史康迪「台湾から中国への海底通信ケーブルの歴史」

史康迪(Curtis Smith)「台湾から中国への海底通信ケーブルの歴史–中国大陸のマスコミ報道の検視と海底通信ケーブルの新発見」『南島史学』第65・66合併号、2005年、294〜282ページ。

 沖縄に行った際、自由時間に沖縄県立図書館までホテルから歩いて行った。方向音痴気味の私としては、知らない町をフラフラ歩くだけでけっこう楽しいのだが、余り時間もなかったのでiPhoneの地図を使って最短距離を探して行った。観光客が通らない裏道を通って生活の様子を眺めるのはけっこう楽しかった。

 なぜか県立図書館と市立図書館が隣り合わせで建っているようなのだが、県立図書館のほうだけ行く。公園の中にあって、日曜日だったので多くの人が出てきている。

 いくつか見たい資料があり、そのうちのひとつがこれだった。

 南島学会というのはウェブももなく、いまいちよく分からない(琉球新報による解説)。

 県立図書館の郷土資料のコーナーでようやくこの論文を見つけたが、なんと要旨以外は中国語でずっこけた。台湾との合同学会で発表された報告らしい。中国と台湾の間で最初に敷設された海底ケーブルの解説らしく、それが中国で報道されているものとはルートなどが違うと主張しているようだ。切断されたケーブルの写真などが出ていて興味深いのだが、いかんせん読めない。残念。

 著者は多分この人だろう。ミシガン州の大学で中国語を教えているようだ。

http://www.gvsu.edu/mll/curtis-smith-27.htm

サイバーセキュリティに関する日米協力

 サイバーセキュリティに関する日米協力についての未公刊論文を読ませてもらった(英語)。インタビューを受けたので先に読ませてもらった。

 ところで、この年齢になるとだんだん情報が自分に向かって集まってくるんだなと最近気がついた。

 学生の頃は、どこに情報があるのかも分からず、手に入れた情報の価値も分からなかったけど、今はパズルのようにその情報の位置づけが分かるようになりつつある。

 無論、まだ瞬時に判断できないものもあるし、間違えるものもある。後から、あれはそういう意味だったのかと気づく。

 社会科学ってこういう経験値の高さが重要だって気がする。専門家と見なされている人に情報は集まってくるし、情報を処理すればするほど経験値が高まる。

 無論、自然科学にもあるんだろうけど、自然科学者のピークが30歳から40歳の間に来るのに対し、社会科学者は年の功が大きい。大御所の先生はやはりその分だけすごい。社会の変化に対する差分を理解しやすいというのもあるんだろうな。

 首都圏にいると、政府関連の情報も入りやすい。逆にそれに頼りすぎる傾向も出てくる。関西の人たち、特に京都の研究者たちは、そうした現場の情報が入りにくい分、理論的に考え、おもしろい発想が出てくる。

パラオ共和国の各州憲法

矢崎幸生「パラオ共和国の各州憲法—比較法的考察—」矢崎幸生編『現代先端法学の展開 田島裕教授記念』信山社、2001年、3〜29ページ。

 これも機内で読んだ。こういう研究をしている人がいるのかあとびっくり。

 パラオの人口は2万人程度なのに、16も州があり、それぞれが憲法を持っているので、共和国憲法と合わせて17も憲法があることになる!

 この中でアンガウル州の憲法で日本語が公用語となっていると書いてあったので、アンガウル州の憲法を人づてで確認してもらうと、確かに書いてあった。

 その方がこの憲法を80年代に書いた人にも確認してくださったのだが、書いた本人も忘れていて、実質的に日本語で公文書が書かれている事実はもはやなく、話せる人もアンガウル州にはほとんどいないらしい(ただし、少なくとも観光客の多いコロール州には日本語を話せる人がたくさんいる)。

パラオ共和国憲法

紺谷浩司、藤本凡子(解説・訳)「パラオ共和国」荻野芳夫、畑博行、畑中和夫編『アジア憲法集【第2版】』明石書店、2007年、665〜687ページ。

 これも機内で読んだ。論文ではなく、憲法の翻訳に解説を付けたもの。しかし、こういうのがあると便利だ。

 パラオはアメリカとの関係を前提として国作りをしているのが分かる。例えば第15条(経過規定)の第11節は、アメリカとの自由連合協定(コンパクト)についてわざわざ書き込んでいる。

インドのサイバーセキュリティ

Subimal Bhattacharjee, “The Strategic Dimensions of Cyber Security in the Indian Context,” Strategic Analysis, vol. 33, no. 2, March 2009, pp. 196-201.

