36273 返信 グランサコネ通信05−23 URL 前田 朗 2005/08/10 16:46
(1)8月9日

人権小委員会は議題6の審議を進め、かなりの部分を終えました。主要な報告書の紹介と討論、および一般討論の大半が終了しています。10日は、午前中に残りを終わらせて、議題5と6と1の決議案の審議に入ります。

*NGOの平和自由女性国際連盟が、世界女性組織、国際女性理事会、世界母親運動、ユダヤ人女性国際理事会とのジョイント発言で、武力紛争における女性に対する暴力、特にジェノサイド強姦について報告する中で、「慰安婦」のような重大人権侵害について言及しました。ただ、発言用紙を配布しませんでしたので、後でメールで送ってもらうように頼んでおきました。「ジェノサイド強姦」という言葉は、ケリー・ドーン・アスキンが「女性に対する戦争犯罪」という本で使っている言葉ですが、私もここ数年、日本軍性奴隷制についてジェノサイド強姦、あるいは国家が行なったジェノサイド強姦という表現を用いてきました。同じ表現をしたので、なるほどと思いました。

<対日道義請求財団>発言概要

財団は、日本軍による人権侵害の被害の認知を得ることを目的としている。今年は第二次大戦60周年である。アジアの7カ国とオランダの世界8カ国で同時の記念行事が行なわれている。オランダではハーグの日本大使館前でデモを行なっている。性奴隷やその他の奴隷労働のために亡くなった人々のメモリアルであり、生存者の物語の証言を行なっている。収容所に入れられた12歳の少年は、厳しい労働や病気のために14歳の兄弟が死ぬのを目撃し、一日中泣いていた。この恐怖は今も消えない。被害を決して語らない少女の例もある。間に血、60人の被害体験を日本大使館に届ける。日本政府は、子どもたちにこのようなことをしておいて、謝罪も補償もしないで、誇りを持つことができるのだろうか。ナチスの被害者にドイツが謝罪と補償をしたのに、日本はなぜできないのか。

<国際民主法律家協会(IADL、塩川頼男)>発言概要

2003年の人権高等弁務官事務所の記録では、日本政府が人権分野に提供した資金は16位である。アメリカが1位である。日本が在日米軍に提供している思いやり予算は2611億円であり、人権分野への提供資金の2750倍である。1998年、日本のNGOは現代奴隷制基金、先住民族基金、拷問被害者基金に資金提供している。われわれは人権小委員会を信頼し、評価しているので、さらに期待しているのでそうしている。日本は混乱しており、首相は憲法を変えようとしている。周知の憲法9条を変えて、軍隊を保有しようとしているので、9条を守るための署名をしつつ、国連へのカンパを集めている。

<日本友和会(JFOR、バルク良子)>発言概要

先週、人権小委員会に入ろうとした母親と子どもたちが、13歳未満の子どもは入れないということで、国連に入れなかった。これでは母親や女性は効果的に活動できない。女性は家庭で働き、男性が外で働くというのは不公正である。男女平等を真に考えるなら、国連などの職場にも児童保育が必要である。就学以前だけでなく就学後の子どもも含めて児童保育が設置されるべきである。若者は国連の見学や図書館に行ったり、他国の子どもと出会えるようになる。日本友和会は、昨年この問題について調査して報告書を書いている。結論として国連ジュネーブ本部に国際的デイケア・サービスの必要性を示している。人権小委員も、国連職員も、政府代表も、NGOにも必要である。日本軍性奴隷制については、日本友和会の提出文書を参照して欲しい。

<アジア女性人権評議会(AWCHR、成木弓恵)>発言概要

「湾岸戦争」と2003年のイラク戦争で女性と子どもが被害を受けた。なかでも劣化ウラン兵器(DU)はアルファ線を出し、体内に入ると癌の原因となる。バスラの子どもの癌発生率は3〜4倍となっている。DUで破壊された戦車周辺で高度の放射能が検出されている。子どもたちが被曝して、白血病、癌などに罹患している。母親たちは希望を失い、乳児は生れる権利すら奪われている。経済制裁が続いたため医療品も極めて限られている。反テロという口実で戦争を正当化しているが、被害者は罪のない女性や子どもである。DUは無差別攻撃の兵器であり、国際法に違反している。イラク世界民衆法廷(WTI)とイラク国際戦犯民衆法廷(ICTI)は、10カ国以上の市民社会の連帯で戦争犯罪の責任解明を試みた。DUの使用は国家によるテロである。ヒロシマとナガサキの経験をした国の市民として、DU禁止を訴える。

<国際人権活動日本委員会(JWCHR、小山潔)>発言概要

占領下のイラクの人権状況は深刻である。無差別攻撃で傷つき、軍事行動により再建が阻まれている。イラク自由会議は非暴力大衆運動を行なっているが、安全の欠如が活動の妨げになっている。支援を試みた欧米のNGOはイラクを立ち去った。DU被害を受けた人々が放置されている。DU被害調査によると、米軍はDU被害のあることを知っていた。イラク人民は正義と保障を求めるチャンスがない。8月9日はナガサキの日であるが、ヒロシマとナガサキの被爆者は今なお被害補償を求めている。人権小委員会はこれまでウラニウム兵器の使用の違法性を指摘し、被害者補償の必要性を議論してきた。この問題を再度議論し、イラクにおける軍事行動の停止を緊急課題として取り上げるよう要請する。


(2)先住民族ブリーフィング

昼休みに国際先住民族の日を記念したブリーフィングが行なわれました。ハワイ、アラスカ、ネバダ、ニュージーランド、グアテマラなどの先住民族グループ主催です。先住民に対する各種の差別について語られていましたが、質疑では、議会に代表をいかに送るか、議席配分のあり方をめぐって意見が出ていました。また、先住民族の映像が流されました。ハワイ、ペルー、アラスカなどの自然と人々のとても美しい映像でした。こうした映像が逆に先住民族に対するステレオタイプとならないかと気になったりもしましたが。