36454 | 返信 | Re:朝鮮併合;1910年 | URL | 烏龍茶 | 2005/08/25 00:25 | |
指環さん、今更、というほどに日があいてしまいましたが、投稿35640のご指摘に対してお返事いたします。 >日韓併合、と言うより韓国「併合」と言った方が正しいと思うのですが おっしゃるとおりと思います。事実の実態をよく表すのは、「韓国併合」の方でしょう。しかしどういうわけか、日韓併合という言い方をよく目にします。日本の責任を曖昧にしたい、という無意識の表れでしょうか。 >また、国家に対する強制によって締結された条約は有効ですが、国家の代表者個人に対する強制によって締結された条約は国際法上無効となるというのも、その通りです。当時の国際法学者もそう述べています。 なぜ国家代表に対する強制が条約の無効要件になるかといえば、そもそも条約が締約国の自由意志に基づくからこそ締約国を拘束し、代表に対する強制によって締結された条約は自由意志のに基づかないから、ですよね。このあたりの見解は、日本の大正時代あたりの国際法の解説書(遠藤源六「国際法提要」大正五年第一刷)にも見られることで、韓国併合当時も観衆国際法として機能していたようです。 >ただ、問題はその先にあるわけで、第二次日韓協約締結時の強制が国家に対するものだったのか、国家の代表者個人に対するものだったのかが、研究者の間で論争になっているようです。 外務省のホームページで見られる日韓共同研究によれば、これ以外にも条約としての形式の不備(締結代表への委任状や批准書がないなど)など、いくつかの争点があるようです。私自身はこれらに加えて第二次日韓協約締結時の韓国閣議が伊藤博文によって取り仕切られていた事など、そもそも韓国が「自由意志によって条約を締結した」とはとても言えなかった実態からして、無効とするほかない、と考えています。 >私自身は、この問題をそれほど深く勉強したわけではないのですが、第二次日韓協約締結時の強制が国家に対するものではなく国家の代表者個人に対するものであったと言い切ってしまうのはやや無理があり、韓国「併合」は形式的には有効であったと一応言えるのではないかと現在のところは考えています。従って、この部分では烏龍茶さんとは見解を異にするかも知れません。 そのようですね。このあたり、大変微妙な問題であるのは事実のようです。有効無効についての私の見解は上記の通りです。 >但し、(ここからが最も重要なのですが)仮に韓国「併合」が形式的に有効だったとしても、それが正当であったかどうかは別問題です。朝鮮民族をまるごと支配し収奪するという愚劣な行為は、当時の国際法上の形式的適法性によっては少しも正当化できないと考えます。 おっしゃるとおりです。私自身がこの掲示板で無効論を述べるのは、締結時の実態からして有効とは言えない、という考えに基づくものであって、条約の無効をもって韓国の支配の不当性の根拠にしようというものではありません。 >この点で、むにゅう!さんの >>侵略?併合はきちんとした国際間の手続きを踏んだ正当な行為ですよ。 > などという見解は言語道断だと思うわけです。 言語道断であって、まったくの論外であると言っていいでしょう。 >韓国「併合」が形式上有効だったとする見解の海野福寿氏も『韓国併合』(岩波新書)の「あとがき」で次のように述べています(p244〜245)。 > ーーーーーーーーーーーーーーーー【引用開始】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー > > しかし、にわか勉強のわたしがたどりついた結論は、共和国の歴史学者の主張とはやや異なる。韓国併合は形式的適法性を有していた、つまり国際法上合法であり、日本の朝鮮支配は国際的に承認された植民地である、という平凡な見解である。だが誤解しないでほしい。合法であることは、日本の韓国併合や植民地支配が正当であることをいささかも意味しない。当時、帝国主義諸国は、紛争解決手段としての戦争や他民族支配を正当視していた。彼らの申し合わせの表現である国際法・国際慣習に照らして、適法であるというにすぎない。日本はその適法の糸をたぐって、国際的干渉を回避しながら韓国を侵略し、朝鮮民族を支配し、「朝鮮の人民の奴隷状態」(カイロ宣言)をつくりだしたのである。わたしたちにとって考えるべき問題の本質は、併合にいたる過程の合法性如何ではなく、隣国にたいする日本と日本人の道義性の問題ではないか、と思う。 私の見解は、別の表現で繰り返すならば「当時の欧米中心の国際社会は、いまだ植民地支配を正当視していた、しかしそうした【いまだ未開の国際法】の基準に照らしても、日本の韓国併合は不法なものであった」ということです。 先に述べた日韓共同研究を読んでみると、歴史学者と国際法学者双方が、この問題に対して及び腰であるように見える点があります。両者が協力して、実際はどのような事実の流れがあっての条約締結であったのか、そしてそれは国際法上どのように評価されるべきであるのか、という研究を進めるべきであろうと思います。 > ただし「併合」無効論に反対する立場であっても、それはあくまでも「不法」と断定するのは難しいというレベルの議論であり、日本政府の見解のように「法的に有効」であることを積極的に論証しようとするものではない。第二次日韓協約の強引な締結過程やその後の反日義兵闘争の高揚を見れば、植民地化が朝鮮民族の総意に反して強行されたことは明白である。 (中略) > 日本の朝鮮植民地支配が「不法」であったかどうかの見解は分かれるものの、それが「不当」なものであったことについて、論者の見解は一致している。「併合」条約が「法的に有効」であったという論理をたてに植民地支配の清算を拒み続けるならば、それは隣人とのよりよい関係構築を妨げるだけであろう。 特に後段について、私もこの見解に与するものです。 ところで、先の投稿で指環さんのHNを間違えて投稿してしまいました。お詫びいたします。 |
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