36687 返信 Re:百人斬り訴訟東京地裁判決文 URL 渡辺 2005/09/08 22:30
梶村太一郎さん:>
> このままでは、控訴審でも原告の敗訴はまず間違いないと思われますが、無能な弁護士を取り替えたり、また上級審では反動的な判事が出て来る可能性もありますので、いかなる法廷にも耐えられる、「据えもの斬りがあったことを裏付ける客観的資料」を提出する必用があるでしょう。

 死者の名誉毀損については、学説に基づいたしっかりした判例があります。
 指摘された事実や論評が虚偽であることを原告が立証できないかぎり、原告敗訴は確実です。しかし、新聞記事にかかわった3人の記者が共通に述べるように両将校が「百人斬り競争」なるものをしていた事、新たに発見された望月証言などから殺害していた対象の多くが捕虜や非戦闘員であろうことは客観的にみればもはや否定困難です。
 特に、望月証言は現場の目撃談ですから、何十年も前の事実を争うような事件では証拠価値が高いと思われます。すでに、志々目証言がありますが、これは野田氏から聞いたという体験であって、実際にどうであったかを証言する直接体験ではありませんでした。望月証言が発見されたということは、今回の訴訟によって得られたおおきな成果です。

> 少なくとも「本件指摘事実が、一見して明白に虚偽であるとまでは認めるに足りない」とする、原判決をもう一歩踏み込んで「本件指摘事実が、おおむね事実であると認めるに足る」する控訴審判決を勝ち取ることは、可能だと考えています。(その理由はこれから次第に明らかになって来るでしょう)

 判断の基準が「虚偽」であるかどうかということである以上、やはり「虚偽とはいえない」という主旨の表現になるのではないでしょうか。
 地裁裁判官は分かっていたと思います。しかし、あえて史実の詳細に踏み込まなかったのではないでしょうか。
 私自身は、裁判所が歴史事実の判断に不必要に深く立ち入るべきではないと考えています。というのは、特に民事訴訟は一般に訴訟の枠内で判断されるもので、証拠として提出されない資料は考慮されません。原告・被告の応酬だけで歴史事実が判断されることには抵抗感があります。
 とはいえ、「百人斬り」記事が記者の創作でないことや、東京裁判で不起訴になったというあまりにも明白な誤りは、今回の判決ではかなり明確に指摘されています。