35726 返信 Re:単一民族論 URL inti-sol 2005/06/26 15:18
tpknさん

> ここでもinti-solさんは別の民族文化圏であることの根拠として「純然たる琉球語」や「別の独立国」であることを挙げておられますが、八重山と本島の言葉がこれまたまったく違う以上「純然たる琉球語」というものも実は存在しません。

いいえ。純然たる八重山方言があり、純然たる沖縄本島の琉球語がある、というだけの話です。

> これは、世界的にも島が集まっているような地域では同じ傾向があると思います(つまり、この基準では島嶼部は常に「多民族」となる)。

まったくそのとおりです。ですから、サンマリノのような人口2万人とか3万人のミニ国家を例外として、一定の面積と人口を有する国家で「単一民族国家」なんて代物は現実には存在しないと考えているわけです。サンマリノにしても、もし仮に単一民族国家だったとしても(ほんとうにそうなのかどうかは知りませんが)、下に述べるような事情で、それは日本人が幻想に抱いている「単一民族国家」とは別のものです。

> 「独立国」という概念も今と昔では違っているわけで、たとえば明治以前の日本がひとつのまとまった国だったかどうかというのも、今の概念からすれば疑問が多いわけでしょう?

もちろん、近代国家の概念で江戸時代以前の日本を説明できるわけではありません。それは、しかし世界中の国が同じです。ヨーロッパで現在のような近代国家の概念が確立したのはいつ頃のことでしょうか。15〜6世紀ではないか、という気がします。

> 琉球人が自分達は日本人(の一種)だと思っているときに
> この「アメリカ人」というのは、実はまた別の分類概念でして、以前国民国家の種類について確か問答有用に投稿した記憶があるのですが、「英語人」「西語人」をまとめて「アメリカ民族」と見なすことは可能ですよ。

このあたりに問題の本質が隠れているような気が私はするのですが、要するに「民族」と「国民」がごっちゃになっているんですね。その国の支配的な民族がどうしたって「民族」=「国民」と捉えがちなのは、日本に限ったことではないかもしれません。日本の場合はそれに加えて日本の外に住む大和民族もかなり少ない。つまり、日本人の住む国はほぼ日本だけ、ということも加わって(仮にサンマリノが単一民族国家だったとしても、この点で日本とは条件が違う)「単一民族国家」幻想がはびこったのだろうと思います。
だから、我々が普段「日本人」と言うとき、それが「日本(大和)民族」のことを指すのか、「日本国民」を指すのか、などという区別を意識することはないわけです。しかし実は「民族」=「国民」ではありません。そして、「日本人」という言葉も、厳密に考えれば、これはおそらく「日本国民」を指すのであって「大和民族」を指す言葉ではありません。なぜなら、ブラジルや米国の日系人を日本人とは言わないからです。
つまり、「琉球人が自分達は日本人(の一種)だと思っている」というのは当たり前のことであって、彼らはもちろん日本国籍を有するれっきとした日本国民なのですから、「日本人(の一種)」に決まっているのです。アイヌ人もそうですし、日本国籍を取得した韓国・朝鮮人もそうです。でも、それは「日本民族(大和民族)」の一員であるかどうかとは、また別の話であるわけです。

> 言いたいことはですね、日本の場合、いわゆる多民族国家とは成員の構成がまったく違うのに、別民族が少しいるからといってなんでもかんでも「多民族国家」と言ってしまうのは、逆にその差異を覆い隠すことにしかならないのではないかということです。

「いわゆる多民族国家」も千差万別です。民族ごとの構成比や融合状況、対立の度合いなどなど。たとえばブラジルのように異民族同士の結婚が当たり前に見られる国と、ルワンダのように民族同士で殺し合いをしている国で、「多民族国家」といったって同じであるはずがないのです。「多民族国家」と言ったとたんに差異が消えてしまうと考えるのは、多民族国家をステロタイプに捉えすぎではないでしょうか。