 2008年にジュネーブで一緒にパネルに出たことのあるSubimalのコメンタリー(しかし、未だに彼の名前の発音がよく分からない)。

 インテリジェンスに注目しているなど、私と問題意識が似ていることを確認。

 この論文はインターネットには転がっていない模様。私も有料で入手した。

今日はひたすら教育活動

 今日は早朝からSFCに行き、出張のため延期してもらっていた修士論文評価関連の手続きを済ませ、博士の学生のプレゼンを5人分聞き、学生数人と面談し、卒論をひたすら読んで終わり。昼寝する暇もない。卒論は全員終わったのかなあ。恐いから確認しないでおこう。

 そしてまた明日は早朝から飛行機に乗って、今日から始まっている会議に遅れて向かう(先発組は今晩料亭で御飯を食べたらしい。一番良いところ逃しているじゃないか!)。国内線だからあっという間に着いてしまうけど、ちょっとは眠りたい。そんなに急ぎの仕事はない(はず)。

卒論はまだ3人

 出張中も時間を見つけてひたすら卒論を読む。今学期の該当学生は12人。明日が締切なのに、合格はまだ3人。みんな大丈夫かな。

 ホテルのチェックアウトまでに送ってきた人は機内でチェックして帰国と同時にコメントを返した(今回の出張はプリンタを持参し、切れたインクを現地で調達もした)。残りの人は知らない。眠いから今日は眠っちゃうよ。

佐々木孝博「多面的なロシアのサイバー戦」

佐々木孝博「多面的なロシアのサイバー戦—組織・戦略・能力—」『ディフェンス』第49号、2011年、137〜151ページ。

 今回の『ディフェンス』は東日本大震災とサイバーセキュリティの特集。この中でもう一つ注目したいのが、佐々木さんの論考。ロシアのサイバー戦についてここまで書いてある日本語のものは見たことがないので、とても参考になる。ロシアの専門家とは聞いていたけど、さすがだ。

 他に、

田中達浩「サイバー戦への備え」『ディフェンス』第49号、2011年、152〜156ページ。

草場英仁「日本のサイバー攻撃対応の現状と課題」『ディフェンス』第49号、2011年、158〜172ページ。

もおもしろかった。

嶌末真「東日本大震災における指揮通信システムについて」

嶌末真「東日本大震災における指揮通信システムについて」『ディフェンス』第49号、2011年、62〜69ページ。

 出張から帰ってくる機内で、手元にあった学生の卒論を全部読み終わったので、久しぶりに学生以外の人の文章を読めるようになった。

 筆者は自衛隊の一等陸佐。一度お目にかかったことがある。そのときの印象とは若干異なるハイテンションで書かれている文章。おもしろい。「通信群長として今まで培ってきた自衛官としての全ての知恵、ノウハウを出し切り、全身全霊でこの未曾有の大災害を相手に戦い抜くことを誓った」とある。こうした方々の力は大きかったんだろうな。ありがとうございます。サイバーセキュリティを考える上でも参考になる。

 しかし、この『ディフェンス』という隊友会が出している雑誌、市販されてはいないようだけど、どこで手に入るのだろう。今回はたまたまいただいたから手に入った。

副査の修論3本

 副査をしている修論3本を読み終わった。それぞれ個性があっておもしろい。

 その個性は、院生それぞれの個性というよりも、研究室の個性という側面も強い。

 SFCでは、個々の教員による「研究室」は推奨されていない。our studentsが原則であって、○○研究室という形で囲い込まないようにしている。それでも、学生のほうは案外と「○○研究室」や「○○研究会」(○○は教員の姓)を求めていて、電子メールの署名に書いていることが多い。

 結局、普段過ごしている時間が多かったり、最後の踏ん張りのところでは主査の役割大きくなるので、論文には主査の色、研究室の色が出てくる。

 私は囲い込まないようにしているんだけど、他の教員から見ると色は出ているのだろうか。

 ともあれ、主査をした6人のうち、4人は在外研究中の同僚から預かった院生たち。彼らには大変だったろうが、our studentsを実践したわけで、許してもらおう。

修論追い込み

 会議の合間に卒論と修論の指導。修論は明日の締切を前に、2人はすでに提出。3人は印刷中。残る1人が最後の追い込み中。全員出せると良いね。

 副査をしているんだけど連絡のない3人は大丈夫なんだろうか。

 私は連日の寝不足で体調が悪くなってきているので、今日は早めに就寝する予定。

修論もう1本

 今日は某研究会で自分の報告があったのであまり時間がとれなかったが、修士論文の詰めを進める。要旨っていうのが案外くせ者だ。修論もう1本がほぼ完成。

 卒論は手を付けられず。

修論3本、卒論2本

 今日は修論3本と卒論2本のチェックを終える。修論2本はほぼ完成。もう疲れて今日はこれ以上できない。ストレスで体重が増えている。

 しかし、主査になっている修論はあと4本。締切は12日の午後3時。みんな間に合うのかなあ。心配だ。

 学部の卒論は21日の23:59だよ。みんな、がんばれ。

第一ラウンド終わり

 卒論、修論の第1ラウンド終わった。まだ合格は出ない。

 明日から第2ラウンド。博論も残っているけど、もう今日は眠い。

さらに修論一本

 さらに修論を1本読んでコメントを返した。これで送られてきた修論のドラフトは全部目を通した。明日からは残る9本の卒論に移る。

卒論一本コメント

 卒論も1本目を通してコメントを返した。まだ完成度が低い。早く書かないと間に合わないぞ。

 修論、卒論ともに出してきてないのが何人かいる。大丈夫かなあ。