1月末、北京、天津を再訪しました。昨年1月から数えて3度目の訪問となりましたが、訪れるたびに空の色が澄んで来ているように思います。排気設備の古い工場を廃止しているそうですが、顕著に効果が現れているようです。
北京は仕事での訪問でしたが、わずかに空いた時間で故宮を訪ねることができました。官僚制研究者にとって、科挙の「殿試」が行われたこの場所はぜひとも尋ねたい場所でした。
中心部・王府井は旧正月の装い。大型書店の入口には『習近平 談治国理政』(邦題『習近平 国政運営を語る』)が「不忘初心」のことばとともに、「十九」のかたちに積み上げられていました。
翌日、研究の打ち合わせで向かった天津では偶然にも格別なものを見ることができました。袁世凱の旧居です。以前はレストランとして使われていたそうですが、どうやら用途を変えるようで、レストランの看板は下ろされていました。案内してくれていた現地の友人と回りを眺めていたところ、見学できるとのこと。友人も初めて入ったそうです。
豪華絢爛な内装とは裏腹に、袁世凱は暗殺を恐れて脱出口を用意し、隠し通路からは隣接する海河に出られるようになっていました。そこには常に小舟が係留してあったそうです。会議室や八駿堂など、レストラン営業時にかなり手が入った印象もありますが、上階に行くほど、本来のようすが残されているように思いました。私はひたすら、吉野作造がどの部屋で教えていたのかが気になっていたのですが、博識な案内役の青年もそれは知りませんでした。次回の宿題です。
「北京より天津の方が食事はうまい。なぜなら天津には社会主義的な『ゆっくり』の文化が残っているからだ」と北京在住の知人から言われましたが、たしかに、おいしかった。名物の包子(パオズ)は外せません。お世話になった皆さん、ありがとうございました。
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