井庭崇のConcept Walk

新しい視点・新しい方法をつくる思索の旅

慶應義塾大学SFC「創造システム理論」2020シラバス

「創造システム理論」
慶應義塾大学SFC総合政策学部・環境情報学部(基盤科目-共通科目)
担当教員:井庭 崇, 若新 雄純
開講:2020年度春学期(後半:6・7月)
曜日時限:金曜4・5限(オンライン開講)

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【主題と目標/授業の手法など】

これからの時代は、さまざまな問題・課題を解決したり、新しい仕組みやあり方を新たにつくっていくことが不可欠な時代です。まさに一人一人が創造性(クリエイティビティ)を発揮することが求められるのです。それでは、創造的(クリエイティブ)に考えたり、創造的な場やチームをつくるためには、どうしたらよいのでしょうか?

この授業では、創造やコラボレーションに関する理論と、最先端の魅力的な事例について学び、自らの実践へとつなげていくことに取り組みます。授業は毎週、理論編と対話編の二つのパートで構成されていて、理論編では先端的な理論を学び、対話編では具体的なエピソードなどを知り理解を深めていきます。

なお、2020年度の授業は全回、オンラインで行います(Zoomで行う予定)。履修者には、授業外で「自分自身の創造実践」(テーマ・方法は何でも構いません)に取り組んでもらいます。また、考えを深めてもらうために、授業と並行して文献を読む宿題を出すので、授業初回までに早めに、書籍『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』を入手しておいてください。

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【授業計画】

第1回:創造的(クリエイティブ)とはどういうことか【理論編】
創造的であるとはどういうことかを理解するために、井庭崇が提唱している「創造システム理論」を学びます。「創造」という現象を、発見の連鎖を通じて作動するシステムであると捉える独自のシステム理論を通じて理解していきます。キーワードは、「創造システム」「発見の連鎖」「オートポイエーシス」です。(担当:井庭 崇)

第2回:創造的(クリエイティブ)とはどういうことか【対話編】
創造経験を振り返り、それを創造システム的に捉え直し、「発見の連鎖」について具体的に理解します。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

第3回:無我の創造とパターン・ランゲージ【理論編】
本格的な創造は、「ああしよう」「こうしよう」という作為が落ちた状態で、つくっているものが「あるべきかたち」になるように、つくられつつあるもにに寄り添い、支え、体験するということなのだという、井庭崇が提唱している「無我の創造」の考え方について学びます。そのうえで、無我の創造を支えるメディアとして、パターン・ランゲージについて学びます。キーワードは、「中動態」「あるべきかたち」「クリエイティブ・ラーニング」です。(担当:井庭 崇)

第4回:無我の創造とパターン・ランゲージ【対話編】
「無我の創造」について、事例を交え、理解を深めます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

第5回:社会を変える方法、ジェネレーターシップとトリックスターシップ【理論編】
お社会を変える方法についてのアルバート・ハーシュマンの「Voice-Exitモデル」を拡張した井庭崇の「Reframe-Generationモデル」を紹介し、社会を動かし、未来をつくるアプローチについて考えます。また、いわゆる「リーダー」とは違う、これからの社会を変える役割を担う人として、井庭崇が提唱している「ジェネレーター」や「トリックスター」(道化)の特徴とその可能性について考えます。キーワードは、「異端」「遊び心」「革新性」です。(担当:井庭 崇)

第6回:社会を変える方法、ジェネレーターシップとトリックスターシップ【対話編】
「Voice-Exitモデル」と「Reframe-Generationモデル」、そして「ジェネレーター」と「トリックスターシップ」についての理解を深めます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

第7回:ゆるい創造【理論編】
現代は、物質的な豊かさの中で人々が求めるものが多様になり、「答え」が分からない複雑な社会です。そこで、無理に白黒や勝ち負けをつけようとせず、また短期的な成果を求めすぎずに、試行錯誤を楽しみながら新しい発見を重ねていくことが大切です。若新雄純の提唱する「ゆるい創造」について学びます。キーワードは、「ゆるいコミュニケーション」「創造的脱力」です。(担当:若新 雄純)

第8回:ゆるい創造【実践編】
自分が取組んでいるプロジェクトや自分自身のあり方をトリックスターシップを発揮するかたちに変えるとどのように変えることができるのかを考えてみます。(担当:若新 雄純)

第9回:混沌とした秩序【理論編】
創造性を理解するための世界観・科学観として、「カオス理論」を学びます。「決まったルールがあるのにデタラメに振る舞う」ことや、「カオスに見えるのにシンプルなルールが潜んでいる」ということを考えます。その上で、小さな原因が大きな結果を生み出し得るという非線形の世界観から、個人やチームの小さな思い・活動から始まる社会イノベーションについて考えていきます。 キーワードは、「創発」「複雑性」「非線形」です。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

第10回:幸せのたまご【方法編】
「部分の寄せ集め」思考ではなく「全体からの本質思考」を促す方法として、井庭崇が提唱している「幸せのたまご」の方法について学びます。キーワードは、「全体性」「分化」「本質」です。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

第11回:自分自身の創造実践
各自、自分自身の創造実践に取り組みます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)※通常授業日以外

第12回:自分自身の創造実践
各自、自分自身の創造実践に取り組みます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)※通常授業日以外

第13回:自分自身の創造実践
各自、自分自身の創造実践に取り組みます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)※通常授業日以外

第14回:ライトニング・トーク
授業期間中に学んだ考え方や方法を用いて、「つくることを通じてつくられる自分」を考えながら、「自分自身の創造実践」を紹介してもらいます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)

