山口県岩国市の交流施設「PLAT ABC」で開催されたYCAPS-SPF Community Conversationsでお話ししてきました。
興味深いオファーをいただいたのは、10月下旬。岩国市に新しくできた英語コミュニケーション施設で、明治維新における長州の役割について話してみないかというものでした。今学期は英語のクラスを担当して、なんとなくできそうな気持ちになってしまったこと、岩国という魅力的な街、しかも基地と市民の交流の場での講演と聞いて、二つ返事でお引き受けしてしまいました。コロナのなかで英語講演の機会は減っており、あとになって準備の大変さに苛まれることになるのはわかっていたはずなのですが。
伺ってみると、本当にすてきな施設でした。岩国駅前の施設には朝早くからお子さんがたくさんいらっしゃり、英語の本を読んだり、おもちゃであそんだり。岩国城や錦帯橋のある駅西口は繁華街になっていますが、岩国空港と基地のある東口は、今年になって再開発が終わり、コミュニティの核になる施設としてこの「IWAKUNI PLAT ABC」ができたそうです。ぷらっと訪れて、英語で楽しめる、そんな空間がオープンから半年で出来上がっていました。
講演のタイトルは、”Modernizing Japan: The Role of Choshu in Japan’s Nation-building Process”としました。木戸孝允や伊藤博文、山県有朋といった元勲を導入にしつつ、その後の過程を支えた山口出身の官僚たち(上山満之進(防府出身)、江木翼(岩国出身)、湯浅倉平(下関出身)を取り上げました。なんとマニアックな話をしてしまったのでしょう。空軍、吉川藩、日米交流ということも意識して、長岡外史(下松出身)と吉川重吉(岩国藩主家、ハーバード留学)にも言及して準備しました。
しかし、当日の朝になってよくよく考えてみると、オーディエンスの多くは米軍の方と想像されます。「Choshu」が何か、おそらくみなさんご存じないはずです。しかも、岩国は厳密には防州というおまけつき。地域の史家の方がいらっしゃったら申し訳が立ちません。説明が必要です。
実際、会場に集まった30名ほどの方のうち、半数以上が米軍の方でした。気を取り直して、まずは「長州」とは何かから話を始めました。長門が軍艦の名前になってきたことにずいぶん助けられました。
質疑もさかんで、とても楽しい時間を過ごさせてもらいました。なにより、日本人の小学生、中学生、高校生も来てくださっていたことがとてもうれしく感じられました。またぜひ伺ってみたい枠組みです。
さて、年末です。ゲラがいろいろ届いていますが、年末進行でがんばります。
コメントを残す