| 36489 | 返信 | Re:百人斬り裁判(国際法と世界人権宣言) | URL | 五番街 | 2005/08/27 14:31 | |
| (若干の修正を行っている間にtpknさんの投稿が出されましたが、この投稿と修正箇所との関連性は乏しいものです) tpknさんの投稿の内容は、全く論証になっていません。自分の主張が正しい、したがってオマエの主張は間違いだ、という自分勝手な論理によって構成されています。 【「国内刑法の原則である罪刑法定主義を国際法に適用しようとすること自体が間違っている」は妥当な主張といいがたい。】というtpknさんの「まとめ」と【「罪刑法定主義は、1989年のハーグ条約陸戦法規などの戦争法に適用されないという五番街の主張は間違っている」】という私の「まとめ」とは同一の意味であるという私の主張に対して、それが間違いであるという論証は全く行われていません。 これらの「まとめ」の大きな相違点は、tpknさんのそれでは「国際法」という表現が、私の「まとめ」では「ハーグ条約陸戦法規などの戦争法」となっていることです。 しかしながら、告天子さんと私との議論でしばしば言及された「国際法」は実質的に「戦争法(厳密には、国際戦争法というべきであろうが)」であり、そのため、両者間では、「国際法」を「戦争法」と換言することは合意事項になっています。(投稿#34801および#34805) さらに、この合意の後に飛び込んできた右翼の星・八木沢氏との議論でも、同様に「国際法」を「戦争法」と同じ意味で使用しています。たとえば八木沢さんは、【告天子氏がおとなしいのをいいことに、五番街氏が「罪刑法定主義は国際法には適用されない」なる珍奇な主張を、執拗に繰り返している】と述べています。ここで言う「国際法」は「戦争法」と同義です。したがって、つぎのtpknさんの発言は、デタラメきわまるものです。 > この二つ(注:国際法と戦争法)はまったく同一ではありません。したがって、あなたの言っていることは「メチャクチャ」であります。(tpknさん) メチャクチャなのは、tpknさんですね。ミットモナイですよ(笑) さて、tpknさんは次のように書いています。 >あなたの「反論」は、相手のしていない主張に対してなされております。(tpknさん) これは、tpknさんの自分勝手な決めつけにすぎません。私が「相手のしていない主張に対して」反論したというこの主張を、具体的に事例をあげて論証して下さい。 東京裁判に関して告天子さんの主張をまとめれば、次のようになります。 >東京裁判において、刑罰の規定が存在しない国際法違反を理由に刑罰を課すことは可能だが、不当だ。(#34723) この主張に対して私の反論を箇条書きすれば次のようになります。 ・東京裁判は、極東軍事裁判所条例という連合国による占領地の軍律(国内法)を直接的な法的根拠として実施されたものである。 ・この条例には罪と罰が規定されており、刑罰法定主義の原則が採用されている。 ・この条例の規定する罪は、いわゆる事後法の採用を織り込んだハーグ法などの戦争法の禁止事項をベースとするものである。 ・このような国際法(戦争法)と軍律(国内法)の関係は、ドーリットル爆撃の搭乗員を処罰するために「空戦に関する規則」という国際法をベースとして制定された「空襲軍律」との関係と同一である。 ・このように、国際法違反者に対して国内法を制定することで処罰を行うことは、国際慣習法として定着していた。 ・したがって、罰則規定がない国際法違反を理由に処罰することは、不当であるとは言えない。 ・国際法には処罰規定が存在しないという特徴があり、その違反者を処罰するために国内法を制定して補完するという慣習法は、国内法に適用される罪刑法定主義とは異質なものである。 ・したがって、罪刑法定主義を国際法に適用すること自体が間違っているという私の主張、換言すれば、罪刑法定主義はハーグ法などの戦争法に適用されないという私の主張は、妥当であり、かつ間違っていない。 さて、tpknさんは次のように書いています。 (1)罪刑法定主義は、1989年のハーグ条約陸戦法規などの戦争法に適用されない (引用者註:1989年は1899年のタイプミス?) (2)国内刑法の原則である罪刑法定主義を国際法に適用しようとすること自体が間違っている (1)については、八木沢さんも告天子さんもそのような事実があったことを認めております。それは、国内法と国際法が「異なった発展段階」にあったからです。つまり、ここでは時系列が問題となっております。かつて法的に正当であったものが現在では不当などということはごくごく一般的なものであり、だからこそ「発展段階」というものが問題になるわけでしょう? しかし、あなたの主張である(2)は、その時系列の問題を無視したものです。罪刑法定主義の適用の是非は「国内法」か「国際法」かで適用の是非が決められるのではなく、法の発展段階によって決められるわけです。だからこそ、国連憲章にも世界人権宣言にも罪刑法定主義が謳われているわけですね。八木沢さんが国連憲章や世界人権宣言を引用したのは、「罪刑法定主義は、1989年のハーグ条約陸戦法規などの戦争法に適用される」ことを論証するためではなく、「国内刑法の原則である罪刑法定主義は(少なくともこの50年間は)国際法にも適用される」ことを論証するためです。 これも、完全にメチャクチャですね。(1)と(2)の主張は同じものです。この前提が矛盾していると同時に、tpknさんの主張もデタラメです。 第1に、この告天子さんとの議論は、あくまで東京裁判がテーマになっており、最近の国際法に焦点を当てたものではありません。