待ちに待ったオーラル・ヒストリーのテキストが刊行となりました。
御厨貴編『オーラル・ヒストリー入門』(岩波書店、2007年10月30日、198p)
2003年に東京大学先端研に赴任した折から、所属研究室全体の夢であり、懸案であったのがオーラル・ヒストリアンの育成プログラムを構築することでした。
翌2004年夏、満を持して「オーラル・ヒストリー夏の学校」が開校されました。夏期集中10日間の講座には北は北海道から南は香川まで、とても元気な若手研究者が集まり、実践を中心とした取り組みの中、講座は熱気に溢れたものとなりました。
その後、2006年には東京大学大学院先端学際工学専攻の科目として認定され、学習院大学大学院政治学研究科との共催ともなり、講座は一つの到達点に達しました。
とはいえ、これまで、1タームの講座で受講して頂けたのは15名程度。内容を充実させるためにも、これが上限であり、受講希望を頂いた方みなさんにご参加いただくことは不可能でした。講座がある到達点に達したのであれば、あとはこの成果をより多くの方にご覧頂き、ご活用頂き、使い勝手に会うようにアレンジしていってほしい。こうして講座の内容はテキストブックとして纏められることになりました。
「オーラル・ヒストリーって何?」「インタビューと何が違うの?」「難しいんじゃないの?」。そうした関心と疑問を持っていただける方に、ぜひお手に取っていただきたい一冊。 お目にとまりますれば幸いです。
そうそう、小生もオーラル・ヒストリー実働部隊としての経験を纏めた「オーラル・ヒストリーの実践法」なるコラムをものしています。ご笑覧いただければ幸いです。
そして来学期(08年春学期)、SFCの講座「ライティング技法ワークショップ」で、オーラル・ヒストリーの講義を実施する予定です。これも私の念願のひとつでした。オーラル・ヒストリーの実践を通じて、みんなで、たくさんの問いと対話と解を導き出していきましょう。ご関心のある方は、ぜひご参加ください。
清水 拝