第15回:ライトニング・トーク
授業期間中に学んだ考え方や方法を用いて、「つくることを通じてつくられる自分」を考えながら、「自分自身の創造実践」を紹介してもらいます。(担当:井庭 崇, 若新 雄純)


【提出課題・試験・成績評価の方法など】
授業と並行して、文献読解の宿題と、「自分自身の創造実践」(テーマ・方法は何でも構いません)に取り組んでもらいます。成績評価は、授業への参加、宿題、発表、期末レポートから総合的に評価します。


【履修上の注意】

  • この科目は、春学期の後半(6・7月)に週2コマ開講する科目です。

  • 授業は全回、オンラインで行いますので(Zoomで行う予定)、受講に適した通信環境で参加してください。

  • 授業と並行して、文献を読んでまとめを提出する個人宿題が毎週出ます。授業初回までに早めに、『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 慶應義塾大学出版会)を入手しておいてください。


    【履修選抜課題】
    受入学生数(予定):約 90 人
    選抜方法:課題提出による選抜

    「創造」を自分なりに表現する「自撮り動画」を撮影してください。動画は30秒以内とし、YouTubeに限定公開設定でアップし(各自アカウント取得が必要です)、そのURLを提出してください。

    「創造」をどう表現するかは自由です。ただし、単に動画の派手さや奇抜さを評価するものではありません。また、動画そのものの画質や編集・加工技術を評価するものではないので、 特別なカメラ機材などを仕様する必要もありません。スマホ撮影で十分です。※構図は必ず「自撮り動画」にしてください。

    30秒という時間と「自撮り」という構図の中でいかにして「創造」を表現することができるのか、ぜひ工夫を凝らして楽しんでみてください。この課題を楽しむことができるかどうかが、一種の選抜(Natural Selection)になっていると言えるかもしれません。

    ◯エントリー〆切日時:2020年4月13日(月) 17:00
    ◯履修許可者発表日時:2020年4月15日(水) 17:00


    【教材・参考文献】

    教科書
  • 『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』(井庭 崇 編著, 鈴木 寛, 岩瀬 直樹, 今井 むつみ, 市川 力, 慶應義塾大学出版会, 2019年)

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    参考文献
  • 『創造的脱力:かたい社会に変化をつくる、ゆるいコミュニケーション論」(若新 雄純, 光文社, 2015年)
  • 『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(井庭 崇 編著, 宮台 真司, 熊坂 賢次, 公文 俊平, 慶應義塾大学出版会, 2011年)
  • 『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(井庭 崇, 福原 義久, NTT出版, 1998年)
  • 『創発する社会―慶應SFC〜DNP創発プロジェクトからのメッセージ』(國領 二郎 編著, 日経BPコンサルティング, 2006) ※とくに第1章「創発という、怪しくて魅力的な何か」(熊坂 賢次)


    【担当教員】
    この授業は、毛色・ノリの異なるこの二人のフュージョンでお届けします!

    井庭 崇(いば たかし)
    慶應義塾大学総合政策学部 教授。
    株式会社クリエイティブシフト代表取締役社長、一般社団法人みつかる+わかる 理事、および、パターン・ランゲージの学術的な発展を促す国際組織 The HillsideGroup 理事も兼務。
    2003年、慶應義塾大学後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。
    様々な創造実践領域の研究を通じて、創造とはどういうことかを明らかにするために、創造システム理論を構築・提唱している。また、創造社会(Creative Society)の実現に向けての社会論、および、創造実践の支援の方法としての「パターン・ランゲージ」の作成・研究に取り組んでいる。
    編著書・共著書に『複雑系入門』(NTT出版、1998年)、『社会システム理論』(慶應義塾大学出版会、2011 年)、『パターン・ランゲージ』(慶應義塾大学出版会、2013年)、『プレゼンテーション・ パターン』(慶應義塾大学出版会、2013年:2013年度グッドデザイン賞受賞)、『旅のことば』(丸善出版、2015年)、『プロジェクト・デザイン・パターン』(翔泳社、2016年)、『対話のことば』(丸善出版, 2018年)、『おもてなしデザイン・パターン』(翔泳社, 2019年)、『園づくりのことば』(丸善出版, 2019年)、『クリエイティブ・ラーニング』(慶應義塾大学出版会, 2019年)など。2012年にNHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」で「アイデアの伝え方」の解説を担当。


    若新 雄純(わかしん ゆうじゅん)
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任准教授。
    株式会社NewYouth代表取締役、NEET株式会社代表取締役などを兼任。
    慶應義塾大学大学院修了、修士(政策・メディア)。
    専門はコミュニケーション論。人・組織・社会における創造的な活動を促すコミュニケーションのあり方を研究・模索。
    大学在学中に、障害者の就労支援を行う株式会社LITALICO(東証一部上場)を設立し、取締役COOに就任。その後大学院で研究活動に取り組み、独立。
    日本全国の企業・自治体・学校などで実験的政策やプロジェクトを多数提案・実施中。全国の若年無業者(ニート)を100人以上集めた株式会社の発足や、週休4日の「ゆるい就職」プロジェクト、女子高生がまちづくりを模索する「鯖江市役所JK課」プロジェクト(総務大臣賞を受賞)などを企画。
    社会のさまざまな現場で調査・フィールドワークを行い、ビジネス誌等での執筆や、テレビ番組のコメンテーターとしての出演、講演実績多数。著書に『創造的脱力~かたい社会に変化をつくる、ゆるいコミュニケーション論』(光文社新書)がある。


    ※ 学期前半には、同じ曜日時限に「パターンランゲージ」(井庭・鎌田)が開講されます。併せてどうぞ。
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