たしかに、国際法は国内法と比較して「異なった発展段階」にあるという指摘は間違っているとは考えませんが、この違いと、国際法に罪刑法定主義の原則の適用との関係が、さっぱり理解できません。このtpknさんの文章は、なんでも構わないから書いておけば反論になるとでもいうような、体裁を整えただけの意味がないものとしか思えません。 仮に、tpknさんが、国内法では罪刑法定主義の原則がすでに確立されていたが、国際法は未熟であるため、この原則が徐々に採用されていった、というのであれば、その事例を挙げ、議論のテーマである東京裁判の法的根拠のベースとなった戦争法に罪刑法定主義が適用されることを実証してください(私は、tpknさんができるとは思っていませんが、挙証責任はtpknさんにあります。) 第二次世界大戦の終了後のニュルンベルグ裁判および東京裁判の時点までに、それ以前の国際法(戦争法)に罪刑法定主義を適用しようとする動きあるいは傾向は全く見られません。このことについては、私は、第一次世界大戦後のベルサイユ条約にもとづく前皇帝の裁判や日本の空襲軍律による米搭乗員の裁判など、さらに東京裁判などを挙げて論証しました。 第2に、「国連憲章にも世界人権宣言にも罪刑法定主義が謳われている」とtpknさんは述べていますが、このうち、国連憲章で「罪刑法定主義が謳われている」という箇所を挙げて下さい。(できますかね(笑)) さて、次に、【八木沢さんが(中略)世界人権宣言を引用したのは、(中略)「国内刑法の原則である罪刑法定主義は(少なくともこの50年間は)国際法にも適用される」ことを論証するためです。】について、すでに反論したのですが、今回はもっと分かりやすく書いてあげましょう。 八木沢さんが指摘する世界人権宣言の第11条第2項には次のように書かれています。 ------------------------------------------- 世界人権宣言」第11条第2項(1948年12月10日採択) 何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為のために有罪とされることはない。また、犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑罰を課せられない。 ------------------------------------------- この宣言の特徴は、各国に対して法的強制力を持たず、推奨、あるいは勧告などの役割しか果たさないことです。このようでなければならない、というものではありません。 この宣言にも関わらず、ハーグ法などの戦争法が修正されず、罪刑法定主義の原則が戦争法にも適用されなかったのは、そのためであると考えられます。 ハーグ法の特徴の一つは、その中のマルテンス条項と呼ばれる規定です。この条項を私なりに要約すれば、「この法規に含まれない行為に対しても、国際法が適用される」ということになります。したがって、この条項は、規定外の特定の行為を「罪」と認定し、遡及処罰を行うという事後法の採用を承認したものと理解されています。 ところが、1978年の国際的武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(第一議定書)では、次の条項が採用されています。 ----------------------------------------------- 第一条(一般原則及び適用範囲) 2 文民および戦闘員は、この議定書又は他の国際取極がその対象としたいない場合においても、確立された慣習、人道の諸原則及び公共の良心に由来する国際法の原則に基づく保護並びにこのような国際法の原則の支配の下に置かれる。 ----------------------------------------------- この規定は、ハーグ法のマルテンス条項を踏襲したものであり、1978年の時点においてさえも、事後法および遡及処罰を承認し、同時に世界人権宣言の事後法の禁止を否定するものです。この第一議定書は、締約各国に対して法的拘束力を有しますが、世界人権宣言にはその拘束力はありません。したがって、この第一議定書が世界人権宣言に優越します。 この第一議定書では、上記引用した世界人権宣言の第11条第2項は、次のように採用されています。 ------------------------------------------------ 第三節 紛争当事国の権力内にある者の待遇 第一章第75条(基本的保障) 4 (c) 何人も、実行の時に服していた国内法又は国際法の下で刑事犯罪を構成していなかった作為又は不作為を理由として起訴され又は有罪とされることはない。また、刑事犯罪の実行の時に適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されることはない。刑事犯罪の実行の後に軽い刑罰を科す規定が法律により定められた場合には、犯罪者は、その利益を受けるものとする。 ------------------------------------------------- この第一議定書の規定は、世界人権宣言の当該の条項が、紛争当事国の権力内にある者、すなわち、占領地の者に適用されると述べるに留まっています。つまり、占領地の者に対して事後法や遡及処罰が禁止されるが、他の文民および戦闘員には事後法が適用され、遡及処罰が行われることを示しています。 一方、ハーグ法では、上記第三節に相当する規定は次のようになっています。 ------------------------------------------------ 【第四三条】(占領地の法律の尊重) 国の権力か事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は、絶対的の支障なき限、占領地の現行法律を尊重して、成るへく公共の秩序及生活を回復確保する為施し得へき一切の手段を尽すへし。 ------------------------------------------------ この規定と第一議定書の第三節75条を比較すれば、前者の占領地における「現行法律」の尊重という抽象的な部分が、遡及処罰の禁止など、より具体的に述べられており、罪刑法定主義が明確に打ち出されているという違いがあります。 しかしながら、ハーグ法の「現行法律」は、占領地における国内法を意味しており、当時において一般的に国内法が、国際法とは異なり、罪刑法定主義の原則を採用していたことを示しており、一方、この第一議定書の規定は、国際法に対しても遡及処罰の禁止(事後法の禁止)にまで拡大されています。 要するに、ハーグ法の規定では占領地の者を対象に黙示的に示されていた国内法の罪刑法定主義の原則が、第一議定書では国際法にも拡大され、明示的に示されていると言えます。 そして、1978年の第一議定書は、ハーグ法で明確化された事後法および遡及処罰を継承しているという共通する特徴があり、さらに、第一議定書では、占領地での国内法の罪刑法定主義の原則および、国際法による遡及処罰の禁止が明示されているという特徴を備えています。 ところが、この第一議定書では、ハーグ法と同様に罰則規定がなく、依然として戦争犯罪人の処罰は各国に委ねられていると理解されます。 そのため、この第一議定書の内容は、罪刑法定主義の原則とは異質なものとなっています。 したがって、八木沢さんの【「国内刑法の原則である罪刑法定主義は(少なくともこの50年間は)国際法にも適用される」】という主張は、デタラメということになります。 もし、この私の主張に反論するのであれば、罪刑法定主義が国際法に適用された事例を挙げて下さい。(むろん、できないでしょうが(笑)) ただし、1998年の国際刑事裁判所規程では、第三章において、不遡及の原則、すなわち、遡及処罰の禁止が規定されており、これは同時に事後法の禁止を意味するものです。そして、第7章では刑罰の規定が置かれています。 この規程は締約国に対して法的拘束力を有するため、1998年以降はこの規程の締約国およびその国民に対して、罪刑法定主義が適用されるということができます。 ただし、このことは、議論のテーマであった東京裁判と罪刑法定主義、あるいは、その時点での国際法(戦争法)と罪刑法定主義とは何の関係もありません。 次にうつります。 >いえ、「tpknさんの主張は、あまりにもバカらしいので」などと書いた以上、それは無視ではなく「反論せずに罵倒」でしかありませんが?(tpknさん) この発言は、時系列を無視したデタラメなものです。tpknさんが問題にしているのは、以前のtpknさんの投稿に対して「反論できず罵倒」を行ったということです。しかし、以前に私は「罵倒」を行ったことはありません。また同様に「以前に」、「tpknさんの主張は、あまりにもバカらしいので」などと書いたことはありません。 >私は常にあなたを名指しして批判しているのですから、あてこすりではありません。したがって「それらをしたのはtpknさんです」というのは、事実無根の中傷であります。(tpknさん) あなたの「批判」は、批判になっていません。罵倒、中傷のたぐいです。 >それから、下のURLで示したように、《「東京裁判の事後法適用は違法」、とか、「勝者による東京裁判の判決は無効」》というような話は、この掲示板で告天子さん、烏龍茶さん、八木沢さん、五番街さんによって行われたものです(実際には、告天子さんも八木沢さんも前者は主張しておりませんが)。百人斬り裁判の勝訴に絡めてまったく関係のない東京裁判の話題が出てくるのであれば、それは百人斬り裁判の原告を応援していた八木沢さんに対するあてこすり以外のなにものでもないえしょう。(tpknさん) たしかに、この掲示板で、これら数人の間で議論が戦わされたことは事実ですが、《「東京裁判の事後法適用は違法」、とか、「勝者による東京裁判の判決は無効」》というような主張は、この掲示板での議論に限られるものではなく、東京裁判関連の主張にはよく見られるものです。私の投稿は、この一般的な主張を対象にしたものです。したがって、私の投稿を八木沢さんにたいするあてこすりと解釈するtpknさんは、アホとしか考えようがありません。 > あなたはこれを反証することは簡単なのです。(tpknさん) 私が反証することが簡単かどうかを問題にしているのではありません。アナタが論証もせず、単に自分が正しい、オマエは間違っているという主張は「挙証」ではなく、自分の思いこみを述べた者に過ぎません。 この思いこみに対しては、この投稿の前半部分で反証しています。 >(3)国連憲章と世界人権宣言に明記されていることについて、なぜ「国際法には全く関係ない」と言うことができるのか、(tpknさん) これも、同様に論証しました。 >(4)「罪刑法定主義」とは無関係な「遡及処罰の禁止(事後法の禁止)」が存在するのかどうか、(tpknさん) 罪刑慣習法主義の場合に、「遡及処罰の禁止(事後法の禁止)」を定めることは可能です。 |
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