的? | URL | inti-sol | 2005/05/26 23:46 | |
スクイポン様 > 無論です。が、農耕民族の騎兵部隊は数が少なく、戦術的にも一般に遊牧民のそれに大きく劣っていました。 比率ではそうですが、分母となる人口は、農耕民族の方が圧倒的に多いのです。馬術の技量や馬を使った戦術は遊牧民の方が優れていたでしょうが、兵力は農耕民の方が圧倒的に上です。 > 一つの例としてですが、日本の騎兵の歴史を調べられる事をお勧めします。農耕民族日本人が騎兵をまともに運用したのは後にも先にも日露戦争前後のみです。 農耕民族といっても日本と中国ではまったく違います。日本では、遊牧民族と接点をもつこと自体がありませんでした。中国の農耕民族(特に北部の)は、遊牧民と敵対したり同盟したり、交易したり、常に接点をもちながら生活していました。もちろん、彼らから馬を入手することも多々あったでしょう。 日本には、そもそもほんとうの騎兵などいたためしはありません。武田の騎馬軍団などというのは、実態は歩兵と言っても良い。日本在来馬はサイズが非常に小さく、武将がまたがったら両足が地面についたなどという伝説もあるくらい(さすがにこれはマユツバだとは思いますが)ですから、その上に鎧武者が乗ると、足軽が走って充分に追いつけた、と言います。数も少ないから、騎馬軍団といっても実際に馬に乗っていたのは一部の武将だけでした。 > 大体、農耕民と遊牧民の戦闘力の差は、数十万の満州族が億の漢族を征服した事例を見ても明らかじゃないですか。 少し表現に誇張があるのではないでしょうか。先の投稿で触れたように、騎馬遊牧民も漢民族も一枚岩ではありませんでした。清朝の軍には明朝から離反した漢民族の軍もかなり含まれていました。それに、清朝は直接的には明朝を倒すことはできませんでした。清と明の戦いが膠着状態となっている間に、李自成の反乱で明朝が自壊し、清朝はその李自成を討つことで中国全土の覇権を手に入れたのです。言ってみれば棚からぼた餅、漁夫の利というものです。 > 初めから戦闘的な騎馬民族の中で際立って強力だったのがモンゴル人だったというだけの話です。 「騎馬民族の中で際立って強力だったのがモンゴル人」というのは、非常に疑問の余地があります。遼もモンゴル人の国家ですが、その滅亡に際してはどう見ても強力だったとは言えません。女真族(満洲族)も金の最盛期には強力でしたし、それに対抗した南宋の岳飛の軍も強力でした。どの民族が「際だって強力」だったか、などというのは、時代によっても違いますし、あまり意味はないと思います。 > ついでに北米のネイティブアメリカンと白人の抗争についてもね。 北米の先住民が戦闘的だったという事実はありません。少なくとも、白人ほどには。 > 60年という”短期間”で太平洋戦争を引き起こしましたね。それに欧米を比較対象にしても仕方が無いでしょう。日中、日韓だとどうです? 日本の軍事技術の突出振りは明らかでしょう。 明治維新から太平洋戦争までは73年ありますし、各藩が競って近代軍備を拡充し始めた幕末から積算すれば80年にもなるでしょう。これを短期間とは私は思いません。 更に、日本は戦国時代以来銃を国内で生産してきただけの工業技術力がありました。一説には、長篠の戦いで織田信長が集めた鉄砲は、当時のヨーロッパのどの国の軍隊よりも数が多かった、という話もあります。(もっとも、織田信長の鉄砲3000丁、というのも、本当に3000丁もあったのかどうかはいささか疑問の余地もあるけれど・・・・) また、日中戦争で、日本は結局のところ中国に勝てませんでした。 > ま、それはね。でも軍事や外交って、常に最悪を考えておくもんでしょ? それはどうでしょうか。軍事的に、最悪に対処することなど不可能です。60年前、日本は中国を侵略をした上に米国に戦争を仕掛け、惨憺たる敗北を喫しました。今でも日本が米国と戦争をして勝てる可能性など、絶対にと言っていいくらいにないでしょう。つまり、米国と戦争するという「最悪の事態」には、対処のしようがないということです。 日米戦争という「最悪の事態」に備えて軍事力を固めるより、そんな事態にならないように日米の友好に努めることの方が遙かに有益ですし、事実日本はそうしてきたわけです。(あまりに米国一辺倒の現状はどうかと思いますが) これは、他の国との関係でも同じことが言えるはずだと私は思います。 > そして中国の侵略を絵空事にしているのが日本の軍事力ですな。 台湾に侵攻するという仮定の話について言えば、台湾に侵攻するために南西諸島に侵攻するなどということがあり得ないのは、南西諸島より中国本土の方が台湾に近い上に土地の広さも(おそらく飛行場用地や港湾適地も)無制限であるからであって、言い換えれば無駄・無意味なことだからやらないのであって、日本の軍事力などは関係ありません。 フィリピンは、台湾との距離で言えば沖縄本島と同じくらいのところに位置します。しかも、軍事力は非常に微弱です。米軍はとうの昔に撤退しましたし、空軍は旧式のF5戦闘機がわずかに十数機稼働状態にあるだけです。しかし、中国が台湾侵攻のための橋頭堡としてフィリピンに侵攻する、などということは心配する必要はないでしょう。 また、中国海空軍の渡洋侵攻能力はきわめて低く、現状の自衛隊よりはるかに少ない戦力でも「中国の侵略」をくい止めるには充分です。 > 征服民となった遊牧民が急速に戦闘力を低下させたのと同じで、社会が豊かになれば戦争は起こらんのですけどね。 そのとおりだと思います。そして、中国はまさしく今、社会が急速に豊かになりつつあります。(貧富の差は激しいけれど) |
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