36110 返信 平和民族の日清日露戦争(5) URL 小林 哲夫 2005/07/25 22:33

日清戦争をもう少し詳しく見て見ます。

朝鮮を日本の勢力範囲に置くための戦争

福田和也著「魂の昭和史」では、日清戦争の目的について「中国の支配下に有った朝鮮半島を日本の勢力範囲に置くために中国と戦った」とありました。
これは日本の覇権主義を悪びれずにそのまま書いたものです。
この著者はこういう暴力性が「世界史のゲーム」の現実だと強調しているわけです。
福田和也氏は、「朝鮮を日本の勢力圏に置くこと」を、「ゲームとしての戦争」と表現しています。

そして「戦争ゲームをきちんとやれない国はダメな国で、そんな国は植民地にされても仕方が無い国だ」と書いています。

明治の日本人が日清戦争を「世界史のゲームへの参加」と感じたこと、当時そのようなゲームの規則で世界が動いていたことは私も認めることが出来ます。

しかしながらこのゲームに参加しなければ植民地にされても仕方が無い、などとは私は考えません。
この福田氏の発想こそ、西洋恐怖症にとらわれたゆがんだ世界観だと考えます。
世界には沢山の国があり、中には軍事弱小国もありますが、そういう国が全て植民地にされたわけではありません。
それなりに独立して、豊かに存続した国が沢山あります。

「戦争をやれない国は植民地にされても仕方が無い」などという野蛮なことを平気でいえる神経を疑います。
この考えは野蛮なだけでなく間違いでもあります。
それも明治時代の間違いではなくて、現代にも引き継がれた間違いだと気がついてほしいものです。

福田氏は「日清戦争をやったから日本は植民地にならずに済んだ。」と今でも信じているようですが、これは明らかに間違いです。
冷静に考えれば、「戦争をしなくとも日本は植民地にならずに済んだに違いない。」と私は確信を持って言えますし、この考えに賛成してくれる人は多いと信じています。


「朝鮮を日本の勢力範囲に置く」理由

「朝鮮半島を日本の勢力範囲におく」ということについては、加藤陽子著「戦争の日本近現代史」には、もう少し詳しく説明が有りました。
「シュタインや山県は軍事的観点から日本の独立自衛のために朝鮮の独立を確保しなければならず、その独立を阻害すべき清韓の宗属関係を排除するために、清国を半島から排除しようとした。」(加藤著85P)

つまり「日本の防衛のために清韓の宗属関係が邪魔だ。」というものです。

利益線という考え方

日本の防衛に関するこの考え方は、山県がシュタインから学んだものでした。
シュタインというのは、伊藤博文が1882年に憲法草案作りのために欧州へ出向いた時に教えを受けたウィーン大学教授です。いわば日本帝国憲法の先生でした。
山県有朋は1888年に地方制度調査のための欧州旅行の時にウィーンで意見を求め、それを「国防論」として日本語にしたものが残っています。

その論でシュタインは国防のためには主権の範囲としての「権勢疆域」と、それを守るためのその外側に「利益疆域」がある、そして日本の「利益疆域」は朝鮮の中立にあるとしました。この意見に基づいて、日本の利益線確保のために清韓の宗属関係を切り離すことが必要だと山県は考えました。

この時の日本人の気持ちとしては、朝鮮半島が中国の勢力下に置かれていると、どこかの国が半島を通って、日本を侵略すると恐れたのでしょう。
蒙古軍が朝鮮を通って、朝鮮軍を先頭に立てて、日本に来襲したことが忘れられなかったようです。
だから日本の自衛のために、半島を日本の勢力下に置こうと考えたものです。