アジアの脱植民地化の過程を比較する(3月5日)

 粕谷祐子先生を研究代表者とする共同研究の成果として『アジアの脱植民地化と体制変動』が白水社から刊行されました。

 

 アジアに民主主義と独裁が混在することに着目し、16名の専門家が集い、アジア17カ国の脱植民地化・脱占領過程を比較分析した共同研究にお声がけいただき、5年にわたって参加してきました。

 日本研究は研究の層が厚いこともあり、日本研究だけで完結してしまうことが多いように思います。以前から学外、国内外での研究交流を進めるように努めてきましたが、それも日本研究の範疇を越えることはありませんでした。そのため、恥ずかしながら、比較研究にしっかりと取り組んだのは、この共同研究がはじめてのことでした。

 とりわけ刺激的だったのは、比較政治を専門とする粕谷さんが提示した叩き台に対して個別の地域に高い専門性を持つ地域研究者がさまざまな意見を投げかけ、交わし合い、それを粕谷さんが丹念に受け止めてモデルを洗練させていく過程でした。モデルの構築と個々の事象への探索という相反する方向の専門性が、メンバーの学問に対する真摯さと5年という時間を共有したことによってしっかりと溶け合っていったように感じています。

 目次は以下のとおりです。お目に留まれば幸いです。

はじめに(粕谷祐子)
 序 章 アジアの政治体制形成論(粕谷祐子)
第Ⅰ部 民主制の起源
 第1章 日本(清水唯一朗)
 第2章 インドネシア(川村晃一)
 第3章 マレーシア(中村正志)
 第4章 フィリピン(高木佑輔)
 第5章 ビルマ(中西嘉宏)
 第6章 ラオス(山田紀彦)
 第7章 インド・パキスタン(中溝和弥)
 第8章 スリランカ(近藤則夫)
第Ⅱ部 独裁の起源
 第9章 韓国(磯崎典世)
 第10章 北朝鮮(礒﨑敦仁)
 第11章 台湾(松本充豊)
 第12章 中国(加茂具樹)
 第13章 タイ(高橋勝幸)
 第14章 ベトナム(石塚二葉)
 第15章 カンボジア(山田裕史)

     出版社(白水社さん)のウェブサイト http://www.yuhikaku.co.jp/shosai


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