36264 返信 グランサコネ通信05−22 URL 前田 朗 2005/08/09 16:56
(1)8月8日

午前中は議題5の審議を進め、午後には議題2〜4の決議の採択を行ないました。議題5で、日本関連の発言が3つありました。

<日弁連(武村二三夫)>発言概要

日本には今日も重大な差別が存在する。最高裁判所は、東京都の保健婦である朝鮮人女性の管理職登用を否定する東京都の見解を、合理的な区別として是認した。自由権委員会は1993年および1998年に差別是正の勧告をしているが、日本は、住居、雇用、職業などの差別を続けている。日弁連は2002年以来、人権小委員会で、日本が自由権規約第一選択議定書を批准していない問題を提起してきた。大阪地裁は、外国人指紋押捺制度が自由権規約違反の疑いがあるとしたのに、最高裁は自由権規約に言及せずに地裁判断を覆した。日本が議定書を批准していないので、最高裁の判断が国際的批判を回避することができる。議定書を批准して個人通報制度を受け入れる必要がある。

<アジア女性人権評議会(AWHRC、成木弓恵)>発言概要

2002年の平壌会談以後、日本社会では朝鮮人に対する差別と暴力事件が多発した。「朝鮮人は殺すぞ。日本から出て行け」といった暴言が投げつけられた。民族衣装であるチマチョゴリを引き裂く事件も起きている。2004年11月には宝塚市の記念式典でチマチョゴリで舞踊をしていた朝鮮人女子生徒に対して日本人女性が差別発言を行なっている。1994年以来同種の事件について国連人権機関に報告がなされてきたが、日本政府は対策を講じていない。本年4月に検定を通過した歴史教科書からは日本軍慰安婦などの日本の戦争犯罪の記述が削除され、戦争が美化されている。政府の検定方針が、日本社会における朝鮮人差別を温存させている。


<国際民主法律家協会(IADL、鈴木敦士)>発言概要

ハンセン病患者の隔離政策に対して補償を求めるハンセン病訴訟弁護団の一員として、人権小委員会に提起したい。日本および植民地・占領地で、ハンセン病隔離政策は法律によって強制的に行なわれた。政府の方針が患者に対する差別を助長した。その因果関係は明らかである。隔離法は1996年まで効力を有していた。日本政府は政策の誤りを認め、謝罪し、補償する必要がある。2001年にハンセン病訴訟が提訴されて、補償がなされたが、朝鮮や台湾の被害者には補償がなされていない。長年の隔離の結果、高齢化した被害者は帰るべき地域や家族がなくなっているので、施設で暮らさざるをえない。施設の閉鎖に伴って、暮らす場所がなくなろうとしている。偏見予防のために、ハンセン病についての公的な教育が必要であるが、不十分であり、社会に偏見が残ったままである。


(2)DUブリーフィング

8日、「人権とウラニウム兵器」というブリーフィングを行ないました。主催はアジア女性人権評議会(AWHRC)、協賛は国際教育開発(IED)、人道法・法律家協会、国際人権活動日本委員会(JWCHR)。議長は、NGOの国際女性大学連盟のコンチタ・ポンチニさん。報告者は、IEDのカレン・パーカーさん、JWCHRの小山潔さん、AWHRCの成木弓恵さん、国連青年学生国際協会のヤン・レーンさん。イラクの被害状況の写真(豊田直己さんの写真)などを掲示しました。イラク国際戦犯民衆法廷(ICTI)の判決ブックレット(和文と英文を収録)を配布しました。また、イラク世界民衆法廷(WTI)の陪審団最終意見もコピーして配布しました。


(3)特定国問題

最近耳にした素敵な伝聞情報です。伝聞情報で、裏は取っていませんので、真相は不明ですが。

人権小委員会のさる委員が、「人権小委員会では特定の国家を名指しした決議はできないことになっている。自分はそれは良くないと思う」という趣旨のレクチュアーをしているとか。爆笑物の情報です。

前回の人権小委員会改革で、人権小委員会は「特定国決議」ができないことになりました。人権小委員会は、人権問題のシンクタンクとして、特に人権基準(条約草案、ガイドラインなど)の定立のための作業をする場所であって、特定の国家を非難したり、特定の問題を訴えに来る駆込寺ではないということです。2000年に人権委員会や人権小委員会で結構議論していて、たしか2001年から、「特定国決議はできない」ということになりました。

その後、さる委員は、人権小委員会における公式の発言の際に、ことあるごとに「人権小委員会は特定国決議はできない」と述べていました。さらに、日本軍「慰安婦」問題と関連する武力紛争における性暴力などの決議が採択されたときに、某国の新聞記事に「人権小委員会で日本軍慰安婦問題に関連する勧告を含む決議が採択された」という記事が掲載されたことがあります。すると、さる委員は「人権小委員会は特定国決議はできないことになっている。新聞記事は誤報である」と批判する発言をしたり、なんとそれらの新聞社に「抗議と訂正要求」の手紙を送り付けました。この話を聞きつけた別の某国の「連合通信」はさる委員を名指しで侮辱する記事を掲載しました(その日本語訳がロビーで配布されていました)。

こんなことが何度かあったのですが、なんと、その委員が、今では「特定国決議ができないのは良くないと思う」と言っているというのです。素晴らしい豹変です。この優れた柔軟さに学ぶことができるといいのでしょうが・・・。以上は伝聞情報と感想です。