!!!ゲノム解析ワークショップ 創造実践科目 (学部) *【開講日程】 金曜日3時限 【担当教員】 荒川 和晴 *【関連科目】04150:生命システム *【関連科目】13010:コンピュータ基礎とプログラミング *【関連科目】13030:データ構造とプログラミング *【関連科目】13100:スクリプト言語プログラミング *【開講場所】 SFC 【授業形態】講義、実習・演習、グループワーク *【履修制限】 履修人数を制限する。 **受入学生数(予定):約 40 人 **選抜方法と時期:第一回授業時に簡単なアンケートにて自己アピールをしてもらいます。(選抜用紙を利用しない) *【履修条件】 *【連絡先】 gaou@sfc.keio.ac.jp ::注意 :::配布資料などは[SFC-SFS|https://vu2.sfc.keio.ac.jp/sfc-sfs/]の授業ページで公開します。 !!! 科目概要 バイオテクノロジーの目覚ましい発展により、誰もが自分のゲノム−DNAで綴られた自らの設計図−を入手可能な時代が目前に迫って来ている。このような「パーソナルゲノム」は、基礎科学や医療・創薬などのみならず、極めて近い将来に倫理・経済・法などといったさまざまな社会システムに甚大な影響を与えることがもはや不可避である。本講義では、実際にパーソナルゲノムやバイオインフォマティクス(生物情報学)研究で活用されているソフトウェアを実習形式で実際に使いながら、実践的にゲノム解析を習得し、生命科学の方法を体験的に理解することを目的としている。 !!! 授業シラバス !! 主題と目標/授業の手法など DNAという生命の設計図を記録する分子の構造が明らかになってからわずか半世紀、そしてヒトゲノムが解読されてからまだたったの10年あまりですが、すでにヒトを含む数千種以上の生物の全遺伝情報であるゲノム配列が公開され、誰でも無料で簡単に入手することができます。そればかりか、今やDNAの配列を解読する装置の劇的な進歩により、1000人分のヒトの遺伝情報を解読するプロジェクトなどが国際的に進行しており、もはやゲノム情報は「手軽に」入手できるものになりつつあります。実際、最初のヒトゲノムは3000億円と13年の月日をかけて読まれましたが、ヒト一人のゲノムを読むコストは数年以内に10万円以下になると予想されています。 コンピュータが部屋1つ分もの大きさがあり、特定の大学や研究所にしか存在しなかった時代から、誰もが手にする「パーソナルコンピュータ」になった今日、私たちの生活はインターネットに代表されるような情報化革命によって劇的に変貌を遂げました。同様に、誰もが自分のゲノムを手にする「パーソナルゲノム」の時代の幕開けが目前にせまる今日、医療や創薬はより個人に合わせたものになり、また治療よりも予防に重点がおかれるようになることで、バイオとゲノムによる革命が私たちの生活を激変させようとしています。パーソナルゲノムという《究極の個人情報》の存在はまた、極めて近い将来に倫理・経済・法などといったさまざまな社会システムに甚大な影響を与えるでしょう。 本講義では、このような今目前に迫るパーソナルゲノム時代に向けて、実際にパーソナルゲノムとさまざまなバイオインフォマティクスのソフトウェアツールを使い解析を行いながら、私たち人間のゲノムに関する課題にアプローチします。履修者が興味のある形質や病気について、問題を発見するところから、解析を通して「答え」にたどりつくまでのプロセスをグループワークで経験し、パーソナルゲノム研究の実際を体験してもらいます。本講義を通じて、私たち自身のことをゲノム情報の暗号解読を通じてより深く理解し、最先端の生命科学の面白さを感じ取り、迫り来るパーソナルゲノム時代の先導者となるための知識を体得して欲しいと思います。 !! 教材・参考文献 参考文献: + 中村保一 他. [バイオデータベースとウェブツールの手とり足とり活用法 第二版|http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4758108110/gaounet-22/ref=nosim/]. 羊土社. 2007. 254p. (ISBN4758108110) + フランシス S. コリンズ [遺伝子医療革命―ゲノム科学がわたしたちを変える. |http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140814551/gaounet-22/ref=nosim/]. 日本放送出版協会. 2011. 384p. (ISBN4-14081-455-1) + デービッド W.マウント. [バイオインフォマティクス 第2版 ゲノム配列から機能解析へ|http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4895924262/gaounet-22/ref=nosim/]. メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2005, 672p. (ISBN4895924262) !! 提出課題・試験・成績評価の方法など グループワークの最終プレゼン、そして個人で提出するレポート、及び、毎回の授業での課題や発表などで評価します。基本的に最終プレゼンと個人レポートが評価対象になります。期末試験は行いません。 !! 履修上の注意 グループワーク作業がメインになります。半期間に研究の流れを全て体験できますが、そのためには必然的に授業時間外に多くの時間を割いていただく必要があります。この授業を履修する場合は積極的に授業のために時間が割けるようにしてください。 !!! 授業計画 !第1回 イントロダクション 「パーソナルゲノム」の概要と授業の全体像を説明します。履修制限のためのアンケートを行います。 !第2回 パーソナルゲノムからわかること 個人のゲノム配列から何がわかるのか、パーソナルゲノムにおける自分と他人との違いとは何か、などを、実際にデータや事例を交えながら紹介します。 !第3回 DNA配列の検索と比較 ゲノムの「変異」を見つけるために、DNA配列を検索し、比較する方法を実習します。 !第4回 遺伝子の探し方 病気や形質などの表現型に関して調べたい場合、まずはその表現型に対応する遺伝子を知り、その生物学的知識を得なければなりません。「表現型」と「遺伝子」を結びつけるための調査方法を講義します。 !第5回 遺伝子のネットワーク 遺伝子は基本的には1つだけではたらくわけではなく、細胞の中で複雑な遺伝子ネットワークをつくり、生命現象を形づくっています。このような遺伝子のネットワークを調べる方法を実習します。 !第6回 バイオインフォマティクスのソフトウェアツール 遺伝子の解析にはさまざまなバイオインフォマティクスのソフトウェアツールを利用します。ここではグループ毎に、特に実際に解析で使うものを選択し、実際に目的に合わせて使いながら利点を調べます。 !第7回 中間発表 これまでに行ってきたグループワークの成果を中間報告してもらいます。特に、他のグループにも役に立つツールや、取り組む表現系関連する遺伝子などを紹介してもらいます。 !第8回 解析 これまで調べてきた生物学的知識やツールを使って、実際にテーマとして設定した現象を調べてみましょう。 !第9回 解析 これまで調べてきた生物学的知識やツールを使って、実際にテーマとして設定した現象を調べてみましょう。 !第10回 考察 得られた結果から、どういう新しい発見があるのかを調べます。ここではまた生物学的知見のサーベイに取り組み、解析の結果がどういった意味や役割を持つのかを理解します。 !第11回 考察 得られた結果から、どういう新しい発見があるのかを調べます。ここではまた生物学的知見のサーベイに取り組み、解析の結果がどういった意味や役割を持つのかを理解します。 !第12回 最終プレゼン準備 グループワークの最終プレゼンの準備を行います。 !第13回 最終プレゼン グループごとに成果を発表してもらいます。質疑応答には実際にゲノムの研究をしている学生などにも参加してもらう予定です。 !第14回 最終プレゼン グループごとに成果を発表してもらいます。質疑応答には実際にゲノムの研究をしている学生などにも参加してもらう予定です。